「金子兜太選 海程秀句」鑑賞
2014年目次 |
鑑賞した句を順に並べてあります。 各号ごとに観賞した順番は〈あいうえお〉順となっています |
底 | ||
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句
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作者名
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地域 |
499号 1 | 門火焚く膝つくわれの齢かな | 新井娃子 | 埼玉 |
499号 2 | 月白や鏡のわれを訝しむ | 伊藤 歩 | 北海道 |
499号 3 | 秋桜ラッパ鳴らして柩行く | 梅川寧江 | 石川 |
499号 4 | 名月を戴きこの家肉食す | 榎本祐子 | 兵庫 |
499号 5 | 燕帰る小さき傷みを匿して童よ | 大上恒子 | 神奈川 |
499号 6 | 水面つつくトンボの青さ私に老い | 柏原喜久恵 | 熊本 |
499号 7 | 隠し事あれば饒舌とろろ汁 | 加藤昭子 | 秋田 |
499号 8 | 放射能まみれの飽食蓮は実に | 金子斐子 | 埼玉 |
499号 9 | わたくし山羊でありましたのに椅子の脚 | 加納百合子 | 奈良 |
499号 10 | 啄木鳥や旅の男に小銭増ゆ | 木下よう子 | 神奈川 |
499号 11 | 猪喰う家族底ぬけに愉快なり | 小池弘子 | 富山 |
499号 12 | 蝙蝠葛頭にからまりし異郷かな | 児玉悦子 | 神奈川 |
499号 13 | 秋服の釦冷たし別れを言ふ | 小西瞬夏 | 岡山 |
499号 14 | 大寺の奥より新秋やってきた | 坂本春子 | 神奈川 |
499号 15 | 泥川が澄んで壊れた墓映す | 佐々木昇一 | 秋田 |
499号 16 | 曼珠沙華発条のごとくに反抗期 | 佐藤紀生子 | 栃木 |
499号 17 | 村芝居斬られた順の腹拵え | 佐藤二千六 | 秋田 |
499号 18 | 夏の星犬の寝床を焼いている | 佐藤美紀江 | 千葉 |
499号 19 | コンビニの上にペガサス弁当買う | 重松敬子 | 兵庫 |
499号 20 | 校訓やらホルマリン漬やら秋暑し | 白石司子 | 愛媛 |
499号 21 | 夜を覗けばじつにあけすけ蟋蟀鳴く | 関田誓炎 | 埼玉 |
499号 22 | 遠花火母には別のパスワード | 高木一惠 | 千葉 |
499号 23 | 秋の薔薇くづるるごとく稿重ね | 田中亜美 | 神奈川 |
499号 24 | 桐一葉人とは美しき病 | 月野ぽぽな | アメリカ |
499号 25 | 長き夜や息子はますます謎になる | 峠谷清弘 | 東京 |
499号 26 | 流星や被曝者被爆者と握手 | 中村 晋 | 福島 |
499号 27 | 口開くは酷暑の鳥葬後のわれ | 野田信章 | 熊本 |
499号 28 | 多勢の肉焼けており海桐の実 | 野原瑤子 | 神奈川 |
499号 29 | オクラねばねばおとこは始末の悪い獣 | 橋本和子 | 長崎 |
499号 30 | むしかりの白き花群月を掃き | 疋田恵美子 | 宮崎 |
499号 31 | 草ひばり遊牧の娘の乳硬く | 日高 玲 | 東京 |
499号 32 | 流灯よ土には浅く浸み入る雨 | 藤野 武 | 東京 |
499号 33 | 帰省子の凭れてゆきし柱かな | 前田典子 | 三重 |
499号 34 | 折れやすいからだや芙蓉廻ってます | 三井絹枝 | 東京 |
499号 35 | 逝くまでの風筋太き青田かな | 武藤鉦二 | 秋田 |
499号 36 | 啄木鳥や三度三度の飯作り | 森 鈴 | 埼玉 |
499号 37 | いなびかり男子を軽々背負投げ | 諸 寿子 | 東京 |
499号 38 | 九月尽ねずみの通る部屋に夫 | らふ亜沙弥 | 神奈川 |
499号 39 | 野葡萄や内耳に軍靴のひびきあり | 若森京子 | 兵庫 |
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500号 1 | 木の実降る敗者の歴史読みつぐ夜 | 石川義倫 | 静岡 |
500号 2 | 訳もなくぶつかり歩くわが晩秋 | 石川青狼 | 北海道 |
500号 3 | 紅葉狩り攻撃的な猿に遭う | 伊東明夫 | 神奈川 |
500号 4 | 黄落や逆光に鋭き人の声 | 伊藤 巌 | 東京 |
