「金子兜太選 海程秀句」鑑賞
2012年目次 |
鑑賞した句を順に並べてあります。 各号ごとに観賞した順番は〈あいうえお〉順となっています |
底 | ||
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句
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作者名
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地域 |
蟋蟀の貌して死の町などと言う |
安藤和子 | 愛媛 | |
479号 2 | 真ん中に刈田ひろがる待ち時間 | 伊藤はる子 | 秋田 |
479号 3 | 農の父桑天牛の首をぐ | 内野 修 | 埼玉 |
479号 4 | 燕帰る始発電車を追い越して | 宇野律子 | 神奈川 |
479号 5 | 星月夜仮設に繕ひ物の妻 | 江井芳郎 | 福島 |
479号 6 | 夏水仙老いてゆく日を賑やかに | 大口元通 | 愛知 |
479号 7 | 「悩むことはない」と声あり曼珠沙華 | 岡崎万寿 | 東京 |
479号 8 | 北風吹くや仮設住ゐをへうへうと | 柏倉ただを | 山形 |
479号 9 | 全天の秋を背に受く被曝の牛 | 加藤昭子 | 秋田 |
479号 10 | 石積みの澄みゆく時空精進料理 | 金子斐子 | 埼玉 |
479号 11 | ヒロシマの水澄みており理不尽なり | 金子ひさし | 愛知 |
479号 12 | 月天心一人子を生しわが生死 | 北村美都子 | 新潟 |
479号 13 | 人間くささが希薄となって酔うて秋 | 京武久美 | 宮城 |
479号 14 | なんばんぎせる物忘れのよう息するよう | 黒岡洋子 | 東京 |
479号 15 | 隆隆と仏壇の中青大将 | 今野修三 | 東京 |
479号 16 | 鼻なでて意見する父カラフトマス | 佐々木宏 | 北海道 |
479号 17 | 蒲鉾のむちむち夏の赤ん坊 | 篠田悦子 | 埼玉 |
479号 18 | 曼珠沙華ひらきてぼくをくらくする | 杉崎ちから | 愛知 |
479号 19 | 空蝉を並べ机上の原発論 | 瀬古多永 | 三重 |
479号 20 | 嗚呼きのこ被曝の傘をひろげたる | 高木一惠 | 千葉 |
479号 21 | 秋思といふてやはらかき唇をせり | 武田美代 | 栃木 |
479号 22 | 百歳の僧の焚火に長い列 | 舘岡誠二 | 秋田 |
479号 23 | しづかなる尾の往き交ひて秋の暮 | 田中亜美 | 神奈川 |
479号 24 | 被曝者であること蠅を逃がすこと | 中村 晋 | 福島 |
479号 25 | コスモスやときには風のおもちや箱 | 野崎憲子 | 香川 |
479号 26 | 五体にしみる秋草の青津波痕 | 野田信章 | 熊本 |
479号 27 | みちのくや新藁よりも人乾き | 長谷川育子 | 新潟 |
479号 28 | 吾も犬も手ぶらで被曝断腸花 | 福原 實 | 神奈川 |
479号 29 | 幸魂の集まる広場秋の田は | 堀之内長一 | 埼玉 |
479号 30 | 高僧に母霧に山肌在りにけり | 前田典子 | 三重 |
479号 31 | 福島の桃買う憂国の雨降るや | 舛田子 | 長崎 |
479号 32 | よく酔えば虫の闇より父帰る | 松本勇二 | 愛媛 |
479号 33 | のその丁寧さが誘います | 三井絹枝 | 東京 |
479号 34 | 夜明けの萩君らしいひとことが来る | 宮崎斗士 | 東京 |
479号 35 | 包帯も花野も危なっかしい砦 | 茂里美絵 | 埼玉 |
479号 36 | 坊様に肉食系の眉がちゃがちゃ | 柳生正名 | 東京 |
479号 37 | 楽浪の国やこんもり今年米 | 矢野千代子 | 兵庫 |
479号 38 | 余生なお健気の妻よラ・フランスよ | 山谷草庵 | 青森 |
