金子兜太選 海程秀句」鑑賞 作者名索引

 あ行


表の右端の番号をクリックするとその鑑賞のページが開きます。戻るにはそのページを閉じてください。

作者名
地域
番号 
相原澄江 愛媛 梅綻ぶ漏らないほどの家に住み 433号 1
相原澄江 愛媛 もの言う梟絵手紙のふくろう 443号 1
相原澄江 愛媛

一つ蝶追うも追わぬも捨て聖

459号 1
相原澄江 愛媛 着こなしの良さも茅花を流すとや 466号 1
相原澄江 愛媛 鳥総松松原遠くなりました 502号 1
相原澄江 愛媛 一句一章トンボ鉛筆どれもB 505号 1
相原澄江 愛媛 寒菊の繊細愛す過去を愛す 511号 1
赤崎ゆういち 東京 遺されし人に晩年衣被 509号 1
阿川木偶人 東京 梁ハリと蛇も百足も音たてて 427号 1
阿川木偶人 東京 邂逅も流離なるべし胡蝶蘭 436号 1
阿川木偶人 東京 黄落は目薬の木と覚えおり 460号 1
阿川木偶人 東京 竹馬や遂に変らぬ二枚舌 462号 1
阿川木偶人 東京 文明の孤児でありたし薄氷 481号 1
阿川木偶人 東京 蜃気楼見た見た見たと反芻す 485号 1
阿川木偶人 東京 五月晴れ鏡に暗き鼻の穴 486号 1
阿川木偶人 東京 夕蛙人の目玉はもう御免 495号 1
秋谷菊野 千葉 先生が赤ちゃんを生む夏休み 427号 2
阿木よう子 富山 雪国に雪が降らぬと書きしるす 433号 2
阿木よう子 富山 棒切れで戦知らずが野に遊ぶ 436号 2
阿木よう子 富山 落花ですふふふと逃げる子捉まえた 454号 1
阿木よう子 富山 素麺を啜る母似の悪い癖 487号 1
阿木よう子 富山 郭公をいつも探していた母よ 506号 1
阿木よう子 富山 玉あられ放浪の母に従う 511号 2
阿久沢達子 群馬

旅に病むアドリア海より這い上がる

439号 1
阿久沢達子 群馬 うたてやな冬バラのツルもてあます 462号 2
阿久沢達子 群馬 鬼くさし銀杏掃き寄す日課かな 490号 1
浅見健司 埼玉

半生を怒り通して桑を解く

424号 1
足利屋篤 群馬 赤城木の家かめむしもいて可なり 425号 1
足利屋篤 群馬 自分史は自虐の記憶白鳥来 462号 3
足利屋篤 群馬 浴室の紅葉は造花癌病棟 490号 2
東 祐子 兵庫 袖通す私の中の野分かな 440号 1
浅生圭祐子 愛知 疣むしりいまさら腰の括れなど 430号 1
浅生圭祐子 愛知 供養とは語り継ぐこと花は葉に 436号 3
浅生圭祐子 愛知 文字持たぬ民のありけり青葉木菟 437号 1
浅生圭佑子 愛知 養花天あやふやな問いあやふや 455号 1
麻生圭佑子 愛知 鮎食べて碩の小石持ち帰る 498号 1
浅生圭佑子 愛知 赤ちゃんに五人の大人春惜しむ 515号 1
足立あい 東京 ろうばいを過ぎて食堂へ行く哀 442号 1
足立あい 東京 姪たちの黒いセータードイツ菓子 443号 2
足立あい 東京 蚊は声なく夕べ浮かべり紅し 447号 1
足立あい 東京 雲井より黒丑曳きて初春に候 450号 1
足立あい 東京 阿武隈川の寒の四つ手やわが生まれ 452号 1
油本麻容子 石川 連翹や平らな犬を照らすかな 444号 1
油本麻容子 石川 冬林檎僕ら断片的に原色 451号 1
油本麻容子 石川 竜胆は小さな裏切りと似ている 460号 2
油本麻容子 石川 宇宙雑音僕らの空に鰤起し 482号 1
油本麻容子 石川 枇杷剥いて言葉の行間ほどくかな 505号 2
阿部一葉 宮崎 サシバ渡ると未明とび出す吾の可笑しき 430号 2
阿部一葉 宮崎 曼珠沙華いまいましきは加齢かな 439号 2
阿辺一葉 宮崎 うすき日にブーメランのよう銀やんま 448号 1
阿部一葉 宮崎 影や影橋までの試歩夕あかね 456号 1
阿保恭子 東京 みちのおく と指せば緑に染まるかな 427号 3
阿保恭子 東京 茂吉翁この秋馬穴新たにせり 429号 1
阿保恭子 東京 一身のただ一心や穴惑 431号 1
阿保恭子 東京 色鳥や父らのオール直立す 451号 2
阿保恭子 東京 紫木蓮の裏は白なり姉ひとり 454号 2
阿保恭子 東京 ポストの口が手を引きそうに麦の秋 456号 2
阿保恭子 東京 怜悧であること青瓢箪長きこと 459号 2
阿保恭子 東京 星宿や頬打つしゃぼん流れ玉 477号 1
阿保恭子 東京 ほしゃほしゃの象の毛梅雨の晴れ間かな 486号 2
阿保恭子 東京 木菟や正にまじめに鬱っぽく 491号 1
阿保恭子 東京 深山霧島吾に億劫の虫ひそみ 505号 3
阿保恭子 東京 冬の地震わが身の内の零地帯 510号 1
阿保恭子 東京 「きみがゐてわれがまだゐて」秋灯し 519号 1
阿保恭子 東京 息絶えし夫のなごりの温みかな 526号 1
阿保恭子 東京 目つむればわが海鳴りぬ冬あたたか 530号 1
新井娃子 埼玉 花三分耄碌しまして生き易し 435号 1
新井娃子 埼玉 刈田かな母は百一われは喜寿 441号 1
新井姪子 埼玉 洗い張りする母の背に草矢かな 466号 2
新井娃子 埼玉 仏飯の乾きも冬の旱かな 482号 2
新井娃子 埼玉 門火焚く膝つくわれの齢かな 499号 1
新井喜代子 埼玉 ときに黒く降り積む雪や鶴群や 432号 1
荒井まり子 東京 あじさい寺菩薩・上人畳干す 426号 1
荒井まり子 京都 句の屑の多しあめんぼういそぐなよ 435号 2
新井まり子 京都 木偶と呼ばれT字路に佇つ瓜番よ 468号 1
荒井まり子 京都 千本の塔婆や影や穴惑い 470号 1
荒井まり子 京都 狐の提灯見しとう夫よ病むな 481号 2
荒井まり子 京都 『山月記』読む唇厚し冬深し 493号 1
荒井まり子 京都 菊の香や表層崩壊の日々 511号 3
荒井まり子 京都 激辛のカレー孤食や秋の蠅 529号 1
有田莉多 東京 黒髪の緩きウェーブ百千鳥 495号 2
有村王志 大分 死ぬまでの戦後木に蝉兄は兵 424号 2
有村王志 大分 オホーツク落暉は大陸焼く貌だ 426号 2
有村王志 大分 白鷺と厳父座礁の水田かな 438号 1
有村王志 大分 山家とは赤唐辛子の眠りかな 441号 2
有村王志 大分 下手くそな蝉がまだ居る敗戦忌 444号 2
有村王志 大分 青葉闇無我とは山の巌かな 446号 1
有村王志 大分 黙祷のあとも動かぬ蝉の兄 456号 3
有村王志 大分 煮凝りや逝きて岳父の戦後果つ 461号 1
有村王志 大分 青き踏む人間無冠の力かな 465号 1
有村王志 大分 回送電車に遮断機降りる敗戦忌 470号 2
有村王志 大分 山畑の岳父は鏃か黒黄金虫 486号 3
有村王志 大分 敗戦忌高さの違う窓に人 488号 1
有村王志 大分 昼寝覚め目鼻確かむ被曝圏 497号 1
有村王志 大分 遠く見るためのしんがり長崎忌 505号 4
有村王志 大分 見えぬ海と見える放棄田春落日 506号 2
有村王志 大分 逃げ水のどこにも逃げ場なき瓦礫 508号 1
有村王志 大分 八月や絶対の距離兵の兄 514号 1
有村王志 大分 岳父この寝息の起伏開戦日 515号 2
有村王志 大分 テロ寒き鶏肉に頭が付いていない 516号 1
有村王志 大分 死ねば肉親寄るだけの家木守柿 519号 2
有村王志 大分 籾殻焼くわが晩節の焔かな 522号 1
有村王志 大分 薄氷を来たるは彼奴わが九条 524号 1
有村王志 大分 身体中水の傾く熊本地震 526号 2
安藤和子 愛媛 おたまじゃくし眼裏熱く愛と書く 426号 3
安藤和子 愛媛 野にあれば草の絮吹くバレリーナ 432号 2
安藤和子 愛媛 百翁がわが庭と呼ぶ秋の海 441号 3
安藤和子 愛媛 晩年のいま形代に鳥と書く 457号 1
安藤和子 愛媛 漂泊や山藤にただ染まりたし 475号 1
安藤和子 愛媛

