金子兜太選 海程秀句」鑑賞 作者名索引

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作者名
地域
番号 
橋田サカエ 熊本 鶏と見ていた山のお寺の朴の花 457号 33
橋本和子 長崎 青葉若葉黒人霊歌の歯がきらり 424号 26
橋本和子 長崎 憲法の日しめった朝刊放埒に 426号 26
橋本和子 長崎 満月の着水音あり歯痛あり 430号 28
橋本和子 長崎 新緑や猫も小石も蹴りやすし 435号 29
橋本和子 長崎 おしゃべりは唾濃し晩秋路白し 450号 30
橋本和子 長崎 マスクして祖父はうなずく馬である 466号 29
橋本和子 長崎 抱きしめる意味などはないちちろ虫 481号 26
橋本和子 長崎 ブロッコリー敵意ひとつが抜きん出る 485号 29
橋本和子 長崎 オクラねばねばおとこは始末の悪い獣 499号 29
橋本和子 長崎 蝶といて何かが足りない手のひら 516号 31
橋本和子 長崎 うしろから来るなと息子初日の出 521号 30
橋本和子 長崎 たましいのための組曲黒ぶどう 527号 28
蓮田双川 茨城 落葉毎に笑う白寿の母がいて 429号 28
蓮田双川 茨城 全山紅葉とは対岸の気力かな 431号 28
蓮田双川 茨城 曼珠沙華みて飲食にもどりけり 449号 27
蓮田双川 茨城 上澄みに俺の髭面薺粥 452号 26
蓮田双川 茨城 永久に山は離れず青葡萄 456号 29
蓮田双川 茨城 蝶々の顔おそろしき日暮れかな 465号 26
蓮田双川 茨城 鮭遡上敵前上陸のようなり 469号 29
長谷川育子 新潟 友悼みさめざめ泣くに暑すぎる 428号 26
長谷川育子 新潟 難聴やりんごに蜜が入らない 441号 29
長谷川育子 新潟 うすい齢重ねるも芸白障子 442号 27
長谷川育子 新潟 逆光や残る白鳥を鬱という 445号 32
長谷川育子 新潟 猫背なり刈田の二人越後人 449号 28
長谷川育子 新潟 冬銀河つばさ持つ魚届きけり 451号 28
長谷川育子 新潟 雪の日暮錆のよう海のようにかな 453号 29
長谷川育子 新潟 土にとけ芋虫と婆生き生き 459号 26
長谷川育子 新潟 ずいぶんと言い過ぎた夜のみみず鳴く 467号 30
長谷川育子 新潟 遠耳はまくなぎのせいさ列車ゆく 476号 29
長谷川育子 新潟 大根蒔く尺貫法で畝立てて 478号 30
長谷川育子 新潟 みちのくや新藁よりも人乾き 479号 27
長谷川育子 新潟 佐渡浮かぶ海は素風の器だな 489号 28
長谷川育子 新潟 嫁が君八十路は睨み効かぬなり 492号 28
長谷川育子 新潟 原子炉の大きな柩冷まじや 509号 27
長谷川育子 新潟 川抱いて土手が曲がるよゆっくり春 514号 25
長谷川順子 埼玉 マスクしてパセリの緑に感激す 432号 33
長谷川順子 埼玉 まんさく咲きしか満面童子の老父かな 434号 32
長谷川順子 埼玉 雁渡る赤城明けく我ここに 442号 28
長谷川順子 埼玉 地球と引力やっと納得入学す 443号 30
長谷川順子 埼玉 草紅葉黄泉の母宛胸の内 452号 27
長谷川順子 埼玉 うりずんや農に目覚めた漢居る 456号 30
長谷川順子 埼玉 喪にあれど正月の貌写楽かな 463号 25
長谷川順子 埼玉 曼珠沙華すまんじゅう店すぐそこです 470号 24
長谷川順子 埼玉 蛇穴へ自分史やはり秘めたままに 491号 28
長谷川順子 埼玉 ごろすけほう冬霧に秘密保護法が 503号 31
長谷川順子 埼玉 蝌蚪に足伊勢神木に抱きつくよ 505号 23