479号 39 | 遅れとる蛇めでたしや穴へ | 柚木紀子 | 長野 |
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480号 1 | 森は森で枯葉被っているのです | 石川青狼 | 北海道 |
480号 2 | 大根を提げわが脛の形も無し | 石原光子 | 徳島 |
480号 3 | 漁船いまだ陸に座礁や小鳥来る | 伊藤淳子 | 東京 |
480号 4 | 猫じやらしくすぐつたり粥こぼしたり | 稲田豊子 | 福井 |
480号 5 | 綿虫や人がセシウム放ちても | 稲葉千尋 | 三重 |
480号 6 | ステッキでばったの格好してみたり | 内田利之 | 兵庫 |
480号 7 | 大津波の防潮林に羽衣あり | 江井芳郎 | 福島 |
480号 8 | 線量ざわつく生粋の落葉かな | 大内冨美子 | 福島 |
480号 9 | 妻の魂越えゆく山河冬立てり | 柏倉ただを | 山形 |
480号 10 | 君老いたりめろんの月と名付けしが | 京武久美 | 宮城 |
480号 11 | 日に中る転び伴天連らもリラも | 久堂夜想 | 神奈川 |
480号 12 | 雁が音や少し不安で夫を呼ぶ | 小林まさる | 群馬 |
480号 13 | 満月を枕頭に呼び師は病むや | 今野修三 | 東京 |
480号 14 | 生きいそぐほどのことなく花野道 | 柴田美代子 | 埼玉 |
480号 15 | 母がりの淡き酩酊ひょんの笛 | 高木一惠 | 千葉 |
480号 16 | 堰の上のたいらな水を秋思とす | 武田美代 | 栃木 |
480号 17 | 王の如く鸚鵡の如く冬麗や | 田中亜美 | 神奈川 |
480号 18 | 退屈で生者に集るいのこずち | 田浪富布 | 栃木 |
480号 19 | もう五年です小春のお墓皆子さま | 谷 佳紀 | 神奈川 |
480号 20 | 月夜茸被曝の我もどこか光る | 中村 晋 | 福島 |
480号 21 | 逝く力残しておこう霜の声 | 中村裕子 | 秋田 |
480号 22 | 残像にしては田青過ぎる | 丹生千賀 | 秋田 |
480号 23 | 関東の葱の白さのべらんめぇ | 幅田信一 | 福井 |
480号 24 | 蛇衣脱ぐ悪い噂はほぼ事実 | 浜 芳女 | 群馬 |
480号 25 | お人好しで父大根の葉のように | 藤野 武 | 東京 |
480号 26 | 秋明菊身内すくない母のよう | 本田ひとみ | 埼玉 |
480号 27 | 鵙近く山野さすらう眠りかな | 松本勇二 | 愛媛 |
480号 28 | 夕暮れの水に従い崩れ簗 | 松本廉子 | 栃木 |
480号 29 | 心中の鬼の丸まる石蕗の花 | 汀 圭子 | 熊本 |
480号 30 | わたくしの子のよう霙という名 | 三井絹枝 | 東京 |
480号 31 | 蓑虫を「旅」と名づける揺らしてみる | 宮崎斗士 | 東京 |
480号 32 | 老僧もかつて兵なり芒原 | 武藤暁美 | 秋田 |
480号 33 | 優しさや既に目の無い山椒魚 | 守谷茂泰 | 東京 |
480号 34 | しどみの実小鹿野産土神の駄々 | 矢野千代子 | 兵庫 |
480号 35 | 焚火の輪いつか死ぬ人朗らなり | 山口 伸 | 愛知 |
480号 36 | 石蕗明かりはっと気付きし汝の野心 | 山本キミ子 | 富山 |
480号 37 | わたつみに打ち拉がれし牡蠣の殼 | 柚木紀子 | 長野 |
480号 38 | 東京は硝子の胸板雁渡る | 吉川真実 | 東京 |
480号 39 | 逝く母の瞼はがして我見せん | 渡部陽子 | 宮城 |
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481号 1 | 文明の孤児でありたし薄氷 | 阿川木偶人 | 東京 |
