「金子兜太選 海程秀句」鑑賞
2013年目次 |
鑑賞した句を順に並べてあります。 各号ごとに観賞した順番は〈あいうえお〉順となっています |
底 | ||
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句
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作者名
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地域 |
489号 1 | わが影に翁入りくる秋暑かな | 伊佐利子 | 福岡 |
489号 2 | みみず鳴く不意のプロペラぎこちなき | 石川和子 | 栃木 |
489号 3 | 赤とんぼ素足を洗う葬の家 | 一ノ瀬タカ子 | 東京 |
489号 4 | 青田の鷺染め抜かれたる寂しさは | 伊藤 和 | 東京 |
489号 5 | 灯下親し縄文土器に耳二つ | 伊藤友子 | 埼玉 |
489号 6 | 備中鍬のわれは蟹股草ひばり | 稲葉千尋 | 三重 |
489号 7 | 月明のセシウム光りおるならむ | 大口元通 | 愛知 |
489号 8 | ひかりごけのひかりは鹿に沁み入るかな | 大谷 清 | 埼玉 |
489号 9 | 茄子の馬九人も乗って傾きぬ | 大野美代子 | 愛媛 |
489号 10 | われに秋草たっぷり遺し夫の忌 | 加地英子 | 愛媛 |
489号 11 | 津波怖しと児は月光に息を継ぐ | 狩野康子 | 宮城 |
489号 12 | 鳥に空砲人に彷徨黒葡萄 | 刈田光児 | 新潟 |
489号 13 | 畏友呼べば風に耐えてる蛇の衣 | 小林まさる | 群馬 |
489号 14 | 父いまも陛下の赤子彼岸花 | 小柳慶三郎 | 群馬 |
489号 15 | 寝姿は野武士なるこの糞爺い | 佐々木昇一 | 秋田 |
489号 16 | すっ裸の嬰セシウムの風はやまない | 清水茉紀 | 福島 |
489号 17 | 残る月私という潦 | 白石司子 | 愛媛 |
489号 18 | 老人の鏡に雨の金木犀 | 関田誓炎 | 埼玉 |
489号 19 | 嘆きの壁伝うヤモリにカシオペア | 田井淑江 | 東京 |
489号 20 | へちま忌や筆談の文字正されて | 高木一惠 | 千葉 |
489号 21 | 抜群の鳥の記憶や石蕗の花 | 田口満代子 | 千葉 |
489号 22 | 浪速津という陽炎の貨車溜まり | 竹内羲聿 | 大阪 |
489号 23 | 円錐と円錐の影夏逝けり | 田中亜美 | 神奈川 |
489号 24 | 日にいくたび陽は戦争の上とおる | 月野ぽぽな | アメリカ |
489号 25 | 床前に明月もニコニコ二コと | 董 振華 | 中国 |
489号 26 | フルーツポンチにびわの実ありし亡夫 とありし |
中島まゆみ | 埼玉 |
489号 27 | 新米を一合研いで海鳴りや | 丹生千賀 | 秋田 |
489号 28 | 佐渡浮かぶ海は素風の器だな | 長谷川育子 | 新潟 |
489号 29 | クラシックホテルの馬丁晩夏光 | 日高 玲 | 東京 |
489号 30 | 蝮蛇草に朱い実父にのどぼとけ | 藤原美恵子 | 岡山 |
489号 31 | 海境ははるかなるもの良夜かな | 堀之内長一 | 埼玉 |
489号 32 | 小堀葵氏を悼む 立待ちの葵の月の嗚咽かな |
本田日出登 | 群馬 |
489号 33 | 秋立つと萬金丹をこぼしけり | 前田典子 | 三重 |
489号 34 | かみなり落ちた旅した山に園の木に | 間島貞子 | 大阪 |
489号 35 | 親族は寄って酔うもの谷紅葉 | 水上啓治 | 福井 |
489号 36 | 蠍座や今宵わが髪乱れます | 森 美樹 | 千葉 |
489号 37 | 旅という静かなうしろ鹿のうしろ | 森央ミモザ | 長野 |
489号 38 | 杉菜抜いても確かに空地父の家 | 山本 勲 | 北海道 |
489号 39 | うしろより男声「ようそろ」冬近し | 柚木紀子 | 長野 |
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490号 1 | 鬼くさし銀杏掃き寄す日課かな | 阿久沢達子 | 群馬 |
490号 2 | 浴室の紅葉は造花癌病棟 | 足利屋 篤 | 群馬 |
490号 3 | 行き場なき漂流家族秋出水 | 石川青狼 | 北海道 |
490号 4 | 絶筆の推敲のあと霜雫 | 石川まゆみ | 広島 |