蟋蟀の貌して死の町などと言う

479号 1
安藤和子 愛媛 吾を生みし体内薔薇色聖五月 485号 2
安藤和子 愛媛 篤農の湯気たて尿る淑気かな 492号 1
安藤和子 愛媛 生きるとは朝が生れる鳥交る 495号 3
安藤和子 愛媛 八十歳をひらひら醸し年用意 501号 1
安藤和子 愛媛 ロボットアームのごとき腕の蓮根掘り 502号 2
安藤和子 愛媛 ラ・フランスのいびつな個性戦意かな 507号 1
安藤和子 愛媛 八十の細胞起立せり緑夜 515号 3
安藤和子 愛媛 思考かな葡萄一房うずくまる 519号 3
安藤和子 愛媛 父が遺愛の木椅子朽ちたり小鳥来る 520号 1
安藤和子 愛媛 永訣の霜踏み自愛言い交す 523号 1
安藤和子 愛媛 イヌフグリ恵みのように加齢かな 525号 1
安藤和子 愛媛 八月や何かを忘れぬための黙 529号 2
飯島洋子 東京 影踏みや初夏とは夕風の呼吸 436号 4
飯島洋子 東京 来ぬ人や管楽器ゆく冬の橋 443号 3
飯島洋子 東京

夏霧や記憶とは緑の濃淡

449号 1
飯島洋子 東京 冬耕やけむりのようなたたずまい 463号 1
飯島洋子 東京 風をためて母の門火は花のよう 487号 2
飯島洋子 東京 気紛れに散らばる家族如月なり 493号 2
飯土井志乃 滋賀 暁は拳石蕗の花咲けり 441号 4
飯土井志乃 滋賀 山頂に鷹柱めく男あり 449号 2
飯土井志乃 滋賀 荒縄に露のるいるい魄のことなぞ 459号 3
飯土井志乃 滋賀 鳥なべて低きくもり日麦の秋 467号 1
飯土井志乃 滋賀