長谷川順子 埼玉 鰊群来旅芸人は躓いて 514号 26
服部修一 宮崎 あらゆる白の乾く霧島おろしかな 472号 31
服部修一 宮崎 田を植える機械の音の機械的 484号 27
幅田信一 福井 瓜ン坊というかラグビーボールというか 470号 25
幅田信一 福井 関東の葱の白さのべらんめぇ 480号 23
浜口眞砂子 長崎 薪割る音す修道院は霧の中 469号 30
浜 芳女 群馬 芦刈了え強情な霧にぶつかる 441号 30
浜 芳女 群馬 曼珠沙華母を支えきし軍手 449号 29
浜 芳女 群馬 遠花火脳をきれいにして老いて 456号 31
浜 芳女 群馬 逝く夫の灯があかぎれのように痛い 464号 27
浜 芳女 群馬 原爆忌乳房が二つあればいい 467号 31
浜 芳女 群馬 椅子に背があり運河に朱夏の流れ 475号 27
浜 芳女 群馬 蛇衣脱ぐ悪い噂はほぼ事実 480号 24
浜 芳女 群馬 古九谷の壺に山霧一泊す 491号 29
林 梅男 兵庫 法師蝉陽は弱まらざるをえず 448号 29
林 壮俊 東京 海紅豆火山灰わが窓を閉しをり 438号 29
林 壮俊 東京 卒寿かな戯れせんとや嫁が君 443号 31
林 壮俊 東京 竹の実の餅の甘さよ学童疎開 452号 28
林 壮俊 東京 湯豆腐やリストラの夜を一万歩 453号 30
林 壮俊 東京 柳絮飛ぶ志を遂げざるに老いたるよ 458号 32
林 壮俊 東京 飛魚や屋久島すっぽり洗われて 459号 27
林 壮俊 東京 彼岸花薄明りして谷が鳴る 471号 29
はやし麻由 埼玉 風の紫苑に父焼く骨の谺かな 431号 29
はやし麻由 埼玉 淑気満つ視野狭き目を空に向け 442号 29
はやし麻由 埼玉 引鶴の声弱視の子等にひびき落つ 455号 25
原田 孟 和歌山 銀蠅の手を擦りおる諧謔曲 425号 32
日秋英子 兵庫 弱法師を舞うた昔よもがり笛 491号 30
疋田恵美子 宮崎 陽の限り落葉踏みしめ生きめやも 472号 32
疋田恵美子 宮崎 雲の峰赤松の気をいただきぬ  478号 31
疋田恵美子 宮崎 山中や蛇の眼光を景色とも 487号 25
疋田恵美子 宮崎 むしかりの白き花群月を掃き 499号 30
疋田恵美子 宮崎 満作けぶる傾山のヘリポート 504号 27
疋田恵美子 宮崎 常の身のつねにくせあり鰯雲 509号 28
疋田恵美子 宮崎 月光に母を泛べる日向灘 510号 24
疋田恵美子 宮崎 手は常の白さ樹氷に昼の月 512号 26
疋田恵美子 宮崎 累卵のしづけさ初秋のフクシマ 515号 28
疋田恵美子 宮崎 はっと夏女体のごとく倒木よ 517号 27
疋田恵美子 宮崎 曼珠沙華夜は身の内流るるも 529号 30
日高 玲 東京 生はげの三人で行く一列 435号 30
日高 玲 東京 橡の花鼻毛吹き出す神楽面 437号 27
日高 玲 東京 橡の花わが影に倦み谷深し 442号 30
日高 玲 東京 百千鳥円の中には井戸在りて 444号 26
日高 玲 東京 茅花流し鳥のいる木を知る少女 447号 31
日高 玲 東京 冬桜老いし馬の目水映す 451号 29
日高 玲 東京 ふぐ刺しの震えのように君寄り来 454号 32
日高 玲 東京 持ち帰る湖の木片雛の家 464号 28
日高 玲 東京 白桃剥く指あり庇深くあり 468号 31
日高 玲 東京 余震の村なまあたたかき袋角 476号 30
日高 玲 東京 よき前歯持ちて死にゆく白菫 483号 29
日高 玲 東京 みなづきの魚啼くようにおしゃべり 484号 28
日高 玲 東京 クラシックホテルの馬丁晩夏光 489号 29
日高 玲 東京 寝物語に犀の生き死に無月なり 490号 27
