「高浜虚子を読む」目次
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番号 |
句
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句集名など |
1 | 風が吹く佛来給ふけはひあり | 五百句 |
2 | 怒濤岩を噛む我を神かと朧の夜 | 五百句 |
3 | 海に入りて生まれかはろう朧月 | 五百句 |
4 | 先生が瓜盗人でおはせしか | 五百句 |
5 | 蚊帳越しに薬煮る母をかなしみつ | 五百句 |
6 | 蛇穴を出て見れば周の天下なり | 五百句 |
7 | 亀鳴くや皆愚かなる村のもの | 五百句 |
8 | 五月雨や魚とる人の流るべう | 五百句 |
9 | 遠山に日の当りたる枯野かな | 五百句 |
10 | 秋風や眼中のもの皆俳句 | 五百句 |
11 | 大海のうしほはあれど旱かな | 五百句 |
12 | むづかしき禅門出れば葛の花 | 五百句 |
13 | 或る時は谷深く折る夏花かな | 五百句 |
14 | うき巣見て事足りぬれば漕ぎかへる | 五百句 |
15 | 行水の女にほれる烏かな | 五百句 |
16 | 相慕ふ村の灯二つ虫の声 | 五百句 |
17 | 村の名も法隆寺なり麦を蒔く | 五百句 |
18 | 座を挙げて恋ほのめくや歌かるた | 五百句 |
19 | 垣間見る好色者に草芳しき | 五百句 |
20 | 芳草や黒き烏も濃紫 | 五百句 |
21 | 主客閑話ででむし竹を上るなり | 五百句 |
22 | 桐一葉日当りながら落ちにけり | 五百句 |
23 | 君と我うそにほればや秋の暮 | 五百句 |
24 | 淋しさに小女郎なかすや秋の暮 | 五百句 |
25 | 煮ゆる時蕪汁とぞ匂ひける | 五百句 |
26 | 老僧の骨刺しに来る薮蚊かな | 五百句 |
27 | 岸に釣る人の欠伸や舟遊 | 五百句 |
28 | 金亀子擲つ闇の深さかな | 五百句 |
29 | 凡そ天下に去来程の小さき墓に参りけり | 五百句 |
30 | 霜降れば霜を盾とす法の城 | 五百句 |
31 | 春風や闘志いだきて丘に立つ | 五百句 |
32 | 大寺を包みてわめく木の芽かな | 五百句 |
33 | 一つ根に離れ浮く葉や春の水 | 五百句 |
34 | 舟岸につけば柳に星一つ | 五百句 |
35 | 年を以て巨人としたり歩み去る | 五百句 |
36 | 鎌倉を驚かしたる余寒あり | 五百句 |
37 | 一人の強者唯出よ秋の風 | 五百句 |
38 | 濡縁に雨の後なる一葉かな | 五百句 |
39 | 葡萄の種吐き出して事を決しけり | 五百句 |
40 | 鳥飛んでそこに通草のありにけり | 五百句 |
41 | 露の幹静に蝉の歩き居り | 五百句 |
42 | 大空に又わき出でし小鳥かな | 五百句 |
43 | 木曾川の今こそ光れ渡り鳥 | 五百句 |
44 | 蛇逃げて我を見し目の草に残る | 五百句 |
45 | 天の川のもとに天智天皇と虚子と | 五百句 |
46 | 野を焼いて帰れば燈下母やさし | 五百句 |
47 | 秋天の下に野菊の花瓣欠く | 五百句 |
48 | 蚰蜒を打てば屑々になりにけり | 五百句 |
49 | 冬帝先づ日をなげかけて駒ヶ嶽 | 五百句 |
50 | 藤の根に猫蛇相搏つ妖々と | 五百句 |
51 | どかと解く夏帯に句を書けとこそ | 五百句 |
52 | 月の友三人を追ふ一人かな | 五百句 |