延暦僧録白蛾の静止水平に

469号 1
飯土井志乃 滋賀 黒猫の梁に撓うも夜神楽や 473号 1
飯土井志乃 滋賀 廃校のときどきしゃべる冬柏 493号 3
飯土井志乃 滋賀 冬眠の蛇に地鳴りの届く夜ぞ 501号 2
飯土井志乃 滋賀 花ごろも臀部犇く緋毛氈 504号 1
飯土井志乃 滋賀 岐阜蝶や谷の暗さを使い切り 509号 2
伊賀上寿賀子 愛媛 亡母が亡姑語りしときの遠花火 458号 1
五十嵐好子 東京 桐の花職場復帰の乳匂う 436号 5
五十嵐好子 東京 まんさくの娘石工の繊指かな 444号 3
五十嵐好子 東京 春の霧野守が軟禁されている 463号 2
五十嵐好子 東京 保育園児の作る豊胸雪だるま 493号 4
五十嵐好子 東京 ナイターや笑窪の投手クローズアップ 496号 1
五十嵐好子 東京 熊撃ちの暮れて営むレストラン 503号 1
井川淑美 愛媛 蝉しぐれ孫よ「ヒロシマ」学びしか 439号 3
池永露声 北海道 貧血の馬が殴られ秋日落つ 429号 2
池永露声 北海道 知床は水洟だらけ洒落気なし 431号 2
池長露声 北海道 逆上の気分充満羽抜鶏 437号 2
伊佐利子 福岡 ガラスの金魚電池のほたる写真の父 426号 4
伊佐利子 福岡 蕪白くなる甘くなる寒くなる 431号 3
伊佐利子 福岡 ひまはりや友のおなかに王子さま 438号 2
伊佐利子 福岡 玄海は無頼な匂ひ鳥渡る 439号 4
伊佐利子 福岡 コンペイトーのやうな園児ら星まつり 447号 2
伊佐利子 福岡 ぬばたまのおどろはむかし洗ひ髪 448号 2
伊佐利子 福岡 美女美食お金も好きと十夜僧 471号 1
伊佐利子 福岡 湯たんぽも母も単純明快なり 473号 2
伊佐利子 福岡 わが影に翁入りくる秋暑かな 489号 1
伊佐利子 福岡 山頭火好きの船長花に酔ふ 494号 1
伊佐利子 福岡 防人の通ひ路潮騒青葉騒 507号 2
伊佐利子 福岡 神宿る島に掬ひぬ天の川 518号 1
伊佐利子 福岡 惜しみたく無き年遅々と苛めつ子 530号 2
石井礼子 群馬 茄子の馬歩幅の合わぬ老ふたり 519号 4
石上邦子 愛知 やけに静か血管外科と黒葡萄 429号 3
石上邦子 愛知 意志的な靴音ひびくきさらぎや 429号 2
石上邦子 愛知 自分になれる喧噪の汗のサイゴン 438号 3
石上邦子 愛知 月代に紛れたき夜の化粧かな 449号 3
石上邦子 愛知 老いらくとおいらん並ぶ春の辞書 462号 4
石上邦子 愛知 我がふるさと活断層に種を蒔く 474号 1
石上邦子 愛知 樹に凭れ寂しげ父の日の男 476号 1
石上邦子 愛知 和解して髪梳き土用蜆かな 524号 2
石川和子 栃木 風邪ひきもいるらし洛中洛外図 443号 4
石川和子 栃木 つばくらめ綺麗な土をみちのくへ 484号 1
石川和子 栃木 意地張るごと桑の実甘し村の跡 487号 3
石川和子 栃木 みみず鳴く不意のプロペラぎこちなき 489号 2
石川和子 栃木 有袋類のごと赤子を抱き花見かな 494号 2
石川和子 栃木 十薬の花励ましの形なり 506号 3
石川和子 栃木 怠慢を月に揶揄され賢治読む 529号 3
石川青狼 北海道 矢は熊へ蝦夷国風図絵屏風 440号 2
石川青狼 北海道 愚かなる人間爆心地に日陰 448号 3
石川青狼 北海道 友は手で首切るしぐさ雪しずか 452号 2
石川青狼 北海道 木曾のなあ清水ひと口もうひと口 456号 4
石川青狼 北海道 闇に屈めば心底鬼や鬼やらい 463号 3
石川青狼 北海道 ブオーと霧笛首を牽引されている 465号 2
石川青狼 北海道 定年同士失業同士冬の旅 471号 2
石川青狼 北海道 森は森で枯葉被っているのです 480号 1
石川青狼 北海道 行き場なき漂流家族秋出水 490号 3
石川青狼 北海道 仰臥せし子規の宙あり蝶生るる 496号 2
石川青狼 北海道 訳もなくぶつかり歩くわが晩秋 500号 2
石川青狼 北海道 うたた寝の奥忘忘と島梟 501号 3
石川青狼 北海道 歯脱けの君禿頭の吾薬喰 502号 3
石川青狼 北海道 星の河鮭は憤怒の貌をなし 511号 4
石川青狼 北海道 万歩計して君は陽炎の虜 514号 3
石川青狼 北海道 密かなる戦中なのか初日浴ぶ 522号 2
石川青狼 北海道 個体は愛集団は憎春の鹿 526号 3
石川青狼 北海道 代わる代わる焼け付くような墓洗う 528号 1
石川まゆみ 広島 水羊羮いつか貧しき臀部かな 476号 2
石川まゆみ 広島 被曝樹へこの坂下る葉月かな 488号 2
石川まゆみ 広島 絶筆の推敲のあと霜雫 490号 4
石川まゆみ 広島 ギロチンありし国のシャンソン白桃食ぶ 498号 2
石川まゆみ 広島 酸素足るわが手わが足蚊の寄り来 507号 3
石川まゆみ 広島 大本営跡に尻乗せ神の留守 510号 2
石川まゆみ 広島 結婚指輪埋まる指なり手袋す 511号 5
石川まゆみ 広島 汗引くまで原爆ドーム眺めをり 518号 2
石川まゆみ 広島 蔦かづら姪に猫背の兆しかな 520号 2
石川まゆみ 広島 田螺たにしと酒盛る村のみんな消ゆ 523号 3
石川まゆみ 広島 てんと虫を吹いて邪魔する遊びかな 525号 2
石川まゆみ 広島 覚えなき死の堆し原爆忌 528号 2
石川義倫 静岡 さめやらぬ青大将のごろんかな 466号 3
石川義倫 静岡 生家なり陶の狸が落葉浴ぶ 481号 3
石川義倫 静岡 木の実降る敗者の歴史読みつぐ夜 500号 1
石川義倫 静岡 手術痕自慢の二月礼者かな 503号 2
石川義倫 静岡 捨て犬を連れてジューンブライドや 508号 2
石川義倫 静岡 素気ない賀状じゃないか老いたかやい 513号 1
石川義倫 静岡 鳥渡る夜の落葉樹林の上 529号 4
石田順久 神奈川 軍鶏三羽透けるまぶたの日向ぼこ 431号 4
石田順久 神奈川 血気さかんな童女に蹤きぬ一遍忌 438号 4
石田順久 神奈川 凍蝶に微動ありしを責めにけり 452号 3
石田順久 神奈川 玉虫や躁が刹那を横切るよ 457号 2
石田順久 神奈川 流れ星黒板キィーと鳴かせたり 459号 4
石田順久 神奈川 秋刀魚焼く母は私の影の中 469号 2
石田順久 神奈川 柞紅葉万朶の闇のひとかかえ 481号 4
石田順久 神奈川 そうめん流しわが確信の薄濁る 488号 3
石田順久 神奈川 ポッペン吹くよ国民学校同窓会 496号 3
石田順久 神奈川 日向灘七月心底明るい刹那だな 497号 2
石原光子 徳島 大根を提げわが脛の形も無し 480号 2
石山一子 埼玉 理由あって五月が好きで一生懸命 425号 2
石山一子 埼玉 偉いとか偉くないとか冬大根 442号 2
石山一子 埼玉 手をかけずそうして物は枯れてゆく 491号 2
石山一子 埼玉 人をさす無垢のその眼よ夏あざみ 497号 3
泉 尚子 熊本 岩かげに去年の空蝉春の暮 454号 3
泉 尚子 熊本 岩牡蠣ほうばる月をほうばる 485号 3
泉 尚子 熊本 落蝉と落蝉の距離近すぎる 488号 4
磯田政八 群馬 もの言わぬ民に育てる十二月 502号 4
磯田政八 群馬 蛇穴に学生街にバリケード 511号 6
市川正直 東京 分去れや捨てきれぬもの紅葉す 490号 5
伊地知建一 茨城 猫じゃらしそのまま話す野のことば 439号 5
伊地知建一 茨城 街の灯がこんなに並ぶ春の飢 445号 1
伊地知建一 茨城 約束を信じる俺に蝌蚪群れる 454号 4
伊地知建一 茨城 卒爾ながらえんまこおろぎ鳴いており 459号 5
伊地知建一 茨城 夏来たる男の口の半開き 465号 3
伊地知建一 茨城 笑うなよ石山を切り開く歓喜 487号 4
伊地知健一 茨城 さざめきの歌の山へ猪食いに 528号 3
市野記余子 埼玉 韮匂う真骨頂という言葉 424号 3
市野記余子 埼玉 淡彩の言葉水飯といいます 427号 4
市野記余子 埼玉 朱鷺色の鎖骨あるかな秋の暮 429号 4
市野紀余子 埼玉 西行忌樹下の母子の耳飾り 435号 3
市野記余子 埼玉 梟や安心といいほうといい 440号 3
市野記余子 埼玉 もう少しで啄木鳥になる仮眠 449号 4