500号 5 | 夜更かしに紙の音して鼬の気配 | 伊藤淳子 | 東京 |
500号 6 | 原発のそば圧倒的な舟虫よ | 稲葉千尋 | 三重 |
500号 7 | 村芝居歩くところを走ってる | 大口元通 | 愛知 |
500号 8 | 鶏頭の種を熊野にこぼしおり | 大西健司 | 三重 |
500号 9 | 家にあらば雪掻く刻や旅の膳 | 大原 春 | 秋田 |
500号 10 | 若冲をあつく語りて夜長かな | 岡田弘子 | 愛知 |
500号 11 | 詩を捨てて生きるか夜の曼珠沙華 | 尾形ゆきお | 千葉 |
500号 12 | 衣被一方的に何か言う | 小沢説子 | 神奈川 |
500号 13 | 小鳥来るうっとり浮いて浮御堂 | 門脇章子 | 大阪 |
500号 14 | 古里の白萩のよう鼻濁音 | 狩野康子 | 宮城 |
500号 15 | カフェテラス小鳥の声に小鳥来る | 刈田光児 | 新潟 |
500号 16 | もの忘れ以て木の葉の夥し | 北村美都子 | 新潟 |
500号 17 | 蕎麦すする案山子みたいな気分屋と | 京武久美 | 宮城 |
500号 18 | 河西回廊梨売りの祖の素朴な目 | 黒岡洋子 | 東京 |
500号 19 | パンプキンパイ異形の娘が待っている | 笹岡素子 | 北海道 |
500号 20 | 全略と誤記してよりの虫しぐれ | 柴田美代子 | 埼玉 |
500号 21 | 塩むすび包む原発新聞紙 | 清水茉紀 | 福島 |
500号 22 | 陰なしの人形あそぶ菊の中 | 白井重之 | 富山 |
500号 23 | 秋暑し国家民草花林糖 | 高桑婦美子 | 千葉 |
500号 24 | 我らかつて森にゐたりと雄鹿鳴く | 田中亜美 | 神奈川 |
500号 25 | ふたりにかえるしずくのようつがいかな | 田中昌子 | 京都 |
500号 26 | まだかたちなどなく朝の水澄めり | 遠山郁好 | 東京 |
500号 27 | うそ寒や自動販売機礼を言ふ | 長尾向季 | 滋賀 |
500号 28 | 月追って時々俳句ずっと酒 | 中村道子 | 静岡 |
500号 29 | 目覚めては働くこがらしの風下で | 中村裕子 | 秋田 |
500号 30 | 追悼 兼近久子様に 永遠に大正区は華 満月や |
廣嶋美恵子 | 兵庫 |
500号 31 | 紅葉かつ散る草食獣のかたわらに | 堀之内長一 | 埼玉 |
500号 32 | 思慮の父献身の母蚯蚓鳴く | 本間 道 | 新潟 |
500号 33 | 秋耕の側を徐行し霊柩車 | 松本ヒサ子 | 愛媛 |
500号 34 | ずうっと紅葉ずうっと黄葉の浮遊かな | 汀 圭子 | 熊本 |
500号 35 | 本音とは昏き水なり石蕗の花 | 茂里美絵 | 埼玉 |
500号 36 | 白蓮やときどき邪魔な自尊心 | 森由美子 | 埼玉 |
500号 37 | ご陵の辺耳目消すよう芋茎刈る | 矢野千代子 | 兵庫 |
500号 38 | 噴水の悲しい先端車椅子 | 輿儀つとむ | 沖縄 |
500号 39 | 用もなく立ち寄る茸鑑定所 | 横地かをる | 愛知 |
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501号 1 | 八十歳をひらひら醸し年用意 | 安藤和子 | 愛媛 |
501号 2 | 冬眠の蛇に地鳴りの届く夜ぞ | 飯土井志乃 | 滋賀 |
501号 3 | うたた寝の奥忘忘と島梟 | 石川青狼 | 北海道 |
501号 4 | 湾奥に住み古り黒酢仕込みをり | 今福和子 | 鹿児島 |
501号 5 | ピアノの稽古柿も雀も無尽蔵 | 河原珠美 | 神奈川 |
501号 6 | 毛糸玉ほろん夜咄ほろんほろん | 北村美都子 | 新潟 |
501号 7 | 雁落ちゆくよ母のひそかなあきらめ | 黒岡洋子 | 東京 |
501号 8 | 猪鍋囲むそれぞれ帰る闇のあり | 小池弘子 | 富山 |
501号 9 | 花びらのいくつかは白結氷期 | こしのゆみこ | 東京 |
501号 10 | 妻の話年年民話のようにかな | 今野修三 | 東京 |
501号 11 | 灯さねば墜ちそうな村雁渡る | 佐藤二千六 | 秋田 |
501号 12 | 真実とは薄暗がりや秋の灯や | 篠田悦子 | 埼玉 |
501号 13 | 夜更しは耳澄ますこと木の葉髪 | 芹沢愛子 | 東京 |
501号 14 | 雪の鹿調律のよう野を渡る | 十河宣洋 | 北海道 |
501号 15 | 隙間風塞ぎきったる淋しさよ | 高木一惠 | 千葉 |