53 | 天日のうつりて暗し蝌蚪の水 | 五百句 |
54 | 棕櫚の花こぼれて掃くも五六日 | 五百句 |
55 | 風鈴に大きな月のかかりけり | 五百句 |
56 | 月浴びて玉崩れをる噴井かな | 五百句 |
57 | ひらひらと深きが上の落葉かな | 五百句 |
58 | 北風や石を敷きたるロシア町 | 五百句 |
59 | 白牡丹といふといへども紅ほのか | 五百句 |
60 | 競べ馬一騎遊びてはじまらず | 五百句 |
61 | 老僧の蛇を叱りて追ひにけり | 五百句 |
62 | 美人絵の団扇持ちたる老師かな | 五百句 |
63 | 佇めば落葉さ丶やく日向かな | 五百句 |
64 | 一片の落花見送る静かな | 五百句 |
65 | わだつみに物の命のくらげかな | 五百句 |
66 | 此方へと法の御山のみちをしへ | 五百句 |
67 | 仲秋や月明かに人老いし | 五百句 |
68 | やり羽子や油のような京言葉 | 五百句 |
69 | ふるさとの月の港をよぎるのみ | 五百句 |
70 | 枝豆を喰えば雨月の情けあり | 五百句 |
71 | 秋風に草の一葉のうちふるふ | 五百句 |
72 | 流れ行く大根の葉の早さかな | 五百句 |
73 | 石ころも露けきものの一つかな | 五百句 |
74 | ほつかりと梢に日あり霜の朝 | 五百句 |
75 | 春潮といへば必ず門司を思ふ | 五百句 |
76 | 炎天の空美しや高野山 | 五百句 |
77 | 浦安の子は裸なり蘆の花 | 五百句 |
78 | 山寺の古文書も無く長閑なり | 五百句 |
79 | 春の浜大いなる輪が画いてある | 五百句 |
80 | 襟巻の狐の顔は別にあり | 五百句 |
81 | 凍蝶の己が魂追うて飛ぶ | 五百句 |
82 | 虹立ちて雨逃げて行く広野かな | 五百句 |
83 | 酌婦来る灯取蟲より汚きが | 五百句 |
84 | 大いなるものが過ぎ行く野分かな | 五百句 |
85 | 川を見るバナナの皮は手より落ち | 五百句 |
86 | 道の辺に阿波の遍路の墓あはれ | 五百句 |
87 | かわ/\と大きくゆるく寒烏 | 五百句 |
88 | 草枯れて夕日にさはるものもなし | 五百句時代 |
89 | 雛より小さき嫁を貰ひけり | 五百句時代 |
90 | 行春を尼になるとの便りあり | 五百句時代 |
91 | 貧にして孝なる相撲負けにけり | 五百句時代 |
92 | 蝶々のもの食ふ音の静かさよ | 五百句時代 |
93 | 暁の紺朝顔や星一つ | 五百句時代 |
94 | 絵ぶみして生き残りたる女かな | 五百句時代 |
95 | 坊主にもなりたき思ひ昼寝かな | 五百句時代 |
96 | 三つ食へば葉三片や櫻餅 | 五百句時代 |
97 | 静さや花なき庭の春の雨 | 五百句時代 |
98 | 初空や大悪人虚子の頭上に | 五百句時代 |
99 | 日向ぼこの我を乱さぬ客ならば | 五百句時代 |
100 | 明日死ぬる命めでたし小豆粥 | 五百句時代 |
101 | この庭の遅日の石のいつまでも | 五百句時代 |
102 | 箱庭の人に古りゆく月日かな | 五百句時代 |
103 | 小百姓埃の如き麦を刈る | 五百句時代 |
104 | 院展の古徑の画へと急ぎけり | 五百句時代 |
105 | ゆるやかに帆船はひりぬ秋の潮 | 五百句時代 |
106 | 叱られて泣きに這入るや雛の間 | 五百句時代 |