490号 5 | 分去れや捨てきれぬもの紅葉す | 市川正直 | 東京 |
490号 6 | とんぼ飛ぶ音なくてこの日常感 | 伊藤淳子 | 東京 |
490号 7 | 人体は冬の装置のごと清し | 岡崎正宏 | 埼玉 |
490号 8 | 枇杷の花土舐めて土確かめる | 奥山和子 | 三重 |
490号 9 | 豆を打つ冬眠の蛇起こさぬよう | 小池弘子 | 富山 |
490号 10 | ひたすらなるものに落日冬の水 | 児玉悦子 | 神奈川 |
490号 11 | 秋出水胡座会議が決裂す | 佐々木昇一 | 秋田 |
490号 12 | こころとは器なり飯包む葉っぱ | 篠田悦子 | 埼玉 |
490号 13 | 秋の男象の皺みて小半日 | 柴田美代子 | 埼玉 |
490号 14 | 鼻から管紅葉が窓にぐにゃぐにゃ | 十河宣洋 | 北海道 |
490号 15 | 柚子は黄に音沙汰は水影のよう | 田口満代子 | 千葉 |
490号 16 | 車窓に星ぶつかりくるを潤といふ | 武田美代 | 栃木 |
490号 17 | カナリアとカナリアの籠寒林に | 田中亜美 | 神奈川 |
490号 18 | 天高く落ちたくなった池がある | 谷 佳紀 | 神奈川 |
490号 19 | 訛りしみじみそして秋刀魚の刺身かな | 田村勝美 | 新潟 |
490号 20 | 舌に骨なくて紅葉山果てなし | 田村行子 | 栃木 |
490号 21 | 銀漢はびしょ濡れのまま街の上 | 月野ぽぽな | アメリカ |
490号 22 | 冷え性の稗の種ですわたくしは | 遠山郁好 | 東京 |
490号 23 | 蛇穴へさうして誰もゐなくなる | 長尾向季 | 滋賀 |
490号 24 | 男体山も介護の仲間顔を見す | 中島伊都 | 栃木 |
490号 25 | 待ちし子はとんぼがえりよ雨月なる | 長野祐子 | 東京 |
490号 26 | 亡夫の髪なでたくて居る無月かな | 中村道子 | 静岡 |
490号 27 | 寝物語に犀の生き死に無月なり | 日高 玲 | 東京 |
490号 28 | 月白や玄米二合研いでます | 平野八重子 | 愛媛 |
490号 29 | 辺境の華だよ父の木の実独楽 | 堀之内長一 | 埼玉 |
490号 30 | 穴まどい母のことばに傷つく子 | 本田ひとみ | 埼玉 |
490号 31 | 首塚や字余りのよう雁の声 | 武藤暁美 | 秋田 |
490号 32 | 月明り短信ときに短剣なり | 村上友子 | 東京 |
490号 33 | 秋思かなきりんの首の雨だれ | 室田洋子 | 群馬 |
490号 34 | 日本とう冷めた雑炊朝まだき | 森 鈴 | 埼玉 |
490号 35 | 鶏頭花ひとりは一方的に紅く | 森央ミモザ | 長野 |
490号 36 | 墓囲ふ鄙の饂飩は足で踏み | 柳生正名 | 東京 |
490号 37 | 親父たるもの一本道の黄葉紅葉 | 山内崇弘 | 愛媛 |
490号 38 | どんよりと老人が居て放屁虫 | 山口 伸 | 愛知 |
490号 39 | 鼬に会釈やや加速する日常 | 若森京子 | 兵庫 |
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491号 1 | 木菟や正にまじめに鬱っぽく | 阿保恭子 | 東京 |
491号 2 | 手をかけずそうして物は枯れてゆく | 石山一子 | 埼玉 |
491号 3 | ざざ漏れの晩節冬至かぼちゃ煮て | 市原光子 | 徳島 |
491号 4 | 悪役の居ない台本マスクする | 上田久雄 | 石川 |
491号 5 | 冬の寺微塵はひかりまみれなり | 大高宏充 | 東京 |
491号 6 | 枯蟷螂まだ斧あげてわが身かな | 岡崎万寿 | 東京 |
491号 7 | 一人ぼっちの堂守金色落葉かな | 柄沢あいこ | 神奈川 |
491号 8 | 煮凝りの家族がまたぐ虚無地獄 | 京武久美 | 宮城 |
491号 9 | 「9条」は摘んではならない冬すみれ | 河野志保 | 奈良 |
491号 10 | ジョルジュ・ルオーに 基督も道化師も青冬の街 |
小長井和子 | 神奈川 |
491号 11 | 素白という椿ありけり逢いたし | 小林寿美子 | 滋賀 |
491号 12 | 手の届く処に聖書秋出水 | 小林晋子 | 秋田 |
491号 13 | うずくまる藁塚藁塚たるに倦み | 小宮豊和 | 群馬 |
491号 14 | 豪雪停電狐の嫁入りのように母 | 佐々木宏 | 北海道 |