481号 2 | 狐の提灯見しとう夫よ病むな | 荒井まり子 | 京都 |
481号 3 | 生家なり陶の狸が落葉浴ぶ | 石川義倫 | 静岡 |
481号 4 | 柞紅葉万朶の闇のひとかかえ | 石田順久 | 神奈川 |
481号 5 | 猪に齧られている新塔婆 | 稲葉千尋 | 三重 |
481号 6 | 心臓手術せぬ一徹の煤払う | 上野昭子 | 山口 |
481号 7 | 「天福地福」語る夜長よ福島よ | 宇川啓子 | 福島 |
481号 8 | あきらかや尾行している夜の落葉 | 梅川寧江 | 石川 |
481号 9 | 病む白鳥に母にこんなに月あかり | 榎本愛子 | 山梨 |
481号 10 | もの忘れ芒にこつん風にこつん | 榎本祐子 | 兵庫 |
481号 11 | 寒鯉に水の鎧の昏さかな | 加藤昭子 | 秋田 |
481号 12 | 田のまぼろしむかし軟派して | 菊川貞夫 | 静岡 |
481号 13 | 急にふえた精霊蜻蛉よ空腹 | 木下ようこ | 神奈川 |
481号 14 | 寒牡丹単純な言葉でいいのです | 木村宜子 | 長崎 |
481号 15 | 天狼星や津波の果の水明り | 黒岡洋子 | 東京 |
481号 16 | 冬は牛ボオーッと連絡船の記憶 | 佐々木宏 | 北海道 |
481号 17 | しんしんと朝ひとりの寒気団 | 下山田禮子 | 埼玉 |
481号 18 | 麒麟の首圧倒的多数の寒さだな | 白石司子 | 愛媛 |
481号 19 | 秩父夜祭猪がみみずを食べに出る | 関田誓炎 | 埼玉 |
481号 20 | 土蔵もピアスの穴も冬ざれて | 瀧村道子 | 岐阜 |
481号 21 | 電子音かもしれぬ声熊撃つて | 田中亜美 | 神奈川 |
481号 22 | そっとそこにいるだけ赤い羽根の少女 | 遠山郁好 | 東京 |
481号 23 | がれずに皆木守柿フクシマは | 中村孝史 | 宮城 |
481号 24 | もう空へ入りきれない星が飛ぶ | 西又利子 | 福井 |
481号 25 | しやぶりつくせと冬霧の眼かな | 野崎憲子 | 香川 |
481号 26 | 抱きしめる意味などはないちちろ虫 | 橋本和子 | 長崎 |
481号 27 | 煙出しときどき冬の父を吐く | 福原 實 | 神奈川 |
481号 28 | 温和な人の粘りや泥や葱畑 | 藤江 瑞 | 神奈川 |
481号 29 | 白鳥来私情のつばさ押し広げ | 堀之内長一 | 埼玉 |
481号 30 | かまどうま涸れいて一時帰宅かな | 本田ひとみ | 埼玉 |
481号 31 | 透きとほる葱よ齢とるうれしさよ | 前田典子 | 三重 |
481号 32 | 菜園をポピーで満たし蟄居する | 汀 圭子 | 熊本 |
481号 33 | 小鳥よりとけやすい声 ひいふう | 三井絹枝 | 東京 |
481号 34 | みずひき草握手のために少し話す | 宮崎斗士 | 東京 |
481号 35 | 色鳥の木があり老いの地平あり | 武藤鉦二 | 秋田 |
481号 36 | 昼星のあまた降るなり十二月 | 森 鈴 | 埼玉 |
481号 37 | 雪が来た飯噛むと聞こえる山の音 | 山本 勲 | 北海道 |
481号 38 | 麩の椀にごる真珠湾奇襲ありし日 | 若森京子 | 兵庫 |
481号 39 | お互いがひとつかみの藁母と我 | 渡部陽子 | 宮城 |
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482号 1 | 宇宙雑音僕らの空に鰤起し | 油本麻容子 | 石川 |
482号 2 | 仏飯の乾きも冬の旱かな | 新井娃子 | 埼玉 |
482号 3 | 黄落の人集まるを辺という | 伊藤淳子 | 東京 |
482号 4 | 福島は冬噛みしめて踏みしめて | 宇川啓子 | 福島 |
482号 5 | 冬麗や完璧な横顔の過ぐ | 榎本祐子 | 兵庫 |
482号 6 | 団地へと丁寧に来る寒波かな | 小野裕三 | 神奈川 |