日高 玲 東京 草ひばり遊牧の娘の乳硬く 499号 31
日高 玲 東京 青水無月銅鏡の紐滅びたり 504号 28
日高 玲 東京 蜂の羽音メコンデルタに米搗く娘 517号 28
日高 玲 東京 野分去る夫の死顔整えき 520号 25
日高 玲 東京 夫去る日なりし冬の鴉の甘き声 521号 31
日高 玲 東京 滝の音わが空漠の汀とす 526号 32
平井久美子 福井 花買いにまた濁り江を渡らねば 426号 27
平井久美子 福井 熱ありて浜昼顔と同じ目覚め 436号 26
平井久美子 福井 山鳥がほろりと啼いた子蟹が逃げた 449号 30
平井久美子 福井 祖母がいた日向に同じ唄きかせる 453号 31
平井久美子 福井 氷売り帰りは安寿の話して 458号 33
平井久美子 福井 じいさんの背中ほんのり梟啼くと 461号 30
平田 薫 神奈川 十月や影みな知恵のあるごとし 461号 31
平田 薫 神奈川 竹煮草ぐじゅっと昼がやってくる 468号 32
平田 薫 神奈川 鳥帰る水あれば水はげまして 474号 32
平田 薫 神奈川 しぐるるや関東平野に葱は倒れて 492号 29
平田 薫 神奈川 山茶花の扉は内にひらかれる 522号 25
平田 薫 神奈川 雀ほどの知恵かな麦わら帽子かな 527号 29
平田恒子 東京 空蝉になるため夜の木を登る 528号 28
平塚幸子 神奈川 経歴など知らなくていい白梟 424号 27
平塚幸子 神奈川 バックミラーの狐火こぞって右折かな 439号 26
平塚幸子 神奈川 苦味走ったひらたきものに蟇 446号 30
平塚幸子 神奈川 風がいいと逝きて八十八夜かな 455号 26
平塚幸子 神奈川 着ぶくれの腕組む父もいて反戦 461号 32
平塚幸子 神奈川 ゆとりとは土替えること半夏生 466号 30
平塚幸子 神奈川 まんじゅしゃげ睫毛を競う声ありき 469号 31
平塚幸子 神奈川 如月や兄の土鈴の在りどころ 473号 28
平塚幸子 神奈川 あまたなる言葉下界の六月ぞ 476号 31
平塚幸子 神奈川 水で描く石蹴りの円星祭 477号 34
平塚幸子 神奈川 よみがえるものに黙読著峩の花 485号 30
平塚波星 秋田 甲虫飛び立つ引力の油断 437号 28
平塚波星 秋田 満月やシルクロードを急がない 470号 26
平塚波星 秋田 白鳥の話聞こえる望遠鏡 504号 29
平野八重子 愛媛 忘れぐせ大根煮てるベルが鳴る 452号 29
平野八重子 愛媛 ピクニックに行くよう畑の秘密基地 474号 33
平野八重子 愛媛 月白や玄米二合研いでます 490号 28
平野八重子 愛媛 春へもういろんな私信じよう 492号 30
平野八重子 愛媛 日々いとしアイソン彗星くだけ散る 501号 29
平山圭子 岐阜 先ほどの巡査が走る犬ふぐり 424号 28
平山圭子 岐阜 山蟻や幼子爺へまっしぐら 428号 27
平山圭子 岐阜 自転車の荷台に襁褓春の人 435号 31
平山圭子 岐阜 磁力かな村中の熊蜂くる 436号 27
平山圭子 岐阜 生真面目や猪は垣根を突破する 440号 29
平山圭子 岐阜 かなり早起き外湯の桶に枯蟷螂 441号 31
平山圭子 岐阜 川に沿う人の生活よ柿明かり 443号 32
平山圭子 岐阜 安曇野のこども病院白鳥来 451号 30
平山圭子 岐阜 鵜の舟や海鵜でありし頃の無邪気 456号 32
平山圭子 岐阜 綿虫や狼の毛まぎれ込む 460号 30
平山圭子 岐阜 秋耕や朽ちし畳を鋤き込める 470号 27
平山圭子 岐阜 夏の川老人やおら水切りす 486号 32