491号 15 | すれ違う焚火の匂いする父と | 佐藤紀生子 | 栃木 |
491号 16 | 枯葉着て眠りこけたい一日です | 釈迦郡ひろみ | 宮崎 |
491号 17 | 豊頬の古代の面や冬の蔵 | 新城信子 | 埼玉 |
491号 18 | 白昼夢雪の地平へ母を置く | 菅原和子 | 東京 |
491号 19 | 髪切って頭にしみる刈田かな | 鈴木修一 | 秋田 |
491号 20 | 彼岸花日本にヒト住めぬ場所 | 瀧 春樹 | 大分 |
491号 21 | 深読みも亀裂のひとつ冬鴎 | 田口満代子 | 千葉 |
491号 22 | 百済という在に機関区草雲雀 | 竹内羲聿 | 大阪 |
491号 23 | 鴨は水鳥魚屋に吊られたり | 竪阿彌放心 | 秋田 |
491号 24 | 流木は光の棲家冬はじめ | 月野ぽぽな | アメリカ |
491号 25 | 冬蠅を逐う手よ核に逐われし手 | 中村 晋 | 福島 |
491号 26 | 夜神楽へ臨時列車の来ておりぬ | 中村真知子 | 三重 |
491号 27 | 急がずとも身辺すでに冬ざるる | 成田恵風子 | 福井 |
491号 28 | 蛇穴へ自分史やはり秘めたままに | 長谷川順子 | 埼玉 |
491号 29 | 古九谷の壺に山霧一泊す | 浜 芳女 | 群馬 |
491号 30 | 弱法師を舞うた昔よもがり笛 | 日秋英子 | 兵庫 |
491号 31 | 選挙終えセシウムしみる枯野かな | マブソン青眼 | 長野 |
491号 32 | 灯ともし頃あまたのわれと影を踏む | 水野真由美 | 群馬 |
491号 33 | 疲れたかな一羽の冬かもめに夢中 | 宮崎斗士 | 東京 |
491号 34 | 収縮も弛緩も飽きてなまこかな | 武藤鉦二 | 秋田 |
491号 35 | 栗甘し硬しコクトーの詩篇のよう | 村上友子 | 東京 |
491号 36 | あのゴリラひとを枯葉のように視る | 茂里美絵 | 埼玉 |
491号 37 | 能面打ちの座るところまで冬日 | 山本昌子 | 京都 |
491号 38 | 冬幻ほどなる鬱よ息ひけり | 柚木紀子 | 長野 |
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492号 1 | 篤農の湯気たて尿る淑気かな | 安藤和子 | 愛媛 |
492号 2 | 昼灯し狐火のよう車間距離 | 伊藤はる子 | 秋田 |
492号 3 | レクイエムみちのく広々冬の波 | 大内冨美子 | 福島 |
492号 4 | 鮟鱇の美男の口をすするかな | 川崎千鶴子 | 広島 |
492号 5 | 赤鼻のおじさん殖えてどんどの火 | 河原珠美 | 神奈川 |
492号 6 | 蝋梅や母というもの隙だらけ | 木村清子 | 埼玉 |
492号 7 | 初鶏や力いっぱい泣く孫と | 久保筑峯 | 千葉 |
492号 8 | ストーブが猫あたためる独学よ | 河野志保 | 奈良 |
492号 9 | 老院に閉じこめられし文書くや | 小林一枝 | 東京 |
492号 10 | 元朝や大志きれいに消せるペン | 小林寿美子 | 滋賀 |
492号 11 | ふりむけば枯れているのは家だった | 坂本春子 | 神奈川 |
492号 12 | 闇汁に頑固な父が義歯落とす | 佐々木昇一 | 秋田 |
492号 13 | 後頭部のごと墓あまた冬銀河 | 佐々木義男 | 福井 |
492号 14 | 根深汁猫のピアスがテーブルに | 佐藤美紀江 | 千葉 |
492号 15 | シリウスや子離れという離れ技 | 下山田禮子 | 埼玉 |
492号 16 | 落葉嬉々光の中に立ってみる | 新宅美佐子 | 愛媛 |
492号 17 | 冬薔薇骨まで見える怪我をして | 鈴木幸江 | 滋賀 |
492号 18 | 茶の花や紙人形のうすまぶた | 瀬古多永 | 三重 |
492号 19 | 人参に鬚根熟女に白鳥座 | 十河宣洋 | 北海道 |
492号 20 | 旧仮名は媚薬のごとし初神籤 | 高木一惠 | 千葉 |
492号 21 | 生きる面倒死ぬる億劫あみだくじ | 高桑弘夫 | 千葉 |
492号 22 | お元日日の脚見んとていざりゆく | 瀧村道子 | 岐阜 |
492号 23 | 雪は降る立たされ坊主埋もるほど | 竪阿弥放心 | 秋田 |
492号 24 | 着ぶくれて本一冊分の独り言 | 峠谷清広 | 東京 |
492号 25 | 冬の橋貌なしばかり映るかな | 長尾向季 | 滋賀 |