501号 16 | 祖父は裸木散策のたびすれ違う | たかはししずみ | 愛媛 |
501号 17 | 短日の魚の影美し迷いあり | 田口満代子 | 千葉 |
501号 18 | とべないかもめ口紅赤い寡婦もいや | 田中昌子 | 京都 |
501号 19 | まだ若い冬将軍だなまっすぐ来る | 月野ぽぽな | アメリカ |
501号 20 | 雪茫々長城内外天人合一 | 董 振華 | 中国 |
501号 21 | 空見てはポーと言う嬰に冬が来る | 遠山郁好 | 東京 |
501号 22 | 秋の風清潔すぎる翅音だなあ | 永井 幸 | 福井 |
501号 23 | 猫逝きて誰もやぶかぬ障子張る | 中島伊都 | 栃木 |
501号 24 | 昔確かに母さん言ったよ虫すだく | 中島まゆみ | 埼玉 |
501号 25 | フクシマや冬蠅光らせて逃がす | 中村 晋 | 福島 |
501号 26 | 白障子たまの独り寝諾えり | 中村孝史 | 宮城 |
501号 27 | 闇討のように鹿鳴く峠道 | 中村真知子 | 三重 |
501号 28 | 木守柿になりたい人は登りなさい | 並木邑人 | 千葉 |
501号 29 | 日々いとしアイソン彗星くだけ散る | 平野八重子 | 愛媛 |
501号 30 | 父母は昼を瞑り白ふくろう | 古舘泰子 | 東京 |
501号 31 | 見舞ふべき人あり新藁匂ひくる | 前田典子 | 三重 |
501号 32 | ブーゲンビリア父の言葉が百咲いて | 舛田子 | 長崎 |
501号 33 | 湯の中の乳房はかなし三冬月 | 三井絹枝 | 東京 |
501号 34 | 鰤大根婆鼻歌の反戦歌 | 村上 豪 | 三重 |
501号 35 | ふっと草枯れの感覚パン焦げる | 森内定子 | 福井 |
501号 36 | 貧乏神も煤けて囲炉裏火を守る | 安井昌子 | 東京 |
501号 37 | 寄鍋や我が足軍靴履きし日も | 山本光胤 | 大阪 |
501号 38 | 落葉降らすベンチと僕は無関係 | 横山 隆 | 長崎 |
501号 39 | 手も足も饒舌になる老父の菊 | 吉村伊紅美 | 岐阜 |
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502号 1 | 鳥総松松原遠くなりました | 相原澄江 | 愛媛 |
502号 2 | ロボットアームのごとき腕の蓮根掘り | 安藤和子 | 愛媛 |
502号 3 | 歯脱けの君禿頭の吾薬喰 | 石川青狼 | 北海道 |
502号 4 | もの言わぬ民に育てる十二月 | 磯田政八 | 群馬 |
502号 5 | 牡蠣フライ陸に浮寝の身の昏し | 市原光子 | 徳島 |
502号 6 | ぶつ切りの章魚親友の喪の葉書 | 伊藤 巌 | 東京 |
502号 7 | 立春大吉カフカという猫出奔す | 糸山由紀子 | 長崎 |
502号 8 | 寒雷や違う言葉で問いつめる | 上原祥子 | 山口 |
502号 9 | 空家じゃない私がいないだけの冬 | 大沢輝一 | 石川 |
502号 10 | 仲直り白菜甘しと言いながら | 小川久美子 | 群馬 |
502号 11 | 終い湯の柚子の弾力これ乳房 | 川崎千鶴子 | 広島 |
502号 12 | あの人にかぎってという白障子 | 河西志帆 | 長野 |
502号 13 | 鵯よ先週足の小指の骨にヒビ | 木下ようこ | 神奈川 |
502号 14 | 津軽弁ノートにはずむ二月まぶし | 京武久美 | 宮城 |
502号 15 | 触れて知るわれに臍ある冬籠り | 河野志保 | 奈良 |
502号 16 | 被爆の水仙浮いてるように母 | 清水茉紀 | 福島 |
502号 17 | 冬沼の鼓動へ止まる万歩計 | 鈴木修一 | 秋田 |
502号 18 | 日も月も其れ其れ一つ大旦 | 鈴木孝信 | 埼玉 |
502号 19 | 胡桃割りし石もて父の柩打つ | 鈴木八駛郎 | 北海道 |
502号 20 | 美しい卵が二つ冬の家 | 高木一惠 | 千葉 |
502号 21 | 美談いつまで枯野の荼毘に間に合わぬ | 高桑婦美子 | 千葉 |
502号 22 | 淀みなく産み次々牡蠣を揚げている | たかはししずみ | 愛媛 |
502号 23 | 偶然は畏敬に通ず帰り花 | 高橋明江 | 埼玉 |
502号 24 | めつむりて象を画きし黄落期 | 田口満代子 | 千葉 |
502号 25 | 坐禅してすぐに居眠り日向ぼこ | 峠谷清広 | 東京 |
502号 26 | わが死後はあの綿虫の中ならむ | 長尾向季 | 滋賀 |