市野記余子 埼玉 春雷を遠い山河と思いおり 465号 4
市野記余子 埼玉 梟よ君の水洟愛しかり 471号 3
市野記余子 埼玉 萍の向こうも萍寝そびれて 475号 2
一ノ瀬タカ子 東京 白鳥になりし初夢騒がしき 435号 4
一ノ瀬タカ子 東京 栗飯や筑波山下りて膝を折る 440号 4
一ノ瀬タカ子 東京 濁流や朴の咲く日は音消して 458号 2
一ノ瀬タカ子 東京 麦踏みのうしろの小言昼の月 462号 5
一ノ瀬タカ子 東京 やわらかき球体の鳥冬の掌に 484号 3
一ノ瀬タカ子 東京 赤とんぼ素足を洗う葬の家 489号 3
市原正直 東京 遊びからはみ出している蟹の足 433号 3
市原正直 東京 猫の恋みな近眼になっている 454号 5
市原正直 東京 蜜豆は首ふとくして食べるかな 457号 3
市原正直 東京 初しぐれ猫背の影をはしらせる 461号 2
市原正直 東京 嘘泣きの子役ならべて驟雨かも 476号 3
市原正直 東京 お尻から並べてみせる田植唄 486号 4
市原正直 東京 ふるさとは長き不在の晩稲かな 530号 3
市原光子 徳島 綿虫や地団駄踏むよう擦れ違う 440号 5
市原光子 徳島 野鯉群れて僧に教師に目借時 445号 2
市原光子 徳島 耕人に風のアドリブ斑のように 454号 6
市原光子 徳島 デッサンのような風です蛍袋 457号 4
市原光子 徳島 豪雨三日バケツリレーのようにかな 458号 3
市原光子 徳島 新じゃがを煮る眉山に眉を寄せ 466号 4
市原光子 徳島 ざざ漏れの晩節冬至かぼちゃ煮て 491号 3
市原光子 徳島 牡蠣フライ陸に浮寝の身の昏し 502号 5
市原光子 徳島 無言劇惚けちまったねこじゃらし 511号 7
市原光子 徳島 愛鳥日ばあ出すごとく鳥翔てり 515号 4
市原光子 徳島 きな臭き朝刊に乗す寒卵 522号 3
市原光子 徳島 半夏生略語に翻弄さる齢 526号 4
市原光子 徳島 濃き影を力に軽く踊り出す 528号 4
井出郁子 北海道 山百合や横にかぶりを振る投手 448号 4
井手郁子 北海道 不時着の気球であろう草紅葉 449号 5
井手郁子 北海道 絵蝋燭そこはかとない発芽です 455号 2
井手郁子 北海道 遠景にゲリラ傍らに花咲蟹 457号 5
井手郁子 北海道 初夏の黄河という名の赤ん坊 467号 2
井手郁子 北海道 八月の祈り草木にかぶれた手 468号 2
井手都子 北海道 更紗木蓮少ししわある顔曇る 476号 4
井手郁子 北海道 かもめよこぎって雪暗のオルガン 484号 2
井手郁子 北海道 腸壁にポリープ崖に燕の巣 486号 5
伊東明夫 神奈川 紅葉狩り攻撃的な猿に遭う 500号 3
伊藤 歩 北海道 ぼうふらやどこにでもすぐ腰下ろす 487号 5
伊藤 歩 北海道 月白や鏡のわれを訝しむ 499号 2
伊藤 歩 北海道 ひとり言溜まって春の河口かな 515号 5
伊藤 歩 北海道 凍蝶の棲み家となりし日記かな 521号 1
伊藤 巌 東京 黄落や逆光に鋭き人の声 500号 4
伊藤 巌 東京 ぶつ切りの章魚親友の喪の葉書 502号 6
伊藤 巌 東京 父の晩年盆地の遅き初日かな 512号 1
伊藤 巌 東京 大北風や全き八ケ岳の光るなり 513号 2
伊藤 巌 東京 茄子の馬南溟の兄乗せて来る 517号 1
伊藤 巌 東京 母はいま花野吹く風父の葬 519号 5
伊藤 巌 東京 武州なり夜を持ち上げて曼珠沙華 520号 3
伊藤 巌 東京 積み肥の湯気空に消え神遊び 523号 4
伊藤 巌 東京 餓死とう戦死遥か雨林に蛍の樹 530号 4
伊藤 和 東京 手ぶらという身の不均衡花りんご 426号 5
伊藤 和 東京 蚕しぐれの薄暮や老母淋しがる 431号 5
伊藤 和 東京 柞紅葉陽が射しわっと戦闘的 440号 6
伊藤 和 東京 ガラス一面ミモザの光線蜜のごと 453号 1
伊藤 和 東京 父を照らす山茱萸大樹吾に距離 475号 3
伊藤 和 東京 花片栗半分は秘密の日常 485号 4
伊藤 和 東京 青田の鷺染め抜かれたる寂しさは 489号 4
伊藤 和 東京 藤房や意志なきまま揺れ離る郷 495号 4
伊藤 和 東京 青葉照りてふ鏡の奥にわれ住まう 496号 4
伊藤 和 東京 鹿の子百合誰にも逢えぬ帰郷とや 507号 4
伊藤 和 東京 白桃剥く一気に官能高まる夜 516号 2
伊藤 和 東京 呼吸も思考も全身打撲乱れ菊 521号 2
伊藤 幸 熊本 地震止まず蟇の声さえ神々し 525号 3
伊藤 幸 熊本 月を愛ず付録のように妻を愛で 529号 5
井上俊一 愛知 短夜の夢は朦朧白い家 527号 2
伊藤淳子 東京 実にじつとしている猫も竹の子も 425号 3
伊藤淳子 東京 いつも一途な水の流れよ色鳥来 429号 5
伊藤淳子 東京 ゆりかもめ本を返しにゆくところ 433号 4
伊藤淳子 東京 いつも寝不足桜しべ降る本をめくる 434号 2
伊藤淳子 東京 蜘蛛の巣のけむりのごとき物忘れ 435号 5
伊藤淳子 東京 浜昼顔文脈とぎれとぎれなり 436号 6
伊藤淳子 東京 この水の広がりも旅山ほととぎす 437号 3
伊藤淳子 東京 鳥渡るこの遠浅の深夜感覚 439号 6
伊藤淳子 東京 鴨遠く解体の音のたそがれ 443号 5
伊藤淳子 東京 熊野山中胸にゆっくり逃水 446号 2
伊藤淳子 東京 雁や一度は目ざめる真夜であり 449号 6
伊藤淳子 東京 青ぎんなん感情握りしめたまま 450号 2
伊藤淳子 東京 野菊この空気荒れいて旅の漂い 451号 3
伊藤淳子 東京 十二月鵜の止まる木を日暮という 452号 4
伊藤淳子 東京 ひとりのときは鶴来る気配今年米 453号 2
伊藤淳子 東京 諏訪湖いま繭の昏さの夏来たる 456号 5
伊藤淳子 東京 河骨や一日をもう置き去りに 457号 6
伊藤淳子 東京 水澄めり直に響いて人声は 460号 3
伊藤淳子 東京 鳥の巣やふと手のひらの水たまり 464号 1
伊藤淳子 東京 花は葉に言葉を口にする不安 465号 5
伊藤淳子 東京 言葉とか雨は滲んで黒揚羽 467号 3
伊藤淳子 東京 ひとりとは巨岩見ている懐手 471号 4
伊藤淳子 東京 夜更かしの空気集まる山法師 476号 5
伊藤淳子 東京 蛇泳ぐかな人声のくぐもって 477号 2
伊藤淳子 東京 漁船いまだ陸に座礁や小鳥来る 480号 3
伊藤淳子 東京 黄落の人集まるを辺という 482号 3
伊藤淳子 東京 忘れものあるごと蛇をやり過ごす 485号 5
伊藤淳子 東京 水羊羹森のしずけさのつづき 486号 6
伊藤淳子 東京 感情のくぐもり朝のかたつむり 487号 6
伊藤淳子 東京 とんぼ飛ぶ音なくてこの日常感 490号 6
伊藤淳子 東京 久遠とはいつかは氷る水の底 493号 5
伊藤淳子 東京 冬鳥よわがさざなみを言葉とし 494号 3
伊藤淳子 東京 朝顔やわたしの影の波打際 498号 3
伊藤淳子 東京 夜更かしに紙の音して鼬の気配 500号 5
伊藤淳子 東京 凍てている地の水たまりたなごころ 503号 3
伊藤淳子 東京 漣は誰のあとがき鳥雲に 504号 2
伊藤淳子 東京 あかしや白花わが頬杖に倚りかかる 505号 5
伊藤淳子 東京 夏橙その手ざわりの過去を言う 509号 3
伊藤淳子 東京 青かりん言葉がふっとひとり歩き 509号 3
伊藤淳子 東京 鵜は今日も濁りをまとう春隣 513号 3
伊藤淳子 東京 薄氷よ思いはいつもゆっくり単純 514号 2
伊藤淳子 東京 どこか夏鳥旅の途中の昏さあり 516号 3
伊藤淳子 東京 草の穂にただ漣の人の声 520号 4
伊藤淳子 東京 麦秋や手ぶらのはずがこの重たさ 525号 4
伊藤淳子 東京 目の奥のわが潮騒よねぶの花 527号 1
伊東友子 埼玉 父の日の父早世の影法師 438号 5
伊東友子 埼玉 鯉の洗の虹色ほどに娘の円み 448号 5
伊藤友子 埼玉 補聴器が捉へし冬の尿の音 471号 5
伊藤友子 埼玉 灯下親し縄文土器に耳二つ 489号 5
伊東友子 東京 頬杖ながき無為の怖さの晩夏かな 508号 4
伊藤はる子 秋田 秋の雷夜さりの雨を連れ廻す 450号 3