492号 26 | 水音の元気な家に嫁が君 | 中村真知子 | 三重 |
492号 27 | 木の家は淋しき巣穴冬の雷 | 中村裕子 | 秋田 |
492号 28 | 嫁が君八十路は睨み効かぬなり | 長谷川育子 | 新潟 |
492号 29 | しぐるるや関東平野に葱は倒れて | 平田 薫 | 神奈川 |
492号 30 | 春へもういろんな私信じよう | 平野八重子 | 愛媛 |
492号 31 | 夜神楽だ津波で逝きし魂も来よ | 藤野 武 | 東京 |
492号 32 | 茫洋とありし老いたる勇魚取 | 堀之内長一 | 埼玉 |
492号 33 | 一片の雪なり永久の別れなり | 本間 道 | 新潟 |
492号 34 | はや三日蛇より長い坂上る | 舛田子 | 長崎 |
492号 35 | 村じゅうのぶりこ噛む音嫁が来る | 武藤暁美 | 秋田 |
492号 36 | 草むしる蟋蟀の寝床もあるだろに | 森岡佳子 | 東京 |
492号 37 | 冬耕のひとりが石となる日暮れ | 山田哲夫 | 愛知 |
492号 38 | ぐるりに垂氷一戸の齢爛爛と | 柚木紀子 | 長野 |
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493号 1 | 『山月記』読む唇厚し冬深し | 荒井まり子 | 京都 |
493号 2 | 気紛れに散らばる家族如月なり | 飯島洋子 | 東京 |
493号 3 | 廃校のときどきしゃべる冬柏 | 飯土井志乃 | 滋賀 |
493号 4 | 保育園児の作る豊胸雪だるま | 五十嵐好子 | 東京 |
493号 5 | 久遠とはいつかは氷る水の底 | 伊藤淳子 | 東京 |
493号 6 | 春の富士より頂けり野糞の座 | 内野 修 | 埼玉 |
493号 7 | ほとけのざすずなすずしろはだれ髪 | 扇谷千恵子 | 富山 |
493号 8 | 春一番くびれ自慢の少女達 | 大西宣子 | 愛媛 |
493号 9 | 管で食摂り冬の虹見たという | 狩野康子 | 宮城 |
493号 10 | 雑なわたしへ雪は降りますせつせつと | 柄沢あいこ | 神奈川 |
493号 11 | 春は忙しこころほろぼしていたり | 川西志帆 | 長野 |
493号 12 | 自信なき記憶のように独楽まわる | 久保智恵 | 兵庫 |
493号 13 | 海程五十周年記念大会 変哲の万歳の声雪解川 |
久保筑峯 | 千葉 |
493号 14 | 青森牛蒡一米もありそうな | 小松京華 | 神奈川 |
493号 15 | 春の雪山河に続く待ち時間 | 佐藤紀生子 | 栃木 |
493号 16 | ぼんやり来て田に影飛行船 | 篠田悦子 | 埼玉 |
493号 17 | 春画展観て春愁を去なすかな | 清水 瀚 | 東京 |
493号 18 | 湯冷めして海馬にひろがる荒野かな | 白石司子 | 愛媛 |
493号 19 | 氷山の崩落茶の間に及びけり | 須藤火珠男 | 栃木 |
493号 20 | 淡雪やわれに土偶のまろき腹 | 高木一惠 | 千葉 |
493号 21 | 麗かやうららは頭痛持ちの歌 | 高桑弘夫 | 千葉 |
493号 22 | 片付かぬ胸の押入れ根深汁 | 武田昭江 | 東京 |
493号 23 | 如月や鉛筆で描く原生林 | 田中亜美 | 神奈川 |
493号 24 | 忸怩とは父思うこと梅の花 | 中村孝史 | 宮城 |
493号 25 | 左義長に来し番長の老いにけり | 中山蒼楓 | 富山 |
493号 26 | すべる橋絵踏みのように足を置く | 梨本洋子 | 長野 |
493号 27 | 笹鳴や強迫的にメモっている | 藤江 瑞 | 神奈川 |
493号 28 | 動物好きの妻に大勢の親戚 | 北條貢司 | 北海道 |
493号 29 | 除染まだ冬日にふっと目を閉じる | 本田ひとみ | 埼玉 |
493号 30 | 闘鶏の土佐で深酒して父よ | 松本勇二 | 愛媛 |
493号 31 | 幼子二人に一つの枕薄紅梅 | 三井絹枝 | 東京 |
493号 32 | 雪を酒で洗うて墓の微醺かな | 村上 豪 | 三重 |
493号 33 | 冬の雲光る気光る木ランナー | 茂里美絵 | 埼玉 |
493号 34 | 生き急ぐ夫にからむや零余子蔓 | 森由美子 | 埼玉 |
493号 35 | 象一頭黄蝶一頭我独り | 諸 寿子 | 東京 |
493号 36 | 銀閣も耳の後ろも冬ざるる | 柳生正名 | 東京 |
493号 37 | 融雪期掬いあげたる句の蒼さ | 山本キミ子 | 富山 |