平山圭子 岐阜 夏うぐいす自己陶酔のありにけり 508号 28
平山圭子 岐阜 恋猫のように鳴いてる鴉かな 514号 27
平山圭子 岐阜 銃の無きふつうの生活つばめ来る 516号 32
廣嶋美惠子 兵庫 すれちがう移り香情の花山葵 426号 28
廣嶋美恵子 兵庫 取り箸を正面に置く冬景色 442号 31
廣嶋美惠子 兵庫 霜降や夫の辺にいて書は孝子 450号 31
廣島美恵子 兵庫 老というキウイの断面甘美かな 456号 33
廣島美恵子 兵庫 ふんわりと秋の皮膚感いりたまご 459号 28
廣島美恵子 兵庫 雪柳闇に葬ること甘美 484号 29
廣島美恵子 兵庫 器量とは勁さのしなり柳に芽 486号 33
廣嶋美恵子 兵庫  追悼 兼近久子様に
永遠に大正区は華 満月や
500号 30
廣島美恵子 兵庫 梅林に毅然とあかるい割烹着 503号 32
廣島美恵子 兵庫 わが医師の呵呵と笑うよ柿日和 510号 25
廣島美惠子 兵庫 初春や歩幅そのまま詩とする 512号 27
廣島美恵子 兵庫 草萌えに杖つくわたし くやしかあ 516号 33
廣島美惠子 兵庫 正月や鼻で笑って猫すぎる 522号 26
廣島美惠子 兵庫 異常という暑さの舌に塩こんぶ 528号 29
広瀬輝子 栃木 退院は永劫めきて師走かな 461号 33
広瀬輝子 栃木 日雀つっぴん鮮明なたより来る 472号 33
広辻閑子 石川 一つだけ地べたの好きなゴム風船 424号 29
広辻閑子 石川 助詞のようにゆらゆらソフトクリーム 428号 28
広辻閑子 石川 片陰や寿命というは窮屈な 435号 32
福島美樹 佐賀 鳥渡る深く短く眠りては 519号 31
福富健男 宮崎 緋鯉真鯉ぶつかりあって綾の響 450号 32
福富健男 宮崎 翼端に脊梁折りこむバイカルよ 463号 26
福原 博 熊本 春昼の妻は大蛇をのぞき込む 424号 30
福原 實 宮城 八月や爛々と生おうおうと森 428号 29
福原 實 神奈川 永眠のはじめに仮眠ハンモック 438号 30
福原 實 神奈川 雁風呂にとぼとぼ後期高齢者 444号 27
福原 實 神奈川 やはらかき叙情馬の背しぐれをる 451号 31
福原 實 神奈川 玄冬の手斧の影は旅路だな 453号 32
福原 實 神奈川 鈍なればこその漂泊蝸牛 465号 27
福原 實 神奈川 文芸や蔵は十分しぐれてる 467号 32
福原 實 神奈川 吾も犬も手ぶらで被曝断腸花 479号 28
福原 實 神奈川 煙出しときどき冬の父を吐く 481号 27
福原 實 神奈川 冬の蜂石積むように動いてる 483号 30
福原 實 神奈川 生き返るために死はあり花は葉に 494号 30
福原 實 神奈川 鶏頭はたてよこななめ余所余所し 511号 34
藤井清久 東京 三代の蟾蜍居る土地を分割す 425号 33
藤井清久 東京 栃の花愚かな電波地に充つる 439号 27
藤井清久 東京 渦状星雲のような幼童燕来る 449号 31
藤井清久 東京 米を磨ぐ男は海に泳ぐかな 451号 32
藤江 瑞 神奈川 黄昏は甲冑のイメージに着ぶくれ 431号 30
藤江 瑞 神奈川 牡蠣のある静物描く重たい白 462号 28
藤江 瑞 神奈川 水彩の反故の重なり麦熟れて 467号 33
藤江 瑞 神奈川 菩提子抛る躁鬱都市に住みなれて 471号 30
藤江 瑞 神奈川 温和な人の粘りや泥や葱畑 481号 28
藤江 瑞 神奈川 蕗の薹あるいは装飾パネルかな 483号 31
藤江 瑞 神奈川 かまきり生まる温く曖昧な家 487号 26
藤江 瑞 神奈川 笹鳴や強迫的にメモっている 493号 27