107 | 出代の醜き女それもよし | 五百句時代 |
108 | 戻る子と行く母と逢ふ月見草 | 五百句時代 |
109 | 干魃や百姓のただ歩きをる | 五百句時代 |
110 | 大空をただ見てをりぬ檻の鷲 | 五百句時代 |
111 | 鴨の中の一つの鴨を見ていたり | 五百五十句 |
112 | 物売りも佇む人も神の春 | 五百五十句 |
113 | そのままに君紅梅の下に立て | 五百五十句 |
114 | 熊蜂のうなり飛び去る棒のごと | 五百五十句 |
115 | 畦一つ飛び越え羽搏つ寒鴉 | 五百五十句 |
116 | 旗のごとなびく冬日をふと見たり | 五百五十句 |
117 | 啓蟄や日はふりそ丶ぐ矢の如く | 五百五十句 |
118 | 朧夜や男女行きかひ/\て | 五百五十句 |
119 | 鵜の森のあはれにも亦騒がしく | 五百五十句 |
120 | 休んだり休まなんだり梅雨工事 | 五百五十句 |
121 | 我思ふま丶に孑孑うき沈み | 五百五十句 |
122 | 箱庭の月日あり世の月日なし | 五百五十句 |
123 | もの置けばそこに生まれぬ秋の蔭 | 五百五十句 |
124 | 病床の人訪ふたびに秋深し | 五百五十句 |
125 | 凍蝶の眉高々とあはれなり | 五百五十句 |
126 | 石はふる人をさげすみ寒鴉 | 五百五十句 |
127 | 寒き故我等四五人なつかしく | 五百五十句 |
128 | 春の波小さき石に一寸躍り | 五百五十句 |
129 | 茶房暗し春灯はみな隠しあり | 五百五十句 |
130 | ついて来る人を感じて長閑なり | 五百五十句 |
131 | 紅梅の京を離れて住むは厭や | 五百五十句 |
132 | 春雲は棚曳き機婦は織り止めず | 五百五十句 |
133 | 初蝶を夢の如くに見失ふ | 五百五十句 |
134 | 草餅をつまみ江山遥なり | 五百五十句 |
135 | 面つ丶む津軽をとめや花林檎 | 五百五十句 |
136 | 蟲螻蛄と侮られつ丶生を受く | 五百五十句 |
137 | 麦蒔やいつまで休む老一人 | 五百五十句 |
138 | 手毬歌かなしきことをうつくしく | 五百五十句 |
139 | 枯草に尚さまざまの姿あり | 五百五十句 |
140 | 大寒の埃の如く人死ぬる | 五百五十句 |
141 | 寒といふ字に金石の響あり | 五百五十句 |
142 | 寒真中高々として産れし声 | 五百五十句 |
143 | まろびたる娘より転がる手毬かな | 五百五十句 |
144 | 万才のうしろ姿も恵方道 | 五百五十句 |
145 | 日についでめぐれる月や水仙花 | 五百五十句 |
146 | 鎌倉に實朝忌あり美しき | 五百五十句 |
147 | 榾木焚き呉る丶女はかはりをり | 五百五十句 |
148 | 牡丹花の雨なやましく晴れんとす | 五百五十句 |
149 | 涼しさは下品下生の仏かな | 五百五十句 |
150 | 浜砂に儚き春の小草かな | 五百五十句 |
151 | 山川にひとり髪洗ふ神ぞ知る | 六百句 |
152 | 水打てば夏蝶そこに生れけり | 六百句 |
153 | 霧濃し姫向日葵のそよぎをり | 六百句 |
154 | 暖かき茶をふくみつ丶萩の雨 | 六百句 |
155 | 新聞をほどけば月の芒かな | 六百句 |
156 | 大根を水くしや/\にして洗ふ | 六百句 |
157 | 向日葵が好きで狂ひて死にし画家 | 六百句 |
158 | 悲しさはいつも酒気ある夜学の師 | 六百句 |