493号 38 | 星逢うて三歳童子佇ちてあり | 柚木紀子 | 長野 |
493号 39 | 清浄の雪降れ妹へ東北へ | 六本木伸一 | 群馬 |
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494号 1 | 山頭火好きの船長花に酔ふ | 伊佐利子 | 福岡 |
494号 2 | 有袋類のごと赤子を抱き花見かな | 石川和子 | 栃木 |
494号 3 | 冬鳥よわがさざなみを言葉とし | 伊藤淳子 | 東京 |
494号 4 | 時代という愛しき器雛あられ | 金子斐子 | 埼玉 |
494号 5 | 水ぬるむころうしろから人がくる | 金子ひさし | 愛知 |
494号 6 | 訛つよき母はふくよか蜆汁 | 鎌田喜代子 | 神奈川 |
494号 7 | 夏つばめ手の鳴る方になど行かぬ | 川西志帆 | 長野 |
494号 8 | ハスキーボイス帽子屋の窓に雪かな | 木下ようこ | 神奈川 |
494号 9 | 動かざる樹々ひたすらの早春や | 小林一枝 | 東京 |
494号 10 | 足利屋篤がつんのめってる花菜風 | 小林まさる | 群馬 |
494号 11 | 荒星や真顔で話す吾子が好い | 小原恵子 | 埼玉 |
494号 12 | 春来れば爺のため咲くお婆さん | 佐々木昇一 | 秋田 |
494号 13 | もの思えば春の瀬音を妊りぬ | 柴田美代子 | 埼玉 |
494号 14 | 九穴のしまいは墓穴はだれ雪 | 清水 瀚 | 東京 |
494号 15 | パン包む原発写真の新聞紙 | 清水茉紀 | 福島 |
494号 16 | 猪の目の遠き色なり両神山なり | 白石司子 | 愛媛 |
494号 17 | 冬の雷重心低き山の宿 | 新城信子 | 埼玉 |
494号 18 | 朝日に鹿われに水面の冬の音 | 関田誓炎 | 埼玉 |
494号 19 | 海って光なんだ春の自転車も | 芹沢愛子 | 東京 |
494号 20 | 蛇裂きて鷹の子育て余念なし | 高木一惠 | 千葉 |
494号 21 | 断層は地球の生傷みちのく忌 | 瀧 春樹 | 大分 |
494号 22 | 曳航のさみしさに似て黄砂降る | 田口満代子 | 千葉 |
494号 23 | 大絵図のむかしの田植え数珠つなぎ | 舘岡誠二 | 秋田 |
494号 24 | 桜蘂声失うを美と呼んで | 田中亜美 | 神奈川 |
494号 25 | 足利屋篤可愛くなって春の底 | 谷 佳紀 | 神奈川 |
494号 26 | 逃水のくるぶし見えている異郷 | 月野ぽぽな | アメリカ |
494号 27 | 春耕や郷里の影に月の光 | 董 振華 | 中国 |
494号 28 | 花筵の孫軍靴履くなよ | 中島まゆみ | 埼玉 |
494号 29 | 宮古島にも下町がある猫の恋 | 中原 梓 | 埼玉 |
494号 30 | 生き返るために死はあり花は葉に | 福原 實 | 神奈川 |
494号 31 | 山茱萸あかり呼捨ての友もういない | 堀之内長一 | 埼玉 |
494号 32 | 雫かな老梅の話しています | 三井絹枝 | 東京 |
494号 33 | 逆上がりは菜の花の色祖父がいた | 宮崎斗士 | 東京 |
494号 34 | 御詠歌の終いは梟呼ぶごとし | 武藤鉦二 | 秋田 |
494号 35 | 出さぬ文で舟折っている夕ざくら | 茂里美絵 | 埼玉 |
494号 36 | 波音を繭と思いぬ春の駅 | 守谷茂泰 | 東京 |
494号 37 | 春眠に風倒木があり醒める | 柳生正名 | 東京 |
494号 38 | 如是我聞生の白子に箸揃え | 矢野千代子 | 兵庫 |
494号 39 | 氈鹿に代りて佇たな春の雪 | 柚木紀子 | 長野 |
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495号 1 | 夕蛙人の目玉はもう御免 | 阿川木偶人 | 東京 |
495号 2 | 黒髪の緩きウェーブ百千鳥 | 有田莉多 | 東京 |
495号 3 | 生きるとは朝が生れる鳥交る | 安藤和子 | 愛媛 |
495号 4 | 藤房や意志なきまま揺れ離る郷 | 伊藤 和 | 東京 |
495号 5 | 技比べせむとや並びし蟻地獄 | 内田利之 | 兵庫 |
495号 6 | 牛飼いの老爺被曝の牛を抱く | 大西健司 | 三重 |
495号 7 | でこぼこの老兵ここに葱坊主 | 岡崎万寿 | 東京 |
495号 8 | 筍茹でる七人家族の頃ありき | 加地英子 | 愛媛 |