藤田ユリ子 愛媛 車椅子の病人立ってみせる夏 428号 30
藤田ユリ子 愛媛 一遍忌鋼のような足に触れ 429号 29
藤田ユリ子 愛媛 嗚呼夫よ生きて困らす枯葉でいい 432号 34
藤田敦子 愛媛 黒南風の島よ戦う国となるのか 516号 34
藤野 武 東京 閑かさや岩のようなる蝉の顔 426号 29
藤野 武 東京 ステテコさびし絶滅危惧種たり我ら 427号 27
藤野 武 東京 きらりきらりとひねもす薪を割る農夫 430号 29
藤野 武 東京 シクラメン静かに根腐れジャーナリズム 434号 33
藤野 武 東京 軽薄なポリバケツ飛ぶ春の風 435号 33
藤野 武 東京 さみだれをあつめし日常ささにごる 437号 29
藤野 武 東京 ニートという君殻うすき蝸牛と 438号 31
藤野 武 東京 霧湧きぬ地粉をこねるときにかな 439号 28
藤野 武 東京 水底に光は沈む冬支度 440号 30
藤野 武 東京 貧しさや顔に焼野の光り少し 463号 27
藤野 武 東京 柚子の黄眩し戦争を語らぬ父に 471号 31
藤野 武 東京 雪の陰影清しや肩甲骨のあたり 473号 29
藤野 武 東京 桜しべ降る錆びしもの並べてやすけし 475号 28
藤野 武 東京 夜振火よほんとうに皆いなくなる 478号 32
藤野 武 東京 お人好しで父大根の葉のように 480号 25
藤野 武 東京 セシウム降り積み母は葱畑に小さし 483号 32
藤野 武 東京 静かな湾の遠花火地は記憶せり 487号 27
藤野 武 東京 夜神楽だ津波で逝きし魂も来よ 492号 31
藤野 武 東京 福島に生きる畦塗る祖を塗る 495号 30
藤野 武 東京 鞴の音のように夏過ぐ老いなるや 498号 31
藤野 武 東京 流灯よ土には浅く浸み入る雨 499号 32
藤野 武 東京 百足虫梁にたましいもまた老いたるか 505号 24
藤野 武 東京 実る木屑のように時はこぼれ 509号 29
藤野 武 東京  悼加藤青女
少女の瞳と柚子の気息と一つ陽に
510号 26
藤野 武 東京 燧石の火は生れて消ゆ上り鮎 514号 28
藤野 武 東京 春は遅々紙で切りたる傷のように 515号 29
藤野 武 東京 激し美し哀し花火や夏の病院 516号 35
藤野 武 東京 夕蜩思いは生絹のごとし遠し 518号 28
藤野 武 東京 葱切る音湯の滾つ音反戦や 519号 32
藤野 武 東京 蠅が来てわが頭で遊ぶ時間かな 525号 28
藤間雅江 栃木 滝の壷縄とびに飛びこむような 427号 23
藤間雅江 栃木 男体山や病まず呆けず畦塗りす 514号 21
藤本武男 山口 人語って厄介ですよつばめ飛ぶ 438号 32
藤盛和子 秋田 初産に旗ふっている十二月 442号 32
藤盛和子 秋田 奥羽山系ミサイルよぎる笹に花 456号 34
藤盛和子 秋田 青水無月枕にたまる夜の体温 477号 35
藤盛和子 秋田 寸土尊し神社のわきに豆二列 518号 29
藤原美恵子 岡山 蝮蛇草に朱い実父にのどぼとけ 489号 30
藤原美恵子 岡山 母笑うどこか網戸の穴のごと 505号 25
藤原美恵子 岡山 夜涼かなぐるりと音がして身体 518号 30
藤原美恵子 岡山 大地から人剥がれおり春浅し 523号 32
船越みよ 秋田 墜ちゆく星被曝の牛に草青む 515号 30
船越みよ 秋田 山眠る鬱の字のよう家事雑多 520号 26
船越みよ 秋田 夜更かしの耳あり雪の積もりおり 522号 27
船越みよ 秋田 耕の畝一途なり身籠りぬ 525号 29
古舘泰子 東京 母方は頬高なりし草の餅 464号 29
古舘泰子 東京 父母は昼を瞑り白ふくろう 501号 30