502号 27 | 冬耕やコトバはココロに追いつけぬ | 並木邑人 | 千葉 |
502号 28 | 春障子揺れる肉体建てかけて | 根岸暁子 | 群馬 |
502号 29 | 紅葉谷雑多に老いしわれら映え | 野田信章 | 熊本 |
502号 30 | 木いちごの斜面を削り除染という | 本田ひとみ | 埼玉 |
502号 31 | 狐振り向き別のわたしを見つめおり | 前田典子 | 三重 |
502号 32 | 返り花肩に力を入れる癖 | 松本悦子 | 東京 |
502号 33 | 羽音よりさみしげにいる嫁が君 | 三井絹枝 | 東京 |
502号 34 | 女系家族白菜みたいな足並ぶ | 室田洋子 | 群馬 |
502号 35 | 弱きになればこんな落葉に蹴つまずく | 山内崇弘 | 愛媛 |
502号 36 | 春田打つ俺も死にゆく一人かな | 山口 伸 | 愛知 |
502号 37 | 一念を通し裸木のごとく立つ | 山田哲夫 | 愛知 |
502号 38 | 黙座の父くろがねもちの実が赤い | 横地かをる | 愛知 |
502号 39 | 枝豆を真ん中に置き抱きしめる | 和田幸司 | 愛媛 |
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503号 1 | 熊撃ちの暮れて営むレストラン | 五十嵐好子 | 東京 |
503号 2 | 手術痕自慢の二月礼者かな | 石川義倫 | 静岡 |
503号 3 | 凍てている地の水たまりたなごころ | 伊藤淳子 | 東京 |
503号 4 | ちらちらと雪ちらちらと雪にひと | 内野 修 | 埼玉 |
503号 5 | ふるえているこころ白ふくろうに寂 | 榎本祐子 | 兵庫 |
503号 6 | 遠く近く昭和の残響多喜二の忌 | 岡崎万寿 | 東京 |
503号 7 | 叔父よ慟哭く雪崩の下の葡萄畑 | 小川久美子 | 群馬 |
503号 8 | 古稀という明日は紅鮭ほどの艶 | 狩野康子 | 宮城 |
503号 9 | 熟柿落ちるような納得だってある | 柄沢あいこ | 神奈川 |
503号 10 | 無垢という欲望残る枯木立 | 川崎益太郎 | 広島 |
503号 11 | 潮騒の被曝の荒地野襤褸菊に陽 | 黒岡洋子 | 東京 |
503号 12 | 早春やこのぶっきらぼうな雑木山 | 小池弘子 | 富山 |
503号 13 | 歯固めや卒寿の姉の早耳に | 小原恵子 | 埼玉 |
503号 14 | 頬杖のがくっと外れる雨水かな | 佐藤二千六 | 秋田 |
503号 15 | どこからが晩年どこまでが薄氷 | 白石司子 | 愛媛 |
503号 16 | 春の土母死にたくて生きたくて | 菅原和子 | 東京 |
503号 17 | 町川の白鳥を指す帰郷かな | 鈴木修一 | 秋田 |
503号 18 | 汚れやすくて春の雪など少年など | 芹沢愛子 | 東京 |
503号 19 | 鹿狐熊も見つむうしかい座 | 十河宣洋 | 北海道 |
503号 20 | 少年に雛のうす闇はずかしき | 高木一惠 | 千葉 |
503号 22 | 裸木に深き傷痕叙事詩とも | 竹田昭江 | 東京 |
503号 23 | 閑かさや鼠走らぬ雪の夜 | 竪阿彌放心 | 秋田 |
503号 24 | 天涯の父母へのぬくみどんどの火 | 舘岡誠二 | 秋田 |
503号 25 | きれいなあなた腹の底から雪を話す | 谷 佳紀 | 神奈川 |
503号 26 | 湯ざめして身ぬちの星座あきらかに | 月野ぽぽな | アメリカ |
503号 27 | 熱燗や同時に愚痴言う男達 | 峠谷清弘 | 東京 |
503号 28 | 大笑いのごとくに鮟鱇の口残る | 中嶋伊都 | 栃木 |
503号 29 | 悠久や河蛇のごとく蛇河のごとく | 中山蒼風 | 富山 |
503号 30 | 暁闇の草の根の音睦月かな | 野崎憲子 | 香川 |
503号 31 | ごろすけほう冬霧に秘密保護法が | 長谷川順子 | 埼玉 |
503号 32 | 梅林に毅然とあかるい割烹着 | 廣島美恵子 | 兵庫 |
503号 33 | 竜の玉ペン貸すように武器供与 | 堀之内長一 | 埼玉 |
503号 34 | 彼岸寺ほそほそ一人言の咲く | 三井絹枝 | 東京 |
503号 35 | 寒月光来ぬ人の椅子たためない | 武藤暁美 | 秋田 |
503号 36 | 氷柱にも念力津軽あいや節 | 武藤鉦二 | 秋田 |
503号 37 | 兄老いぬ漁の始めの褌新た | 森 鈴 | 埼玉 |