伊藤はる子 秋田 花びら餅もほむほもほと話すかな 452号 5
伊藤はる子 秋田 白胡麻ほどの水芭蕉また来ます 454号 7
伊藤はる子 秋田 畦塗りをきれいに仕上げ祖国びと 455号 3
伊藤はる子 秋田 稀の青空昼火事に立ち止まる 472号 1
伊藤はる子 秋田 真ん中に刈田ひろがる待ち時間 479号 2
伊藤はる子 秋田 昼灯し狐火のよう車間距離 492号 2
伊藤雅彦 東京 少年は透明な矛盾梨の花 504号 3
伊藤雅彦 東京 連翹の黄に起こされる八十路かな 517号 2
伊藤雅彦 東京 非正規のままの定年田螺食ぶ 518号 3
伊藤雅彦 東京 薺粥鴨長明も啜ったか 522号 4
伊藤雅彦 東京 謝罪なき式辞軽しよ敗戦日 528号 5
伊藤由貴江 群馬 桜花散る夕べ私は星に生きている 424号 4
糸山由紀子 長崎 跪く空蝉の鈴生りの木に 430号 3
糸山由紀子 長崎 一捕虜の父の奏でるバラライカ 438号 6
糸山由紀子 長崎 立春大吉カフカという猫出奔す 502号 7
糸山由紀子 長崎 夭折は叶わぬ夢でありにけり 513号 4
稲岡巳一朗 島根 秋風は戦争告知かも知れず 429号 6
稲田豊子 福井 十二月遠い人からポケットに入れ 432号 3
稲田豊子 福井 わが消す灯亡母が灯して秋がくる 439号 7
稲田豊子 福井 鉛筆はまだ降り出さぬ雪を書く 461号 3
稲田豊子 福井 猫じやらしくすぐつたり粥こぼしたり 480号 4
稲田豊子 福井 齢とは置物のようです春の雪 484号 4
稲田豊子 福井 母を灯し夫を翳して寒北斗 512号 2
稲田豊子 福井 息切れを孤独と思うねじり花 518号 4
稲田豊子 福井 頭から蛍こぼれますお地蔵さま 526号 5
稲田豊子 福井 女の声のどっと芙蓉明りかな 528号 6
稲葉千尋 三重 島の海女耕人となり母となり 438号 7
稲葉千尋 三重 山古志の露晴れて牛角突けり 441号 5
稲葉千尋 三重 鮮やかや耳朶掠む熊ん蜂 446号 3
稲葉千尋 三重 実柘榴と法然上人赤ら顔 451号 4
稲葉千尋 三重 満一歳鶺鴒ほどの小走りや 452号 6
稲葉千尋 三重 黄砂の八A病棟に来る牛乳売り 456号 6
稲葉千尋 三重 蛇掴みて仲間はづれと思ひけり 458号 4
稲葉千尋 三重 炭窯は山を離れず父は亡し 464号 2
稲葉千尋 三重 白さるすべり祖は大きな波しぶき 469号 3
稲葉千尋 三重 村の僧乾布摩擦の白きこと 472号 2
稲葉千尋 三重 虎杖は鍵師の堅さぽんと鳴る 476号 6
稲葉千尋 三重 綿虫や人がセシウム放ちても 480号 5
稲葉千尋 三重 猪に齧られている新塔婆 481号 5
稲葉千尋 三重 備中鍬のわれは蟹股草ひばり 489号 6
稲葉千尋 三重 枇杷の実や六十路は唾を飛ばすなり 496号 5
稲葉千尋 三重 原発のそば圧倒的な舟虫よ 500号 6
稲葉千尋 三重 鳥雲に被爆者が飼う被曝牛 504号 4
稲葉千尋 三重 遠流のごと去りしふくしま夏あざみ 506号 4
稲葉千尋 三重 青虫とる指の鮮烈あたたかし 510号 3
稲葉千尋 三重 被曝牛を語る沢庵噛むように 524号 3
井上湖子 群馬 初野分眷属ふっと山を見る 430号 4
井上湖子 群馬 卓球の流星桃の花咲かす 444号 4
井上湖子 群馬 種子を蒔くしぐさ錠剤口中へ 455号 4
井上湖子 群馬 鹿の尻白く誘う時雨暗 461号 4
井上湖子 群馬 瓦礫ばかりの干潟見据える夏鴉 477号 3
井上湖子 群馬 花菜の黄愚行もありし祖を囲む 485号 6
井上湖子 群馬 冬の鳥投票してきてまた黙す 512号 3
井上俊一 愛知 凩や転がっている俺の理由 441号 6
井上広美 東京 記憶その愛しき枷よ白木槿 448号 6
井上広美 東京 早まって水鉄砲に顔向ける 517号 3
井上広美 東京 雛飾る爪先立ちのバレリーナ 523号 5
今福和子 鹿児島 雨樋に草伸びあがる秋思かな 430号 5
今福和子 鹿児島 崖下に婚礼の家蜘蛛は巣に 438号 8
今福和子 鹿児島 湾奥や酢甕のさわぐ鉦叩 451号 5
今福和子 鹿児島 わが友等長命にして梅雨鯰 456号 7
今福和子 鹿児島 降る火山灰に茄子一輪の花かがやく 467号 4
今福和子 鹿児島 蛇の衣手にシロアリの駆除終わる 478号 1
今福和子 鹿児島 百姓兼禰宜に道草の花匂う 484号 5
今福和子 鹿児島 湾奥に住み古り黒酢仕込みをり 501号 4
岩佐光男 岐阜 溝蕎麦や尼僧がひょいと跨ぐなり 439号 8
岩佐光雄 岐阜 星の綺羅雪くる前の田に佇てば 441号 7
岩佐光雄 岐阜 鈍行や雪の浮力は詩のような 442号 3
岩佐光雄 岐阜 旱魃のビル街にあり皿廻し 449号 7
岩佐光雄 岐阜 五月巨きこの立ち眩み立山は 455号 5
岩佐光雄 岐阜 海憶う手話の白さのよく撓う 456号 8
岩佐光雄 岐阜 橋裏や小春の亀と吾が破顔 460号 4
岩瀬徳次 群馬 賽銭を拾わず踏まず初詣 442号 4
岩瀬徳次 群馬 膝抱けば野猿の姿桃熟れる 447号 3
岩間愛子 茨城 赤とんぼ肩にくるくる神の声 439号 9
植田郁一 東京 生かされて腰に巾着蚊取り線香 428号 1
植田郁一 東京 立ちて消える虹の両極征きし逝きし 437号 4
植田郁一 東京 描ききれず征く夕灼けを妻に母に 439号 10
植田郁一 東京 祖へ帰る崩落の山も残雪も 446号 4
植田郁一 東京 チャグチャグ馬コ先頭が糞るつぎつぎ糞る 448号 7
植田郁一 東京 摩文仁に招ばれ星の隙間にわたしの席 451号 6
植田郁一 東京 貧乏疎開と呼ばれし故郷氷流れる 524号 4
植田郁一 東京 祭囃子未知は遠のく過去近づく 528号 7
上田和代 大阪 今日もまた日永の油断やっつけ飯 525号 5
上田久雄 石川 自分らしさの自分が見えぬ夜の吹雪 472号 3
上田久雄 石川 悪役の居ない台本マスクする 491号 4
上田久雄 石川 度忘れは可憐な解脱冬欅 513号 5
上田久雄 石川 いい日旅立ち路上に乾く蚯蚓どち 517号 4
上田久雄 石川 芋煮る母ぼそぼそ父の正信偈 519号 6
上田久雄 石川 罠に猪観世音立つ丘に霧 520号 5
上野昭子 山口 蛇穴を出て口の中見せにけり 444号 5
上野昭子 山口 方精の終りし河豚と目が合いぬ 456号 9
上野昭子 山口 すす逃や老人手帳ふところに 461号 5
上野昭子 山口 句敵やそれとも寝ずのほととぎす 466号 5
上野昭子 山口 紅葉狩り黄砂がすでに来ておりぬ 470号 3
上野昭子 山口 鶴四羽村の鍛冶屋を悲します 471号 6
上野昭子 山口 心臓手術せぬ一徹の煤払う 481号 6
上野昭子 山口 稲架解いて厨にもどる背中かな 510号 4
上野昭子 山口 ときどきは暗くなる日の蕗を煮る 526号 6
上野昭子 山口 人類と書く八月六日かな 527号 3
上原勝子 神奈川 冬三日月老人涅槃の木菟彫る 433号 5
上原勝子 神奈川 木の芽雨ふあっと生きて明日を読む 444号 6
上原祥子 山口 風青し卓球少女チョオと叫ぶ 425号 4
上原祥子 山口 月の友象の眼をして集まれり 429号 7
上原祥子 山口 端居してのっと月日が傾いて 437号 5
上原祥子 山口 曝書して牛の歩みの黒々と 447号 4
上原祥子 山口 蜂の仔喰うて愛の荒廃思ひけり 450号 4
上原祥子 山口 影たちの困惑斑雪野にひろがって 463号 4
上原祥子 山口 春のからだ無畏の軌道を描きをり 464号 3
上原祥子 山口 浮くという在り方黒苺つぶしながら 488号 5
上原祥子 山口 寒雷や違う言葉で問いつめる 502号 8
植村金次郎 三重 百足見ての一瞬の殺意許されよ 436号 7
植村金次郎 三重 畦道は父の二の腕大西日 437号 6
植村金次郎 三重 枕頭のペン柔らかき囀りです 444号 7
植村金次郎 三重 近寄るや他人行儀な芋の露 453号 3
宇川啓子 福島 苺つぶす戻り波のように鬱 427号 5
宇川啓子 福島 下駄高く放る占い馬肥ゆる 441号 8
宇川啓子 福島 赤ん坊とたんぽぽ時間たんぽぽ語 446号 5