北條貢司 北海道 山岳や鴉の芯のおぼろなり 439号 29
北條貢二 北海道 哀悼歌銅鑼鳴るような紅葉谷 441号 32
北條貢司 北海道 梟よわれは言葉を建設す 447号 32
北條貢司 北海道 こころという梟のわが老年記 465号 28
北條貢司 北海道 アルバムを落とす地震や晩秋なり 471号 32
北條貢司 北海道 動物好きの妻に大勢の親戚 493号 28
北條貢司 北海道 吹雪の夫婦は馬の前脚後脚かな 512号 28
北條貢司 北海道 どしゃ降りや折鶴のよう死装束 520号 27
北條貢司 北海道 鳥帰る唇を出てゆくことばのよう 521号 32
北條貢司 北海道 花ぐもり腿掻くスタート前ランナー 529号 31
ホーン喜美子 カナダ バラ大輪くずれるまでのひとり良し 427号 28
ホーン喜美子 カナダ 正月過ぎゆるゆる単純もどりけり 443号 33
ホーン喜美子 カナダ 雪解けぬロッキーの襞まさに黒 464号 30
ホーン喜美子 カナダ ブリザード昂ぶりは黒人霊歌 473号 30
堀之内長一 埼玉 芽柳は漂流民のあおさかな 424号 31
堀之内長一 埼玉 球場やくちばしのよう夕立は 426号 30
堀之内長一 埼玉 額には直射日光ひきがえる 427号 30
堀之内長一 埼玉 苔に寝て霊長目はさみしかり 428号 31
堀之内長一 埼玉 馬覚めて闇から闇へかかる橋 429号 30
堀之内長一 埼玉 なべて人は小春の海に涙ぐむ 432号 35
堀之内長一 埼玉 陽炎のうつりし集合写真かな 435号 34
堀之内長一 埼玉 頬杖の蜜寒林にゆきわたる 442号 33
堀之内長一 埼玉 空木咲くと令嬢たちのかくれんぼ 445号 33
堀之内長一 埼玉 色鳥よ木々と話すも酔余のこと 449号 32
堀之内長一 埼玉 突然に砂丘が見える花の昼 454号 33
堀之内長一 埼玉 土に還る土偶を照らす青葉かな 455号 28
堀之内長一 埼玉 湿舌の先っぽ昆虫展示室 458号 34
堀之内長一 埼玉 小鳥来る草をくわえている老人 459号 29
堀之内長一 埼玉 枇杷むくやかりそめの世もみずみずし 466号 31
堀之内長一 埼玉 紅葉かつ散るふっと酸鼻という言葉 470号 28
堀之内長一 埼玉 鳥は塒に人は煮凝へと帰る 472号 34
堀之内長一 埼玉 五月来る大粒の雨牛飼いに 475号 29
堀之内長一 埼玉 波郷に焦土われらに青き荒野かな 478号 33
堀之内長一 埼玉 幸魂の集まる広場秋の田は 479号 29
堀之内長一 埼玉 白鳥来私情のつばさ押し広げ 481号 29
堀之内長一 埼玉 髭三日剃らず漂う初霞 482号 32
堀之内長一 埼玉 鶴帰るプルトニウムの火のかなた 484号 30
堀之内長一 埼玉 種蒔いて素手の感情よみがえる 485号 31
堀之内長一 埼玉 水無月の夜汽車から見た流離の木 487号 29
堀之内長一 埼玉 海境ははるかなるもの良夜かな 489号 31
堀之内長一 埼玉 辺境の華だよ父の木の実独楽 490号 29
堀之内長一 埼玉 茫洋とありし老いたる勇魚取 492号 32
堀之内長一 埼玉 山茱萸あかり呼捨ての友もういない 494号 31
堀之内長一 埼玉 紅葉かつ散る草食獣のかたわらに 500号 31
堀之内長一 埼玉 竜の玉ペン貸すように武器供与 503号 33
堀之内長一 埼玉 魚籠に鯰祖父に歯のない口があり 507号 31
堀之内長一 埼玉 安心の出合い頭の嫁が君 512号 29
堀之内長一 埼玉 鬱の子と青桐の声聴きにゆく 517号 29
堀之内長一 埼玉 鳳仙花斧振る暮らしはるかなる 520号 28