503号 38 | 介添えの黒衣が守る里歌舞伎 | 山田哲夫 | 愛知 |
503号 39 | 起ちあがる文章をこそ春北斗 | 柚木紀子 | 長野 |
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504号 1 | 花ごろも臀部犇く緋毛氈 | 飯土井志乃 | 滋賀 |
504号 2 | 漣は誰のあとがき鳥雲に | 伊藤淳子 | 東京 |
504号 3 | 少年は透明な矛盾梨の花 | 伊藤雅彦 | 東京 |
504号 4 | 鳥雲に被爆者が飼う被曝牛 | 稲葉千尋 | 三重 |
504号 5 | 赤ちゃんが桜吹雪を掻き交ぜる | 内田利之 | 兵庫 |
504号 6 | 還暦や土筆ぎくしゃく煮殺して | 榎本祐子 | 兵庫 |
504号 7 | かたちなき言葉の武器や霾ぐもり | 加藤昭子 | 秋田 |
504号 8 | 牡蠣を剥く祈りつくせぬことを詫び | 狩野康子 | 宮城 |
504号 9 | 弥陀の在す山がすごそこ桜の芽 | 北村美都子 | 新潟 |
504号 10 | お遍路に旭ものすごい色気やな | 久保智恵 | 兵庫 |
504号 11 | 暗闇はどうなっている猫の恋 | 河野志保 | 奈良 |
504号 12 | ロボットに負けましたから陽炎 | 小林寿美子 | 滋賀 |
504号 13 | 献体の許しを請えば姉が泣く | 今野修三 | 東京 |
504号 14 | 輪郭はクナシリ桜もち草もち | 佐々木宏 | 北海道 |
504号 15 | 母という難儀なるもの柏餅 | 重松敬子 | 兵庫 |
504号 16 | おもいとは違う声出て桜狩 | 柴田美代子 | 埼玉 |
504号 17 | 愛しの癌や黒葡萄の渦である | 鈴木 誠 | 愛知 |
504号 18 | 豬の夜を冬沢赤らみてなまめきて | 関田誓炎 | 埼玉 |
504号 19 | 尻向けた春駒を描き浮世絵師 | 芹沢愛子 | 東京 |
504号 20 | 昔々兄二人いてねぶか汁 | 高尾久子 | 富山 |
504号 21 | 春眠に少しまじりて死の匂い | 高桑婦美子 | 千葉 |
504号 22 | 風船の紐ふたしかに夜の桜 | 田中亜美 | 神奈川 |
504号 23 | 喪を灯すようです水芭蕉ひらく | 月野ぽぽな | アメリカ |
504号 24 | 余震また弟切草を踏むなかれ | 長尾向季 | 滋賀 |
504号 25 | 白鳥帰る国境あたりで糞をして | 夏谷胡桃 | 岩手 |
504号 26 | 残雪や黒髪の根の焦げ臭き | 野崎憲子 | 香川 |
504号 27 | 満作けぶる傾山のヘリポート | 疋田恵美子 | 宮崎 |
504号 28 | 青水無月銅鏡の紐滅びたり | 日高 玲 | 東京 |
504号 29 | 白鳥の話聞こえる望遠鏡 | 平塚波星 | 秋田 |
504号 30 | 木枯しに慣れず一樹のなほ戦ぐ | 前田典子 | 三重 |
504号 31 | 三月や岩礁のごと劣等感 | 三浦静佳 | 秋田 |
504号 32 | 眼鏡外すは喧嘩の作法根深汁 | 水野真由美 | 群馬 |
504号 33 | 弔いの灯のつながりぬ雪消虫 | 武藤鉦二 | 秋田 |
504号 34 | 地虫出づ土に○書く遊びかな | 森 鈴 | 埼玉 |
504号 35 | 黄砂降る地上に曖昧な怒り | 森央ミモザ | 長野 |
504号 36 | 春土は涙を埋めてしずかなり | 守谷茂泰 | 東京 |
504号 37 | 春寒し鳥のかたちに星繋ぎ | 柳生正名 | 東京 |
504号 38 | 屋上ですずめが先に死んでゐた | 横山 隆 | 長崎 |
504号 39 | 追悼 八木三日女 椿の首ゆるめてあげよう三日女逝く |
若森京子 | 兵庫 |
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505号 1 | 一句一章トンボ鉛筆どれもB | 相原澄江 | 愛媛 |
505号 2 | 枇杷剥いて言葉の行間ほどくかな | 油本麻容子 | 石川 |
505号 3 | 深山霧島吾に億劫の虫ひそみ | 阿保恭子 | 東京 |
505号 4 | 遠く見るためのしんがり長崎忌 | 有村王志 | 大分 |
505号 5 | あかしや白花わが頬杖に倚りかかる | 伊藤淳子 | 東京 |
505号 6 | 人は去り旧谷中村鷹は飛ぶ | 内野 修 | 埼玉 |
505号 7 | 朝顔や形状記憶の怒り肩 | 榎本愛子 | 山梨 |
505号 8 | 今という迷宮があり利久梅 | 大高宏充 | 東京 |