495号 9 | 春昼や我が名見あきし人ばかり | 門屋和子 | 愛媛 |
495号 10 | 想さやと下降す藤の実が青し | 北村美都子 | 新潟 |
495号 11 | 幸福感抱いて気ままに春の暮 | 京武久美 | 宮城 |
495号 12 | 桐の花巨石を運ぶ村人たち | 児玉悦子 | 神奈川 |
495号 13 | 今は昔獣のごとく青き踏む | 小原恵子 | 埼玉 |
495号 14 | 歯の生えぬ子より大きな兜折る | 近藤好子 | 愛知 |
495号 15 | サクラガサイタサクラガサイタ死ぬ人も | 笹岡素子 | 北海道 |
495号 16 | 近くから私を見れば霞なり | 佐々木昇一 | 秋田 |
495号 17 | 四姉妹の一人色黒芋雑炊 | 篠田悦子 | 埼玉 |
495号 18 | 寝たっきりも命の塊日常有り | 釈迦郡ひろみ | 宮崎 |
495号 19 | 君たちの正論新じゃがに近い | 白石司子 | 愛媛 |
495号 20 | 目借り時はがき一枚ふっと孤独 | 新城信子 | 埼玉 |
495号 21 | 沈黙のはじめに春の放射能 | 高桑婦美子 | 千葉 |
495号 22 | 木下闇さっきの雨が瞬いた | 竹田昭江 | 東京 |
495号 23 | 花ノ冷エ雨ニモ負ケテ籠リケリ | 竪阿彌放心 | 秋田 |
495号 24 | 藤垂れて先進国という疲労 | 田中亜美 | 神奈川 |
495号 25 | 北京の古き良き多岐多様柳絮飛ぶ | 董 振華 | 中国 |
495号 26 | 雨は祖母接骨木の窓細く開け | 遠山郁好 | 東京 |
495号 27 | 手花火の火花チリチリ我が脳 | 徳永義子 | 宮崎 |
495号 28 | ミツバチの中にもニートいるらしい | 中村真知子 | 三重 |
495号 29 | 陽炎や人がときどき入れ替わる | 根岸暁子 | 群馬 |
495号 30 | 福島に生きる畦塗る祖を塗る | 藤野 武 | 東京 |
495号 31 | ぼくんちにせんせいあのね団子虫 | 堀真知子 | 愛知 |
495号 32 | 野遊びのあの子編集者のセンス | 宮崎斗士 | 東京 |
495号 33 | 雪べらの突立っている喪の戸口 | 武藤暁美 | 秋田 |
495号 34 | 巣を覗く真昼の透明な背のび | 森央ミモザ | 長野 |
495号 35 | 筍や見えない過去が根の如く | 山田哲夫 | 愛知 |
495号 36 | 思考といいがたし春の土堀りはじめる | 山本 勲 | 北海道 |
495号 37 | 羆らし薔薇薔薇薔薇嗅ぐつもりらし | 柚木紀子 | 長野 |
495号 38 | こちら向く春のフクシマ放れ牛 | 横地かをる | 愛知 |
495号 39 | 汗かくと虫寄ってくる蛇逃げる | らふ亞沙弥 | 神奈川 |
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496号 1 | ナイターや笑窪の投手クローズアップ | 五十嵐好子 | 東京 |
496号 2 | 仰臥せし子規の宙あり蝶生るる | 石川青狼 | 北海道 |
496号 3 | ポッペン吹くよ国民学校同窓会 | 石田順久 | 神奈川 |
496号 4 | 青葉照りてふ鏡の奥にわれ住まう | 伊藤 和 | 東京 |
496号 5 | 枇杷の実や六十路は唾を飛ばすなり | 稲葉千尋 | 三重 |
496号 6 | 油虫撃ちてし止まむ四つん這い | 内田利之 | 兵庫 |
496号 7 | 猫黒し虞美人草を折り曲げて | 内野 修 | 埼玉 |
496号 8 | くちなわの寝息きこえる博多帯 | 大野美代子 | 愛媛 |
496号 9 | 思いったけ老鴬のソロ我一人 | 岡崎万寿 | 東京 |
496号 10 | 現実の蟻の二割のサボタージュ | 奥野ちあき | 北海道 |
496号 11 | 我が影の芯の部分へあめんぼう | 門屋和子 | 愛媛 |
496号 12 | 梅雨多彩老衰という単純さ | 狩野康子 | 宮城 |
496号 13 | 人声に興味津々青葉木菟 | 北村美都子 | 新潟 |
496号 14 | 還暦の含羞あしなが蜂水に | 木下ようこ | 神奈川 |
496号 15 | 暗がりの牛なる私春の雷 | 木村清子 | 埼玉 |
496号 16 | 人焼くけむり春は駄菓子の七色に | 小池弘子 | 富山 |
496号 17 | 不安とは とはとは綿毛とんでいる | 小林寿美子 | 滋賀 |
496号 18 | 暗闇へ山盛りにするさくらんぼ | 佐藤二千六 | 秋田 |