堀之内長一 埼玉 若書きを冬青草に燃やすかな 521号 33
堀之内長一 埼玉 光陰や潤目鰯のごと乾ぶ 522号 28
堀之内長一 埼玉 タイムトラベル夢見しよりの春愁 524号 30
堀之内長一 埼玉 大地裂けても必ず咲くよ肥後六花 525号 30
堀之内長一 埼玉 麦熟星はたらく馬はもういない 526号 33
堀之内長一 埼玉 海綿質とは八月の言葉かな 528号 30
堀真知子 愛知 木立ということばストンとテント張る 427号 29
堀真知子 愛知 牡蠣啜る鼻から抜けるフランス語 430号 30
堀真知子 愛知 祈りかな掬って差し出す雪解水 433号 28
堀真知子 愛知 晩夏かな自転車を漕ぐわれは海鳴り 439号 30
堀真知子 愛知 蝉の穴父の残した沈黙は 455号 27
堀真知子 愛知 除夜篝頬熱くしてわれは旅人 462号 29
堀真知子 愛知 八手若葉過激な婆を目指すかな 487号 28
堀真知子 愛知 ぼくんちにせんせいあのね団子虫 495号 31
堀真知子 愛知 縮む背にさらに燕の滅多斬り 527号 30
堀真知子 愛知 沖縄の海塗ればクレヨン折れにけり 529号 32
本田日出登 群馬 頭の中の蚯蚓なんぞも光りもし 444号 28
本田日出登 群馬  小堀葵氏を悼む
立待ちの葵の月の嗚咽かな
489号 32
本田ひとみ 福島 金縷梅や夫を捜していたのです 463号 28
本田ひとみ 福島 号泣の夫よミモザの花房よ 464号 31
本田ひとみ 福島 還暦や我もろもろの芽を食みて 465号 29
本田ひとみ 福島 この坂を下れば過去ぞ鬼やんま 469号 32
本田ひとみ 福島 黄落のほろにがい闇眠れない 470号 29
本田ひとみ 福島 山あいに住み馴れ風呂吹きをふうふう 473号 31
本田ひとみ 埼玉 人も馬も船も白梅も消えた 474号 34
本田ひとみ 埼玉 木いちごの花の斜面や被曝せり 476号 32
本田ひとみ 埼玉 秋明菊身内すくない母のよう 480号 26
本田ひとみ 埼玉 かまどうま涸れいて一時帰宅かな 481号 30
本田ひとみ 埼玉 手のひらに会津山塩白鳥来る 482号 33
本田ひとみ 埼玉 友癒えよ陸奥癒えよ梅真白 484号 31
本田ひとみ 埼玉 穴まどい母のことばに傷つく子 490号 30
本田ひとみ 埼玉 除染まだ冬日にふっと目を閉じる 493号 29
本田ひとみ 埼玉 蟻の列津波の記憶引きずって 496号 30
本田ひとみ 埼玉 震災忌わたしは捨て石にもなれず 498号 32
本田ひとみ 埼玉 木いちごの斜面を削り除染という 502号 30
本田ひとみ 埼玉 放射線を量る日常鳥渡る 509号 30
本田ひとみ 埼玉 シクラメン老いは酸っぱく面白い 511号 35
本田ひとみ 埼玉 麦の芽に雨粒イスラムの子等よ 512号 30
本田ひとみ 埼玉 白つばき自主避難という翳りかな 515号 31
本田ひとみ 埼玉 羽蟻飛ぶ夕べ戦の匂いあり 517号 30
本田ひとみ 埼玉 桃かじる鬱とも痴呆とも違う 518号 31
本田ひとみ 埼玉 細切れの眠りひんやり黒葡萄 519号 33
本田ひとみ 埼玉 風評や少しゆがんだ冬満月 522号 29
本田ひとみ 埼玉 戦争を知らないわれら星祭り 527号 31
本田ひとみ 埼玉 黒あげは人はひっそり墓仕舞い 528号 31
本間 道 新潟 辛味大根ちんまりと冷え地下市場 468号 33
本間 道 新潟 一片の雪なり永久の別れなり 492号 33
本間 道 新潟 思慮の父献身の母蚯蚓鳴く 500号 32

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