宇川啓子 福島 ひとに会う前の孤独に梅雨の月 457号 7
宇川啓子 福島 蜘蛛の囲のなべて大きな限界集落 462号 6
宇川啓子 福島 向日葵に赤子を高く高く上げ 468号 3
宇川啓子 福島 嘘多少持ち合ひて来し十三夜 469号 4
宇川啓子 福島 春日影不在のように座す少年 474号 2
宇川啓子 福島 東北は無口重ねて花は葉に 477号 4
宇川啓子 福島 「天福地福」語る夜長よ福島よ 481号 7
宇川啓子 福島 福島は冬噛みしめて踏みしめて 482号 4
宇川啓子 福島 みちのくのまるごと愛し囀れり 484号 6
宇川啓子 福島 語部は吾が身語らず栗の花 487号 7
宇川啓子 福島 椋鳥群れる想定内に再被曝 511号 8
宇川啓子 福島 鳥の恋は被曝検査の対象外 514号 4
宇川啓子 福島 セシウムに花眼を凝らし花は葉に 515号 6
宇川啓子 福島 弁舌に戦が匂う霾ぐもり 524号 5
宇川啓子 福島 九条守れ鬼灯いっぱい両の手に 528号 8
宇田蓋男 宮崎 肥後の女は筋金入りの眠りかな 425号 5
宇田蓋男 宮崎 トルコ桔梗踵返すも選択なり 437号 7
宇田蓋男 宮崎 配管工Aに安らぎ枯草宇宙 445号 3
宇田蓋男 宮崎 冬来たりなば白バイに追い越さる 463号 5
宇田蓋男 宮崎 人だかりは苦痛の一匙夕時雨 483号 1
宇田蓋男 宮崎 クレマチス妻を名前で呼ぶことはない 507号 5
宇田蓋男 宮崎 飼い猫のような返事の春炬燵 513号 6
宇田蓋男 宮崎 憂える国の毛虫に刺され草に負け 521号 3
宇田蓋男 宮崎 大根畑の土から上の下世話かな 523号 2
宇田蓋男 宮崎 梨の花好いとこ取りのわが記憶 525号 6
内田利之 兵庫 人類も黴と言うべし梅雨に入る 425号 6
内田利之 兵庫 人生論舌に触らぬ鱧の骨 429号 8
内田利之 兵庫 源流は知らず河口に青鷺 448号 8
内田利之 兵庫 額の花耳遠くして白し白し 477号 5
内田利之 兵庫 ステッキでばったの格好してみたり 480号 6
内田利之 兵庫 貝塚ともなれや焼牡蠣飽かず食う 484号 7
内田利之 兵庫 入道雲そもそも大志なかりけり 486号 7
内田利之 兵庫 技比べせむとや並びし蟻地獄 495号 5
内田利之 兵庫 油虫撃ちてし止まむ四つん這い 496号 6
内田利之 兵庫 赤ちゃんが桜吹雪を掻き交ぜる 504号 5
内田利之 兵庫 麦の秋百合子の播州平野かな 517号 5
内野 修 埼玉 人間は毛虫を潰し口開く 427号 6
内野 修 埼玉 冬の山獣の糞に木木の種 428号 2
内野 修 埼玉 仏頭が地に落ち蟻をつぶしけり 436号 8
内野 修 埼玉 燕来て我が家我が家と喋りけり 437号 8
内野 修 埼玉 明るくて暗き人をり雪の中 455号 6
内野 修 埼玉 紅葉狩り鹿や猪食ふ人も 473号 3
内野 修 埼玉 農の父桑天牛の首を 479号 3
内野 修 埼玉 春の富士より頂けり野糞の座 493号 6
内野 修 埼玉 猫黒し虞美人草を折り曲げて 496号 7
内野 修 埼玉 白白と鹿の眼窩に落花かな 498号 4
内野 修 埼玉 ちらちらと雪ちらちらと雪にひと 503号 4
内野 修 埼玉 人は去り旧谷中村鷹は飛ぶ 505号 6
内野 修 埼玉 にこにこと春のお日様はげ頭 516号 4
内野 修 埼玉 巨木あり巨木ありとふ山の蝉 519号 7
内野 修 埼玉 万緑に浸り静かに猿のボス 528号 9
宇野律子 神奈川 きぶし咲くヨガのポーズはライオン 434号 3
宇野律子 神奈川 不惑とは暗号めきて花は葉に 437号 9
宇野律子 神奈川 餅搗きの前夜の母は決起めき 442号 5
宇野律子 神奈川 雪渓に雷鳥という図式ふと 458号 5
宇野律子 神奈川 夏の星伯母はとぼけて白寿かな 467号 5
宇野律子 神奈川 燕帰る始発電車を追い越して 479号 4
宇野律子 神奈川 止めときな腹いせの酒梅雨の川 486号 8
梅川寧江 石川 人の世の方円に水こぼれ萩 468号 4
梅川寧江 石川 あきらかや尾行している夜の落葉 481号 8
梅川寧江 石川 秋桜ラッパ鳴らして柩行く 499号 3
梅川寧江 石川 てふてふてふてふおほかた相聞歌 514号 5
梅川寧江 石川 蛍袋さうして誰もゐない部屋 515号 7
梅川寧江 石川 野合という不埒な言葉そぞろ寒 522号 5
梅川寧江 石川 訥訥と古びし愛を生身魂 528号 10
江井芳郎 福島 草取って当たり前なる葱畑 447号 5
江井芳郎 福島 万愚節中古洗濯機を買へり 474号 3
江井芳郎 福島 懐かしい日の丸飯や避難われ 475号 5
江井芳郎 福島 無惨やな放射能の椎茸捨つ 477号 6
江井芳郎 福島 熱帯夜仮設隣家より木魚 478号 2
江井芳郎 福島 星月夜仮設に繕ひ物の妻  479号 5
江井芳郎 福島 大津波の防潮林に羽衣あり 480号 7
江井芳郎 福島 蕗の薹瓦礫の山のどん底や 483号 2
江 津 神奈川 雲の峰たれにもひとつうしろ山 497号 4
榎本愛子 山梨 飽食のうしろめたさよ狐罠 433号 6
榎本愛子 山梨 青磁のような馬と眠りし白夜かな 438号 9
榎本愛子 山梨 足萎えし母はさざなみ百千鳥 444号 8
榎本愛子 山梨 片耳の聞こえぬボクサー夏の星 467号 6
榎本愛子 山梨 マラソンのしぐるる一団君ありき 471号 7
榎本愛子 山梨 病む白鳥に母にこんなに月あかり 481号 9
榎本愛子 山梨 舐めて貼る鳥の切手や遍路宿 486号 9
榎本愛子 山梨 涙もろい母よ微震よ明易し 488号 6
榎本愛子 山梨 朝顔や形状記憶の怒り肩 505号 7
榎本愛子 山梨 綴れ刺せわたしのあたりはすぐ昏れる 510号 5
榎本愛子 山梨 踵に波の記憶や遠花火 516号 5
榎本愛子 山梨 梟の闇よはるかな浮遊感 520号 6
榎本愛子 山梨 わが胸の深さに破船朧の夜 524号 6
榎本愛子 山梨 照明燈に火蛾と義足のアスリート 527号 4
榎本祐子 兵庫 茱萸熟れて眼中の子の拗ねている 428号 3
榎本祐子 兵庫 青枇杷や徘徊癖の人を見る 435号 6
榎本祐子 兵庫 アルバムに静止の君にざんざ降り 438号 10
榎本祐子 兵庫 うたた寝は群鶴の足ばかりなり 442号 6
榎本祐子 兵庫 末枯れやお菓子の時間そっとある 450号 5
榎本佑子 兵庫 日本の蝉の木お昼ごはんかな 458号 6
榎本佑子 兵庫 退屈な犬に嗅がれて蝸牛 467号 7
榎本佑子 兵庫 鮃一枚きれいに食べて神無月 469号 5
榎本祐子 兵庫 冬の家皆正座して鯉食べる 471号 8
榎本祐子 兵庫 牡蠣啜るひとりは遠くばかり見て 473号 4
榎本祐子 兵庫 鳥雲に地に残るもの蹲る 474号 4
榎本祐子 兵庫 春の波踏んで哀しい尿意かな 475号 4
榎本祐子 兵庫 蚕豆の物語する小部屋あり 477号 7
榎本祐子 兵庫 萍を片寄せ流離はじまりぬ 478号 3
榎本祐子 兵庫 もの忘れ芒にこつん風にこつん 481号 10
榎本祐子 兵庫 冬麗や完璧な横顔の過ぐ 482号 5
榎本祐子 兵庫 蝶が湧く洞のあり誰にも言わぬ 484号 8
榎本祐子 兵庫 羽抜鶏の王なり正しき喉仏 485号 7
榎本祐子 兵庫 忌日なり頬に草あかり水あかり 486号 10
榎本祐子 兵庫 父にまた鳥の影添う茅の輪かな 487号 8
榎本祐子 兵庫 蕗や自我くたくたに煮て おやすみ 497号 5
榎本祐子 兵庫 名月を戴きこの家肉食す 499号 4
榎本祐子 兵庫 ふるえているこころ白ふくろうに寂 503号 5
榎本祐子 兵庫 還暦や土筆ぎくしゃく煮殺して 504号 6
榎本祐子 兵庫 胸の辺にありて揚羽の水飲み場 506号 5
榎本祐子 兵庫 誕生日空蝉の鳴る小箱ある 507号 6
榎本祐子 兵庫 いきものの素足や月に触れてゆく 509号 4
榎本祐子 兵庫 散華とや母が家に雪の降る 512号 4
榎本祐子 兵庫 和御霊ががんぼのつるみおるなり 518号 5
榎本祐子 兵庫 狐火を自由にさせて眠るなり 522号 6
榎本祐子 兵庫 春立つ日遊んで胸のぬた場かな 523号 6
榎本祐子 兵庫 四葩咲く生臭きもの日々食べて 526号 7