496号 19 | 被曝とう荒寥に在る新樹光 | 篠田悦子 | 埼玉 |
496号 20 | 花筏とうに還暦曲りきる | 下山田禮子 | 埼玉 |
496号 21 | 木の上が天と地の間青蛙 | 須藤火珠男 | 栃木 |
496号 22 | 爆心柱きみ渾身の新樹なり | 高木一惠 | 千葉 |
496号 23 | 冠着は無人駅赤松の夏 | 田中昌子 | 京都 |
496号 24 | 男叩くように女は蚊をよける | 峠谷清弘 | 東京 |
496号 25 | はつ夏に会う子よ清水汲み上げる | 遠山郁好 | 東京 |
496号 26 | クローバーに踏み込みまろび金婚なり | 中尾和夫 | 宮崎 |
496号 27 | リラ冷えや物申すとき口うごく | 中村裕子 | 秋田 |
496号 28 | 代掻機田の切れ端を持ち帰る | 西又利子 | 福井 |
496号 29 | 風の一日の駱駝に夏毛人に黙 | 野田信章 | 熊本 |
496号 30 | 蟻の列津波の記憶引きずって | 本田ひとみ | 埼玉 |
496号 31 | 八十八夜卵ほのかに翳りゐる | 前田典子 | 三重 |
496号 32 | 白い梅ふしぎそうに皆年をとり | 三井絹枝 | 東京 |
496号 33 | 牛の鼻撫でふくしまの花まんさく | 武藤暁美 | 秋田 |
496号 34 | 青嵐石に馬乗りして石屋 | 武藤鉦二 | 秋田 |
496号 35 | ほたる飼うあにいもうとよナガサキ | 茂里美絵 | 埼玉 |
496号 36 | 此処はもうここではなくて夕焼ける | 森央ミモザ | 長野 |
496号 37 | ほたるぶくろ星空のごと覗きこむ | 守谷茂泰 | 東京 |
496号 38 | 羅漢千体薄い下着のはりついて | 矢野千代子 | 兵庫 |
496号 39 | 十薬や踵あたりに夜が来て | 吉川真実 | 東京 |
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497号 1 | 昼寝覚め目鼻確かむ被曝圏 | 有村王志 | 大分 |
497号 2 | 日向灘七月心底明るい刹那だな | 石田順久 | 神奈川 |
497号 3 | 人をさす無垢のその眼よ夏あざみ | 石山一子 | 埼玉 |
497号 4 | 雲の峰たれにもひとつうしろ山 | 江 津 | 神奈川 |
497号 5 | 蕗や自我くたくたに煮て おやすみ | 榎本祐子 | 兵庫 |
497号 6 | 紅白饅頭でもなくあらゆる朧かな | 大谷 清 | 山梨 |
497号 7 | 果樹園は梅雨の電球より静か | 大野泰司 | 愛媛 |
497号 8 | 鳥だった肉片を焼く川開き | 奥山和子 | 三重 |
497号 9 | 桑の実よ友は法華寺みちを曲った | 加納百合子 | 奈良 |
497号 10 | 身体ははるかなる闇舞う蛍 | 柄沢あいこ | 神奈川 |
497号 11 | 竹夫人がんじがらめになっており | 川西志帆 | 長野 |
497号 12 | 夏茱萸やあひづちのごと掌のくぼみ | 木下ようこ | 神奈川 |
497号 13 | 箱庭に人の気配を作りけり | こしのゆみこ | 東京 |
497号 14 | 味噌蔵にまろびし母の朧かな | 児玉悦子 | 神奈川 |
497号 15 | 胸中の湖に空蝉吹かれきて | 小長井和子 | 神奈川 |
497号 16 | コワレモノ注意蛍ガ生マレマス | 小西瞬夏 | 岡山 |
497号 17 | 罪や功や花活けし辺に入院 | 小林一枝 | 東京 |
497号 18 | 田蛙やまもちゃんあっちゃん出て来いよ | 小林まさる | 群馬 |
497号 19 | 雑巾のように母在り夜の鶴 | 佐藤鎮人 | 岩手 |
497号 20 | 月に霜きれいな蹠のような | 猿渡道子 | 群馬 |
497号 21 | 長崎 人として棒立ちの汗爆心地 |
篠田悦子 | 埼玉 |
497号 22 | 老いてこそ命かがやく西瓜に刃 | 末岡 睦 | 北海道 |
497号 23 | 入り来ては蛇おとなしき座禅堂 | 竪阿彌放心 | 秋田 |
497号 24 | 無口なるわれの特技は茄子の馬 | 舘岡誠二 | 秋田 |
497号 25 | 悼・村上護さん 白桃を剥きて無頼派うつくしく |
田中亜美 | 神奈川 |
497号 26 | ホタルブクロ生まれる前に聴いた声 | 月野ぽぽな | アメリカ |
497号 27 | 悪あがきみたいな寝相熱帯夜 | 峠谷清弘 | 東京 |