505号 9 | ほうたるほー水は低きへ平俗へ | 金子斐子 | 埼玉 |
505号 10 | 手押し車で移されてゆくオットセイ | 菊川貞夫 | 静岡 |
505号 11 | 山芽吹く人は掌を擦る鼻こする | 北上正枝 | 埼玉 |
505号 12 | 陽炎にこわされどおしの擬音語 | 京武久美 | 宮城 |
505号 13 | 閉じぬ眼に和紙の目隠し雛納 | 金並れい子 | 愛媛 |
505号 14 | 桜花爛漫死ぬときの顔想っている | 小池弘子 | 富山 |
505号 15 | 聚落は横坐りのよう梅咲いて | 児玉悦子 | 神奈川 |
505号 16 | 昼寝覚め東北の地図開きしまま | 坂本みどり | 埼玉 |
505号 17 | 揚羽来る日常かなり直感的 | 白石司子 | 愛媛 |
505号 18 | わがふぐり洗いし川で馬冷やす | 鈴木八駛郎 | 北海道 |
505号 19 | 逃げ水追い母の放浪始まりぬ | 瀬古多永 | 三重 |
505号 20 | 惰眠とも薪のにおいの朧とも | 田口満代子 | 千葉 |
505号 21 | 桜散る散る原発は麻薬である | 田村勝実 | 新潟 |
505号 22 | 恋猫の声と星座と混み合うよ | 月野ぽぽな | アメリカ |
505号 23 | 蝌蚪に足伊勢神木に抱きつくよ | 長谷川順子 | 埼玉 |
505号 24 | 百足虫梁にたましいもまた老いたるか | 藤野 武 | 東京 |
505号 25 | 母笑うどこか網戸の穴のごと | 藤原美恵子 | 岡山 |
505号 26 | 亀鳴くやわが代にて墓閉ざすこと | 前田典子 | 三重 |
505号 27 | 子雀に少し遅れる母の起き伏し | 松本勇二 | 愛媛 |
505号 28 | 青あらしハブ酒にハブのくるくると | 三浦静佳 | 秋田 |
505号 29 | 葱坊主島の娘は横向きに | 水上啓治 | 福井 |
505号 30 | 石鹸に春のくぼみや一人暮らし | 宮崎斗士 | 東京 |
505号 31 | 麦藁を叩けば爺の湧いて出る | 宮川としを | 東京 |
505号 32 | 鬼になれる器でもなし夕ざくら | 武藤鉦二 | 秋田 |
505号 33 | どの道を来てこの真青なる蝶よ | 村上友子 | 東京 |
505号 34 | 夏蝶描くそっと真昼を見詰めつつ | 森央ミモザ | 長野 |
505号 35 | 身に覚えある天罰や春の風邪 | 諸 寿子 | 東京 |
505号 36 | 秘密基地子の汗しみしダンボール | 安井昌子 | 東京 |
505号 37 | 窯出しはちょっと前なりこの青嶺 | 矢野千代子 | 兵庫 |
505号 38 | 星座つくるみたいにすみれの種を蒔く | 吉川真実 | 東京 |
505号 39 | 覚束な天のまろさも罌栗畑も | 柚木紀子 | 長野 |
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506号 1 | 郭公をいつも探していた母よ | 阿木よう子 | 富山 |
506号 2 | 見えぬ海と見える放棄田春落日 | 有村王志 | 大分 |
506号 3 | 十薬の花励ましの形なり | 石川和子 | 栃木 |
506号 4 | 遠流のごと去りしふくしま夏あざみ | 稲葉千尋 | 三重 |
506号 5 | 胸の辺にありて揚羽の水飲み場 | 榎本祐子 | 兵庫 |
506号 6 | 寄り添いぬその生真面目にあじさいに | 加古和子 | 東京 |
506号 7 | 黙っていれば花いちもんめあげる | 河西志帆 | 長野 |
506号 8 | いつだって直球ばかり翡翠は | 木村和彦 | 神奈川 |
506号 9 | 鰹群来ふいとみつかる米穀通帳 | 木村清子 | 埼玉 |
506号 10 | 鳩は樹へ夕日は胸へ春たのしむ | 京武久美 | 宮城 |
506号 11 | 柏餅アンニュイなんて贅沢です | 久保智恵 | 兵庫 |
506号 12 | ひきがえる私の視線感じるか | 河野志保 | 奈良 |
506号 13 | 夏つばめ村人軽口たたくよう | 児玉悦子 | 神奈川 |
506号 14 | 豪雨一と夜詠み人知らずとありし | 小林一枝 | 東京 |
506号 15 | 瑰や遠くのことに人はやさしい | 近藤守男 | 東京 |
506号 16 | かわせみの青き軌跡よ君在りし | 佐々木香代子 | 秋田 |
506号 17 | 被曝の河キューピー人形すっ裸 | 清水茉紀 | 福島 |
506号 18 | 蛍追う深きところに母の闇 | 白石司子 | 愛媛 |