159 | 踏石を伝ひさしたる冬日かな | 六百句 |
160 | 天地の間にほろと時雨かな | 六百句 |
161 | 一蝶の舞ひ現れて雨あがる | 六百句 |
162 | いかなごにまづ箸おろし母恋し | 六百句 |
163 | 生きてゐるしるしに新茶おくるとか | 六百句 |
164 | 不思議やな汝れが踊れば我が泣く | 六百句 |
165 | 犬ふぐり星のまた丶く如くなり | 六百句 |
166 | 蒼海の色尚存す目刺かな | 六百句 |
167 | よき蚕ゆへ正しき繭を作りたる | 六百句 |
168 | 牛の子の大きな顔や草の花 | 六百句 |
169 | 秋晴の郵便函や棒の先 | 六百句 |
170 | 山国の冬は来にけり牛乳をのむ | 六百句 |
171 | 老犬の我を嗅ぎ去る枯木中 | 六百句 |
172 | 初蝶来何色と問ふ黄と答ふ | 小諸百句 |
173 | 山国の蝶をあらしと思はずや | 小諸百句 |
174 | 桃咲くや足投げ出して針仕事 | 小諸百句 |
175 | 麦の出来悪しと鳴くや行々子 | 小諸百句 |
176 | 夏草に延びてからまる牛の舌 | 小諸百句 |
177 | 虹立ちて忽ち君のある如し | 小諸百句 |
178 | 虹を見て思ひ/\に美しき | 小諸百句 |
179 | 虹消えて音楽は尚ほ続きをり | 小諸百句 |
180 | ラヂオよく聞こえ北佐久秋の晴 | 小諸百句 |
181 | 秋風や静かに動く萩芒 | 六百五十句 |
182 | 詣るにも小さき墓のなつかしく | 六百五十句 |
183 | 濃紅葉に涙せき来る如何にせん | 六百五十句 |
184 | 茎右往左往菓子器のさくらんぼ | 六百五十句 |
185 | 戸隠の山々沈み月高し | 六百五十句 |
186 | 爛々と昼の星見え菌生え | 六百五十句 |
187 | 海女とても陸こそよけれ桃の花 | 六百五十句 |
188 | 古庭のででむしの皆動きをり | 六百五十句 |
189 | 虚子一人銀河と共に西へ行く | 六百五十句 |
190 | 人生は陳腐なるかな走馬灯 | 六百五十句 |
191 | 彼一語我一語秋深みかも | 六百五十句 |
192 | 今年去年貫く棒の如きもの | 六百五十句 |
193 | ゆらぎ見ゆ百の椿が三百に | 七百五十句 |
194 | 汝に謝す我が眼明かいぬふぐり | 七百五十句 |
195 | 老の春「高濱虚子」という書物 | 七百五十句 |
196 | 明易や花鳥諷詠南無阿弥陀仏 | 七百五十句 |
197 | 山寺に名残蝿叩に名残 | 七百五十句 |
198 | すぐ来いという子規の夢明易き | 七百五十句 |
199 | 拡ごれる春曙の水輪かな | 七百五十句 |
200 | 冬晴の虚子我ありと思ふのみ | 七百五十句 |
201 | 彼一語我一語新茶淹れながら | 七百五十句 |
202 | 蜘蛛に生れ網をかけねばならぬかな | 七百五十句 |
203 | 我生の美しき虹皆消えぬ | 七百五十句 |
204 | 俳諧の灯のともりけり月見草 | 七百五十句 |
205 | 風生と死の話して涼しさよ | 七百五十句 |
206 | 門を出る人春光の包み去る | 七百五十句 |
207 | よき炭のよき灰になるあはれさよ | 七百五十句 |
208 | 埋火や稿を起してより十日 | 七百五十句 |
209 | 白梅の老木のほこり今ぞ知る | 七百五十句 |
210 | 春の山屍をうめて空しかり | 七百五十句 |