榎本祐子 兵庫 さわさわとこおろぎの寄る枕かな 529号 6
戎 武子 岡山 くもは網張る私は私の霞網 434号 4
戎 武子 岡山 庭に真白き蝶きてヒラヒラ語り 437号 10
江良 修 長崎 月と日と吾のなす初夏の三角形 465号 6
江良 修 長崎 産声や水辺の森の冬の星 511号 9
江良 修 長崎 被爆土へ浸みこむように水を打つ 517号 6
大内冨美子 福島 冬陽さす老人の笑み狭庭に満つ 432号 4
大内冨美子 福島 石化した私すり抜け梅雨晴間 447号 6
大内冨美子 福島 玻璃越しに冬の鳥立つ顔撓る 452号 7
大内冨美子 福島 若葉光常のいとなみさがしてよ 475号 6
大内冨美子 福島 線量ざわつく生粋の落葉かな 480号 8
大内冨美子 福島 被曝地背負う雪山高し真白し 483号 3
大内冨美子 福島 レクイエムみちのく広々冬の波 492号 3
大内冨美子 福島 語れぬ重さ背負い込む 508号 5
大上恒子 神奈川 風知草琵琶湖に鼓動わたしの鼓動 427号 7
大上恒子 神奈川 大根擂るじゅわっと阿耨達池かな 451号 7
大上恒子 神奈川 白露かわれかまろんで産土へ 460号 5
大上恒子 神奈川 燕帰る小さき傷みを匿して童よ 499号 5
大上恒子 神奈川 大気汚染わが喘鳴のうしろ臘梅 522号 7
扇谷千恵子 富山 老僧のさがりし肩に極楽鳥 476号 7
扇谷千恵子 富山 ほとけのざすずなすずしろはだれ髪 493号 7
大口元通 愛知 杖をもって酔芙蓉打つ老境なり 430号 6
大口元通 愛知 寒鯉を連れ去ってゆく建築屋 441号 9
大口元通 愛知 泰山木の花誰か喚いている奴が 448号 9
大口元通 愛知 冬ざれの捨て舟に乗る忙中閑 453号 4
大口元通 愛知 春あけぼのを猫が見ている不思議かな 464号 4
大口元通 愛知 夏水仙老いてゆく日を賑やかに 479号 6
大口元通 愛知 月明のセシウム光りおるならむ 489号 7
大口元通 愛知 村芝居歩くところを走ってる 500号 7
大沢輝一 石川 春昼や見える限りの木のばんざい 425号 7
大沢輝一 石川 まっ赤なる鯉冬の字のひとつかな 432号 5
大沢輝一 石川 昔ほたるは馬の眸に棲んでいた 447号 7
大沢輝一 石川 山椒魚べたっと大地になっている 448号 10
大沢輝一 石川 秋情虫のかたちの少女たち 450号 6
大沢輝一 石川 ぽつんと父十の青田の月愛し 458号 7
大沢輝一 石川 閑けさや木の蝉まれに失禁す 468号 5
大沢輝一 石川 心ひとつが屈葬のごと浸る新緑  477号 8
大沢輝一 石川 左義長や新聞燃える燃えない字 483号 4
大沢輝一 石川 土以上に父は土です梅雨最中 498号 5
大沢輝一 石川 空家じゃない私がいないだけの冬 502号 9
大沢輝一 石川 田を上がる父と蛙は扁平だ 507号 7
大沢輝一 石川 原爆忌影には骨が無いのです 508号 6
大沢輝一 石川 魚の骨緻密な秋の一つです 509号 5
大沢輝一 石川 火消壺春のひとつの終り方 515号 8
大沢輝一 石川 馬鈴薯の明るいおぎゃ稚いおぎゃ 526号 8
大下志峰 福井 狼や水位あがりし日本海 431号 6
大下志峰 福井 恋猫の流木上で争えり 444号 9
大島昌継 福島 夢や海嘯の盗汗や眼前に青芒 478号 4
大島昌繼 福島 不機嫌な闇へ下駄置く秋千草 509号 6
大高俊一 秋田 塔婆もて蛇打ち母に叱られる 427号 9
大高俊一 秋田 毛皮着てよもつへぐいの類かな 432号 6
大高俊一 秋田 褌を垂らす天井万愚節 435号 7
大高俊一 秋田 うぶすなのへそ無防備な鏡餅 444号 10
大高俊一 秋田 犀迫るからだに嫌な暖かさ 445号 4
大高俊一 秋田 ぶなの雪間はぶな千年の幹まわり 455号 7
大高俊一 秋田 これ位の月なら猫の重さかな 459号 6
大高俊一 秋田 恐山亀のこうらを団扇にす 464号 5
大高俊一 秋田 姪嫁ぐ髪がヨットのかたちして 483号 5
大高宏充 東京 わが脳髄のジャズ涸らすなよ青水無月 467号 8
大高宏充 東京 本流も支流も放射能ホタル 486号 11
大高宏充 東京 冬の寺微塵はひかりまみれなり 491号 5
大高宏充 東京 わが影のひと口の水油照り 498号 6
大高宏充 東京 今という迷宮があり利久梅 505号 8
大高宏充 東京 春眠は積木の町のようなもの 523号 7
大高宏充 東京 ざくざくやざくざく軍靴蝉の穴 528号 11
大高洋子 東京 虎落笛人が住んでいて荒れる家 483号 6
大高洋子 東京 冬の木の間に冬の木のぶらんこ 512号 5
大高洋子 東京 月日というはかない沼にリラの冷え 514号 6
大高洋子 東京 壊れる家壊される家思い草 520号 7
太田順子 兵庫 よく笑い枡目に愛と書く五月 425号 8
太田順子 兵庫 夢もゆめわたし師走の月の上 440号 7
大谷 清 埼玉 白ふくろうは遠火事にきている 440号 8
大谷 清 埼玉 ひかりごけのひかりは鹿に沁み入るかな 489号 8
大谷 清 山梨 紅白饅頭でもなくあらゆる朧かな 497号 6
大谷 清 山梨 半迦思惟のころかなみょうが咲くまでは 507号 8
大谷 清 山梨 おはぎたべる見えない穴が無数なり 528号 12
大谷昌弘 千葉 恐竜のような匂いの夏の橋 427号 10
大谷昌弘 千葉 銃殺や我等は何もせねど雪 442号 8
大谷昌弘 千葉 老人と少年餅搗く旅の果 461号 6
大谷昌弘 千葉 旅行けば老婆が一人泥鰌掘る 463号 6
大谷昌弘 千葉 コンビニでおでん買うごと平和論 471号 9
大谷昌弘 千葉 少年僧清く木耳採りにけり 477号 9
大谷昌弘 千葉 春愁は河馬のあくびのごときもの 485号 8
太田雅久 石川 家毎に男ひとりの花粉症 427号 8
大西昭治 広島 備讃瀬戸触れんばかりに星が飛ぶ 448号 11
大西昭治 広島 恋猫は弾丸のごとくに追はれけり 453号 5
大西健司 三重 吉野水分猪いっしんに掘るなり 424号 5
大西健司 三重 鯨神輿浜が消えたとうねります 436号 9
大西健司 三重 絵日記の川蜻蛉淡くつるみけり 437号 11
大西健司 三重 ででむしや伊勢に木遣と木を曳く衆 438号 12
大西健司 三重 牛飼いも蓮如も雪の峠越ゆ 442号 7
大西健司 三重 馬市の風になりゆく曼珠沙華 449号 8
大西健司 三重 みくまりや猪は葛の根噛むという 455号 8
大西健司 三重 如月の鷹を熊野と呼びにけり 464号 6
大西健司 三重 放馬そのたてがみ蛍の火にさらす 467号 9
大西健司 三重 旅籠船津屋猪に杉戸を壊されぬ 473号 5
大西健司 三重 匂玉の闇にふくろう青みゆく 485号 9
大西健司 三重 麦秋や島に屈葬ゆえなくあり 487号 9
大西健司 三重 牛飼いの老爺被曝の牛を抱く 495号 6
大西健司 三重 鶏頭の種を熊野にこぼしおり 500号 8
大西健司 三重 ずぶ濡れの姉が桑の実くれしかな 508号 7
大西健二 三重 少し酔えばうりずんと呼ぶ馬を抱く 516号 6
大西健二 三重 鮫という駅北にあり梅真白 524号 7
大西健司 三重 牢番の蝋石をもて詩を書けり 525号 7
大西宣子 愛媛 春一番くびれ自慢の少女達 493号 8
大西宣子 愛媛 どんぐりが屋根を打つ音軽い幽閉 511号 10
大西政司 愛媛 おとうとは河童の頭象の尻 466号 6
大西政司 愛媛 青かった地球は昔むかしかな 510号 6
大西政司 愛媛 月冴えて雪隠まるでコックピット 513号 7
大西幸子 愛媛 辻褄が合わなくなるとサングラス 472号 4
大野泰司 愛媛 小鳥来る僕らの痩せる日常へ 460号 6
大野泰司 愛媛 水光りへとほぐれる民の田植かな 465号 7
大野泰司 愛媛 雲雀野の傾きかげんを君に送る 474号 5
大野泰司 愛媛 永訣の水に小さき牛蛙 487号 10
大野泰司 愛媛 果樹園は梅雨の電球より静か 497号 7
大野千穂 宮崎 軍馬描かれ春は私を泣かすなり 432号 7
大野美代子 愛媛 茄子の馬九人も乗って傾きぬ 489号 9