482号 7 | 「座れ」とは叱咤にほひの桜餅 | 門脇章子 | 大阪 |
482号 8 | 紅葉さささ栗鼠遁走の尾であったか | 柄沢あいこ | 神奈川 |
482号 9 | ゆきまろげ眉を落とすとは怖し | 河西志帆 | 長野 |
482号 10 | 魚の目を踏んづけてゆく恵方かな | 川野欣一 | 兵庫 |
482号 11 | 雪化粧母の化粧は一度きり | 城至げんご | 石川 |
482号 12 | きのうとはちがう星あるつららかな | こしのゆみこ | 東京 |
482号 13 | 元旦や犬の喧嘩の頼もしき | 小林一枝 | 東京 |
482号 14 | 踏絵拒む人の眩しき春の夢 | 小柳慶三郎 | 群馬 |
482号 15 | 桔梗摘む吾にかすかな余震かな | 佐藤美紀江 | 千葉 |
482号 16 | 柚子は黄に癌取ることも若さかな | 篠田悦子 | 埼玉 |
482号 17 | 山国やおとこの重さと思う雪 | 清水喜美子 | 茨城 |
482号 18 | 荒星や夫に尋ねる我が予定 | 下山田禮子 | 埼玉 |
482号 19 | 寒鴉ああと片鳴き清貧なり | 十河宣洋 | 北海道 |
482号 20 | 冬の噴水サラダ感覚の眺望 | 高橋明江 | 埼玉 |
482号 21 | 風紋といふを仔鹿の過ぎにけり | 田中亜美 | 神奈川 |
482号 22 | 旅に寝て我は一枚の雨音 | 月野ぽぽな | アメリカ |
482号 23 | 父の肩で見聞きしたこと春の水 | 董 振華 | 中国 |
482号 24 | 自画像は嘘ついてゐる温め酒 | 長尾向季 | 滋賀 |
482号 25 | 木の実こつんこつんあばら家の吾に | 中島まゆみ | 埼玉 |
482号 26 | 寒に入る目下のところただの猫 | 中塚紀代子 | 山口 |
482号 27 | シリウスの白よフクシマただ寒き | 中村 晋 | 福島 |
482号 28 | 生きるとは冬の土手行く腕の振り | 中村孝史 | 宮城 |
482号 29 | 雪野原唄の行きたい所まで | 西又利子 | 福井 |
482号 30 | 猪も鴉も素足ひかり巻く | 野崎憲子 | 香川 |
482号 31 | 野に白露仮設に結露フクシマよ | 野田信章 | 熊本 |
482号 32 | 髭三日剃らず漂う初霞 | 堀之内長一 | 埼玉 |
482号 33 | 手のひらに会津山塩白鳥来る | 本田ひとみ | 埼玉 |
482号 34 | 神仏に屠蘇酌む人間淋しくて | 舛田子 | 長崎 |
482号 35 | 裸木に耳あり残照のふくしまなり | 武藤鉦二 | 秋田 |
482号 36 | 餅にかび罪のごとあり戦中派 | 安井昌子 | 東京 |
482号 37 | 雪暗れの何ほどもなく母を訪う | 横地かをる | 愛知 |
482号 38 | 夕暮れのじやがいも数へられてをり | 横山 隆 | 長崎 |
482号 39 | 頭脳という厄介なもの鬼やんま | 若森京子 | 兵庫 |
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483号 1 | 人だかりは苦痛の一匙夕時雨 | 宇田蓋男 | 宮崎 |
483号 2 | 蕗の薹瓦礫の山のどん底や | 江井芳郎 | 福島 |
483号 3 | 被曝地背負う雪山高し真白し | 大内冨美子 | 福島 |
483号 4 | 左義長や新聞燃える燃えない字 | 大沢輝一 | 石川 |
483号 5 | 姪嫁ぐ髪がヨットのかたちして | 大高俊一 | 秋田 |
483号 6 | 虎落笛人が住んでいて荒れる家 | 大高洋子 | 東京 |
483号 7 | 小気味よき冬晴れ引っ掻きたいような | 木暮洗葦 | 新潟 |
483号 8 | 冬紅葉わが手に託さる喉仏 | 加地英子 | 愛媛 |
483号 9 | 天に星地にちちははのおでん種 | 門脇章子 | 大阪 |