506号 19 | 陽炎や折れぬため揺れ人も木も | 芹沢愛子 | 東京 |
506号 20 | 啓蟄や川から畑へ水運ぶ | 高木一惠 | 千葉 |
506号 21 | 鳥影のさみしさノートは麦の秋 | 田口満代子 | 千葉 |
506号 22 | 清貧や水飯五杯かきこんで | 竪阿彌放心 | 秋田 |
506号 23 | 夏つばめ一回きりの恐山 | 舘岡誠二 | 秋田 |
506号 24 | 老人券買って薄暮の浮世絵展 | 田浪富布 | 栃木 |
506号 25 | 緑の山は孫なりそして力瘤 | 谷 佳紀 | 神奈川 |
506号 26 | ふらここふたつ一つは孫に一つは富士に | 中嶋まゆみ | 埼玉 |
506号 27 | 田を植える人よ夕日とフクシマ負い | 中村 晋 | 福島 |
506号 28 | 遠耳の兄弟が寄り田を植える | 中村道子 | 静岡 |
506号 29 | 初夏の母よ箪笥の鐶が鳴る | 新田幸子 | 滋賀 |
506号 30 | ヒロシマナガサキそしてフクシマ田水張る | 野崎憲子 | 香川 |
506号 31 | 目の裏はすぐに脳みそ日照雨来る | 松本勇二 | 愛媛 |
506号 32 | 蚕豆のひかりも死後のことなりぬ | 水野真由美 | 群馬 |
506号 33 | 啓蟄のあはひに小雨降りしかな | 三井絹枝 | 東京 |
506号 34 | 誰もが好きな木立ちがあって喜雨のなか | 村上友子 | 東京 |
506号 35 | 子馬らの群れて羽音のすこしある | 茂里美絵 | 埼玉 |
506号 36 | 肩に星夜汽車もわたしも夏の影 | 森央ミモザ | 長野 |
506号 37 | 麦秋や明日へ書き足すこと少し | 山田哲夫 | 愛知 |
506号 38 | 青水無月あおい空洞ですわたくしは | 山本 掌 | 群馬 |
506号 39 | 更衣座敷わらしのべべ畳む | 山谷草庵 | 青森 |
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507号 1 | ラ・フランスのいびつな個性戦意かな | 安藤和子 | 愛媛 |
507号 2 | 防人の通ひ路潮騒青葉騒 | 伊佐利子 | 福岡 |
507号 3 | 酸素足るわが手わが足蚊の寄り来 | 石川まゆみ | 広島 |
507号 4 | 鹿の子百合誰にも逢えぬ帰郷とや | 伊藤 和 | 東京 |
507号 5 | クレマチス妻を名前で呼ぶことはない | 宇田蓋男 | 宮崎 |
507号 6 | 誕生日空蝉の鳴る小箱ある | 榎本祐子 | 兵庫 |
507号 7 | 田を上がる父と蛙は扁平だ | 大沢輝一 | 石川 |
507号 8 | 半迦思惟のころかなみょうが咲くまでは | 大谷 清 | 山梨 |
507号 9 | 人間は裏切る海月裏返る | 片岡秀樹 | 千葉 |
507号 10 | 八月や母は昭和を出たがらず | 加藤昭子 | 秋田 |
507号 11 | 立夏の天どこか無念の高さかな | 狩野康子 | 宮城 |
507号 12 | 蛇の衣はなれて見える家の中 | 河西志帆 | 長野 |
507号 13 | 遠雷の夜や複雑に歯をみがく | 木下ようこ | 神奈川 |
507号 14 | 付け馬のように薮蚊連れてくる | 木村和彦 | 神奈川 |
507号 15 | 酢のごとき詩想に春がのっそりと | 京武久美 | 宮城 |
507号 16 | 桑の実の熟すを以て喪明けとす | 小池弘子 | 富山 |
507号 17 | 青葉木菟母をゆらしておりにけり | こしのゆみこ | 東京 |
507号 18 | 山法師足音を踏む山人たち | 児玉悦子 | 神奈川 |
507号 19 | 打水のここより龍の背中かな | 五島高資 | 栃木 |
507号 20 | げんげ田の青大将が骨だった | 今野修三 | 東京 |
507号 21 | 紫陽花や我も我もと直喩法 | 佐藤詠子 | 宮城 |
507号 22 | 逃げ水や母の放浪はじまりぬ | 瀬古多水 | 三重 |
507号 23 | 太古より車座はあり鰹食ぶ | 芹沢愛子 | 東京 |
507号 24 | 古りしわが五体百態ねむの花 | 高木一惠 | 千葉 |
507号 25 | 夏に入るおしめをはずす稽古して | 竪阿彌放心 | 秋田 |
507号 26 | 雲海や我ら眼玉を持てあます | 田中亜美 | 神奈川 |
507号 27 | わたくしの闇と蛍の闇まざる | 月野ぽぽな | アメリカ |
507号 28 | 君は未だ幼くてかなかなの仲間 | 遠山郁好 | 東京 |
507号 29 | 鰹群来孫らの未来おぼつかな | 中嶋まゆみ | 埼玉 |