大野美代子 愛媛 くちなわの寝息きこえる博多帯 496号 8
大野美代子 愛媛 青大将一瞬ひやり乳房かな 528号 13
大原 春 秋田 家にあらば雪掻く刻や旅の膳 500号 9
岡崎文都 東京 大法螺ふきの囲む焚火が消えんとす 440号 9
岡崎文都 東京 寄せてくる遁走曲の牛や晩夏なり 457号 8
岡崎文都 東京 広辞苑の上に兎のぬいぐるみ 498号 7
岡崎正宏 埼玉 地上にて飛行士のごと夏に会ふ 446号 6
岡崎正宏 埼玉 天上に雪蕾みをり開きをり 451号 8
岡崎正宏 埼玉 父の肩叩けば木の実降る如し 469号 6
岡崎正宏 埼玉 東京は集積回路穴惑 470号 4
岡崎正宏 埼玉 死に給ひゆく我が母の初明り 472号 5
岡崎正宏 埼玉 朝顔や光の中を母逝きぬ 477号 10
岡崎正宏 埼玉 にんげんや花火のように核を持つ 485号 10
岡崎正宏 埼玉 人体は冬の装置のごと清し 490号 7
岡崎正宏 埼玉 森よりも梟よりも暗い平和 519号 8
岡崎正宏 埼玉 流木にあらず九条は滝である 525号 8
岡崎万寿 東京 鵲の未明のコーリアわれの巡礼 430号 7
岡崎万寿 東京 万緑や宇宙にひとつ被爆星 437号 12
岡崎万寿 東京 流氷や闇深きまま人間軋む 443号 6
岡崎万寿 東京 祭笛活断層の上にかな 446号 7
岡崎万寿 東京 帰る燕還らぬ義兄はまだルソン 460号 7
岡崎万寿 東京 自然なり西に満月初日の出 462号 7
岡崎万寿 東京 軍服の族何人門火焚く 468号 6
岡崎万寿 東京 秋水こんこん老いて情の高ぶるも 469号 7
岡崎万寿 東京 生きてやろ枯木の山が好きだから 472号 6
岡崎万寿 東京 赤蛙人間も絶滅危惧種かな 476号 8
岡崎万寿 東京 「悩むことはない」と声あり曼珠沙華 479号 7
岡崎万寿 東京 枯蟷螂まだ斧あげてわが身かな 491号 6
岡崎万寿 東京 でこぼこの老兵ここに葱坊主 495号 7
岡崎万寿 東京 思いったけ老鴬のソロ我一人 496号 9
岡崎万寿 東京 遠く近く昭和の残響多喜二の忌 503号 6
岡崎万寿 東京 歳月や秋風に置く遺影と新著 519号 9
緒方 輝 東京 八月や地球に二つ爆心地 428号 4
緒方 輝 東京 鴻毛の兵ながらへて冬耕す 431号 7
緒方 輝 東京 母の日や兵士の母は百五歳 446号 8
緒方 輝 東京 戦犯の父や父の日来たりけり 447号 8
緒方 輝 東京 八月の西空きのこ雲ふたつ 448号 12
緒方 輝 東京 鶴渡る被爆の楠の真上かな 450号 7
岡田弘子 愛知 若冲をあつく語りて夜長かな 500号 10
岡田百代 埼玉 流鏑馬の高ぶりほぐす春の川 453号 6
尾形ゆきお 千葉 詩を捨てて生きるか夜の曼珠沙華 500号 11
小川久美子 群馬 父逝けり子供を夜歩きさせるなとぞ 428号 5
小川久美子 群馬 無花果の木下闇まで耕す父 431号 8
小川久美子 群馬 十月は父の忌父似の仏さま 467号 10
小川久美子 群馬 北信五嶽夭夭の桃懐に 468号 7
小川久美子 群馬 星祭おつりのやうな日々と言ふ 488号 7
小川久美子 群馬 仲直り白菜甘しと言いながら 502号 10
小川久美子 群馬 叔父よ慟哭く雪崩の下の葡萄畑 503号 7
小川楓子 神奈川 マスクとる虎のおしつこには注意 512号 6
小川楓子 神奈川 素足ですし羊歯類の王ですわたし 516号 7
小川楓子 神奈川 ブルゾンをかりてうふふふつてかへした 521号 4
小木ひろ子 東京 揚羽蝶の黒も夏のいとしさ樹間過ぐ 432号 8
小木ひろ子 東京 秋の海我は泳げぬ能登女 439号 11
小木ひろ子 東京 花の名まちがえ百歳老女にしかられる 451号 9
荻原信子 埼玉 プードルと背中あわせの熱帯夜 428号 6
奥田筆子 京都 春落葉詰物として副葬品 445号 5
奥田筆子 京都 ストローの不覚の音や秋薔薇 460号 8
奥田筆子 京都 竹夫人われは正室足のせる 468号 8
奥貫恵巳 富山 トマト頬張るあの夢逃がせない 438号 11
奥貫恵巳 富山 月が出るてのひらの砂へ自問自答 448号 13
奥野ちあき 北海道 現実の蟻の二割のサボタージュ 496号 10
奥野ちあき 北海道 野良猫にまみれて師走の子供かな 511号 11
奥野ちあき 北海道 底抜けに笑う湯豆腐吾のもの 520号 8
奥山和子 三重 冬耕や石の中から石拾う 431号 9
奥山和子 三重 抱いて寝る山霧の子の柔らかさ 450号 8
奥山和子 三重 鹿ぴうと鳴くから深く眠れない 453号 7
奥山和子 三重 クリオネの羽搏きほどの更年期 462号 8
奥山和子 三重 冬眠の蛇より細くなりし指 472号 7
奥山和子 三重 青虫がだんだん夫に似てこまる 474号 6
奥山和子 三重 水底の見えない川へ蛇流す 477号 11
奥山和子 三重 枇杷の花土舐めて土確かめる 490号 8
奥山和子 三重 鳥だった肉片を焼く川開き 497号 8
奥山和子 三重 花冷えや皿洗うよう顔洗う 514号 7
奥山和子 三重 青葉風散文的に家事をする 515号 9
奥山津々子 三重 嫁が君ほうろく焼の握り飯 441号 10
奥山津々子 三重 屋根裏に蛇這う音の昭和かな 508号 8
小暮洗葦 新潟 待たれいて黒ネクタイの長さかな 425号 9
小暮洗葦 新潟 流されし風に噛みつき鬼ヤンマ 430号 8
小暮洗葦 新潟 われもまた銀河びとなり流れるなり 432号 9
小暮洗葦 新潟 青竹にカーンと礫卒業す 435号 8
小暮洗葦 新潟 先導の蟻小ざかしき髭を振り 439号 12
小暮洗葦 新潟 野良猫のライオン歩き雪来るか 462号 9
小暮洗葦 新潟 大地さがして背なの子が反り返る 464号 9
木暮洗葦 新潟 小気味よき冬晴れ引っ掻きたいような 483号 7
尾崎暢子 東京 踊り場やわが階の果おぼろ 445号 6
尾崎暢子 東京 雪解川赤子を背に濯ぐ母 475号 7
小沢説子 神奈川 突進の子の光の輪黄鶺鴒 451号 10
小沢説子 神奈川 向日葵の闇の底まで被曝せり 488号 8
小沢説子 神奈川 衣被一方的に何か言う 500号 12
小沢説子 神奈川 青年の肩先に空母二月来る 523号 8
尾田明子 埼玉 地に花恋天に星恋童女かな 425号 10
尾田明子 埼玉 白桔梗いまわなる人呼びしは母 428号 7
尾田明子 埼玉 十三夜誰かと影踏み遊びせむ 440号 10
小堤香珠 東京 鯉の大口吾れは呑まれん君も呑まれよ 426号 6
小堤香珠 東京 金臘梅の終着駅は無人です 445号 7
小堤香珠 東京 青嵐明日の淋しさ知っている 447号 9
小野裕三 神奈川 御降りや恋人たちの鍵の場所 426号 7
小野裕三 神奈川 本館は雨の大きさ月下美人 427号 11
小野裕三 神奈川 滝の夜少女のような和室かな 428号 8
小野裕三 神奈川 月白の地下に柱のありにけり 431号 10
小野裕三 神奈川 寒椿コックの帽子高々と 432号 10
小野裕三 神奈川 三日月やわれらぎっしり森抜ける 441号 11
小野裕三 神奈川 票田といわれる地帯猫の恋 443号 7
小野裕三 神奈川 夏期休暇二歳児の列透きとおる 458号 8
小野裕三 神奈川 薄氷を真上から見る真顔かな 461号 7
小野裕三 神奈川 跳び箱を二人で運ぶ遅日かな 464号 7
小野裕三 神奈川 侍をたくさん噴いて弥生山 466号 7
小野裕三 神奈川 炎天の端から端に引越しぬ 468号 9
小野裕三 神奈川 朝顔の軽さで妻の座りけり 469号 8
小野裕三 神奈川 少女たちよく頷いて白い滝 477号 12
小野裕三 神奈川 団地へと丁寧に来る寒波かな 482号 6
小野裕三 神奈川 赤紐を林間学校へと通す 486号 12
小野裕三 神奈川 雨立ち込めて昆虫展の奥に人 508号 9
小野裕三 神奈川 厭世的で雨のさなかの二月礼者 524号 8
小野裕三 神奈川 勇気その他全部並べて山滴る 527号 5
親谷道子 北海道 詩のように初雪がふる札幌砂漠 441号 12
小山柴門 福井 道元のくちびる鶯餅のよう 523号 9

表紙へ戻る

inserted by FC2 system