497号 28 | 被曝の戸も住み替る代ぞ青大将 | 中村 晋 | 福島 |
497号 29 | 滅相な少女のあくび梅雨上る | 中村孝史 | 宮城 |
497号 30 | 蘭奢待なる酒酌みて月を消す | 並木邑人 | 千葉 |
497号 31 | ファスナーに男手を借るパリー祭 | 新田幸子 | 滋賀 |
497号 32 | 夏の朝のんのん喋ってから坐禅 | 丹生千賀 | 秋田 |
497号 33 | 螢とぶ北斗七星のあたり | 野崎憲子 | 香川 |
497号 34 | 耳鳴り否夏コオロギの爆心地 | 野田信章 | 熊本 |
497号 35 | 流木を束ねたよう爆心地に旅人 | 室田洋子 | 群馬 |
497号 36 | 水中花水の意のままなるがよし | 森内定子 | 福井 |
497号 37 | 言霊という地響きや書を曝す | 山本光胤 | 大阪 |
497号 38 | 一夫一妻脱ぎにくそうな蛇の衣 | らふ亜沙弥 | 神奈川 |
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498号 1 | 鮎食べて碩の小石持ち帰る | 麻生圭佑子 | 愛知 |
498号 2 | ギロチンありし国のシャンソン白桃食ぶ | 石川まゆみ | 広島 |
498号 3 | 朝顔やわたしの影の波打際 | 伊藤淳子 | 東京 |
498号 4 | 白白と鹿の眼窩に落花かな | 内野 修 | 埼玉 |
498号 5 | 土以上に父は土です梅雨最中 | 大沢輝一 | 石川 |
498号 6 | わが影のひと口の水油照り | 大高宏充 | 東京 |
498号 7 | 広辞苑の上に兎のぬいぐるみ | 岡崎文都 | 東京 |
498号 8 | ただ聞いている人といる夕端居 | 川西志帆 | 長野 |
498号 9 | おしゃべりな熊蝉みたい母卒寿 | 河原珠美 | 神奈川 |
498号 10 | 西日中書棚の昭和灼けて居る | 城至げんご | 石川 |
498号 11 | 仙人掌の花ひと差し指で弾くピアノ | 北上正枝 | 埼玉 |
498号 12 | むしろ玄し蔦のひたすらなる青は | 北村美都子 | 新潟 |
498号 13 | 遊ぶって蚯蚓のすみか探すこと | 河野志保 | 奈良 |
498号 14 | 虫干を飛び越え父の部屋に行く | こしのゆみこ | 東京 |
498号 15 | 蜘蛛の糸忖度なる語すでに死語 | 小宮豊和 | 群馬 |
498号 16 | 烏瓜テニス仲間のように躁 | 小山やす子 | 徳島 |
498号 17 | 狼の残響のごと釣瓶落し | 白石司子 | 愛媛 |
498号 18 | 吾死なば無住の庵青くるみ | 末岡 睦 | 北海道 |
498号 19 | 潔く母生きている麦の熟れ | 鈴木八駛郎 | 北海道 |
498号 20 | 牛蛙に耳の傾く僧の酒 | 関田誓炎 | 埼玉 |
498号 21 | 夏の蝶フクシマに空っぽの砂場 | 芹沢愛子 | 東京 |
498号 22 | 水晶体にメス薔薇暗しぼうと紅し | 十河宣洋 | 北海道 |
498号 23 | 敗戦忌こめかみ青く太く父 | 竹田昭江 | 東京 |
498号 24 | 夏野かな何もしないという理想 | 田中雅秀 | 福島 |
498号 25 | 生かされて言霊つかむ木下闇 | 田浪富布 | 栃木 |
498号 26 | うつぶせは沼の淋しさ夕薄暑 | 月野ぽぽな | アメリカ |
498号 27 | 空蝉や節電のような蓄電のような | 董 振華 | 中国 |
498号 28 | ナガサキよ首なき像を噛む蜻蛉 | 中村 晋 | 福島 |
498号 29 | 老人は姿勢を正す冷房車 | 中村孝史 | 宮城 |
498号 30 | 鬼蜘蛛をやんわりと踏む廊下かな | 仁田脇一石 | 宮崎 |
498号 31 | 鞴の音のように夏過ぐ老いなるや | 藤野 武 | 東京 |
498号 32 | 震災忌わたしは捨て石にもなれず | 本田ひとみ | 埼玉 |
498号 33 | 鯖ひらく晩年の未知ひらくごと | 前田典子 | 三重 |
498号 34 | 晩夏つまり赤胴色の祖父がいた | 三浦二三子 | 愛知 |
498号 35 | 朝粥のさざなみに草笛の灯し | 森央ミモザ | 長野 |
498号 36 | 船上のごとき夏野に傾ぎけり | 守谷茂泰 | 東京 |
498号 37 | 雲の峰鞍なき白馬曳き入れよ | 柚木紀子 | 長野 |
498号 38 | 今朝の秋雲ひとつなく乳房あり | 佳 夕能 | 富山 |
498号 39 | ふくしまや虹を観念的に画く | 若森京子 | 兵庫 |