507号 30 | 荒庭や蛇が横たう被曝の戸 | 中村 晋 | 福島 |
507号 31 | 魚籠に鯰祖父に歯のない口があり | 堀之内長一 | 埼玉 |
507号 32 | 原爆忌傘をひらけば骨がある | 前田典子 | 三重 |
507号 33 | 田草取る言語離れている軽さ | 松本勇二 | 愛媛 |
507号 34 | 雷走る脳過るもの他になし | 丸木美津子 | 愛媛 |
507号 35 | 幼な字や明日天の川渡りましょう | 三井絹枝 | 東京 |
507号 36 | あめんぼや旅ってさまざまな上空 | 宮崎斗士 | 東京 |
507号 37 | 五郎太寝の番屋首振り雛かな | 武藤鉦二 | 秋田 |
507号 38 | 旅は一途な水の底にも夏燕 | 森央ミモザ | 長野 |
507号 39 | 邪険かなささやきぐさを引っこ抜く | 森岡佳子 | 東京 |
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508号 1 | 逃げ水のどこにも逃げ場なき瓦礫 | 有村王志 | 大分 |
508号 2 | 捨て犬を連れてジューンブライドや | 石川義倫 | 静岡 |
508号 3 | 夏橙その手ざわりの過去を言う | 伊藤淳子 | 東京 |
508号 4 | 頬杖ながき無為の怖さの晩夏かな | 伊東友子 | 東京 |
508号 5 | 滑語れぬ重さ背負い込む | 大内冨美子 | 福島 |
508号 6 | 原爆忌影には骨が無いのです | 大沢輝一 | 石川 |
508号 7 | ずぶ濡れの姉が桑の実くれしかな | 大西健司 | 三重 |
508号 8 | 屋根裏に蛇這う音の昭和かな | 奥山津々子 | 三重 |
508号 9 | 雨立ち込めて昆虫展の奥に人 | 小野裕三 | 神奈川 |
508号 10 | 泡となる金魚のことば戦の匂い | 狩野康子 | 宮城 |
508号 11 | 鬼百合やひとり欠伸は手を添えず | 川崎千鶴子 | 広島 |
508号 12 | 大ぶりの蜘蛛の巣いい仕事してるなあ | 佐々木香代子 | 秋田 |
508号 13 | 夏山に雨の襞なす無辺なり | 佐藤紀生子 | 栃木 |
508号 14 | 球児泣く久しく泣くを忘れいし | 末岡 睦 | 北海道 |
508号 15 | 平和な夢だ平和は夢だ鳴かぬ蝉 | 瀬川泰之 | 長崎 |
508号 16 | 三人姉妹に父よりそびえ冷蔵庫 | 芹沢愛子 | 東京 |
508号 17 | 星の寿命の最後は爆発合歓の花 | 高橋明江 | 埼玉 |
508号 18 | 鯵刺や素描のような旅をして | 田口満代子 | 千葉 |
508号 19 | にこにこのそはそはのねこじゃらしかな | 武田美代 | 栃木 |
508号 20 | 竜神の潟辺に住んで盆踊り | 舘岡誠二 | 秋田 |
508号 21 | 避暑家族鳥とも違う会話して | 田中亜美 | 神奈川 |
508号 22 | 熱帯夜昔の私と怒鳴り合う | 峠谷清弘 | 東京 |
508号 23 | ががんぼは腕立て伏せして老いてゆく | 永井 幸 | 福井 |
508号 24 | 土笛か鳥かけものか富士は初夏 | 中島まゆみ | 埼玉 |
508号 25 | 被爆地に雨被爆地に雨とやませ | 中村 晋 | 福島 |
508号 26 | 山二つ窓に賜る敗戦日 | 中村裕子 | 秋田 |
508号 27 | 白南風や裏木戸を開けて日輪 | 野崎憲子 | 香川 |
508号 28 | 夏うぐいす自己陶酔のありにけり | 平山圭子 | 岐阜 |
508号 29 | ナガサキ全滅の報耳にあり夏野 | 舛田子 | 長崎 |
508号 30 | 死後少し残る聴力夕かなかな | 松本勇二 | 愛媛 |
508号 31 | 原爆忌の雨原爆の河に落つ | マブソン青眼 | 長野 |
508号 32 | 熱帯夜言葉出て行く歯の透き間 | 水上啓治 | 福井 |
508号 33 | 母の来て小鳥をつかむ仕草かな | 水野真由美 | 群馬 |
508号 34 | ぽーっと灯り一重瞼を閉じにけり | 三井絹枝 | 東京 |
508号 35 | 草いきれ皮膚は牢のようでもあり | 茂里美絵 | 埼玉 |
508号 36 | 猫が触れゆく静かな柱夏の家 | 森央ミモザ | 長野 |
508号 37 | 撫でるごとトマト湯むきす子は遠し | 森岡佳子 | 東京 |
508号 38 | 滝壷をやがて去る水青き真昼 | 山本 勲 | 北海道 |
508号 39 | 遠さかる漢のごとく八月も | 柚木紀子 | 長野 |