483号 10 | わが発声不安定なり葱のようなり | 柄沢あいこ | 神奈川 |
483号 11 | 恋猫の声のぶぎぶぎ僕もぶぎ | 川崎千鶴子 | 広島 |
483号 12 | 伏す鮃観て繊細な昼のデート | 木下ようこ | 神奈川 |
483号 13 | 慇懃にタワシがあり猟師は老ゆ | 久保智恵 | 兵庫 |
483号 14 | マフラーをゆるめて夜がもうひとつ | 河野志保 | 奈良 |
483号 15 | ねんごろにすずしろきざむ日のはじめ | 小長井和子 | 神奈川 |
483号 16 | 木枯や楯なる山に海が鳴る | 坂本春子 | 神奈川 |
483号 17 | 雄鶏のまなぶたくしゃと遅日かな | 重松敬子 | 兵庫 |
483号 18 | この瓦礫雪の覆うは祭祀とも | 柴田美代子 | 埼玉 |
483号 19 | 九十の序につき末黒野に遊ぶ | 清水喜美子 | 茨城 |
483号 20 | 家族揃えばぶつかり合って冬ごもり | 鈴木修一 | 秋田 |
483号 21 | 言の葉は瓦礫にならず龍の玉 | 瀧 春樹 | 大分 |
483号 22 | たそがれの鬼のくるぶし芽吹くかな | 田口満代子 | 千葉 |
483号 23 | 夢殿に真っ直ぐに来て余寒かな | 竹田昭江 | 東京 |
483号 24 | 黝き崖ゆくことも春曙 | 田中亜美 | 神奈川 |
483号 25 | 入江めく真昼の愛撫つわの花 | 月野ぽぽな | アメリカ |
483号 26 | 如月の月影少年の猫背来る | 董 振華 | 中国 |
483号 27 | 日常を左右にこぼし水温む | 根岸暁子 | 群馬 |
483号 28 | 国宝とふ小さき器よ雪が降る | 野崎憲子 | 香川 |
483号 29 | よき前歯持ちて死にゆく白菫 | 日高 玲 | 東京 |
483号 30 | 冬の蜂石積むように動いてる | 福原 實 | 神奈川 |
483号 31 | 蕗の薹あるいは装飾パネルかな | 藤江 瑞 | 神奈川 |
483号 32 | セシウム降り積み母は葱畑に小さし | 藤野 武 | 東京 |
483号 33 | 牡蠣舟や透きとおる声出すかな | 三井絹枝 | 東京 |
483号 34 | 天文学っておおむね静かふきのとう | 宮崎斗士 | 東京 |
483号 35 | べたっと昼月とてつもなき大マスク | 茂里美絵 | 埼玉 |
483号 36 | 微笑とも白鳥載せし水輪とも | 柳生正名 | 東京 |
483号 37 | 逢うとすぐ背を叩く癖節分会 | 山口 伸 | 愛知 |
483号 38 | 浮島現象アンニュイな日向ぼこ | 若森京子 | 兵庫 |
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484号 1 | つばくらめ綺麗な土をみちのくへ | 石川和子 | 栃木 |
484号 2 | かもめよこぎって雪暗のオルガン | 井手郁子 | 北海道 |
484号 3 | やわらかき球体の鳥冬の掌に | 一ノ瀬タカ子 | 東京 |
484号 4 | 齢とは置物のようです春の雪 | 稲田豊子 | 福井 |
484号 5 | 百姓兼禰宜に道草の花匂う | 今福和子 | 鹿児島 |
484号 6 | みちのくのまるごと愛し囀れり | 宇川啓子 | 福島 |
484号 7 | 貝塚ともなれや焼牡蠣飽かず食う | 内田利之 | 兵庫 |
484号 8 | 蝶が湧く洞のあり誰にも言わぬ | 榎本祐子 | 兵庫 |
484号 9 | あちこちに夫のマスク遺言なきに | 加地英子 | 愛媛 |
484号 10 | 出て行ったままにしてある燕の巣 | 河西志帆 | 長野 |
484号 11 | 中島偉夫氏逝く 彼岸は春か句集未然と微笑みぬ |
河原珠美 | 神奈川 |
484号 12 | 吾より生る東西南北春の辻 | 北村美都子 | 新潟 |
484号 13 | 三月の荒涼に熟れ構われず | 京武久美 | 宮城 |
484号 14 | 悼・永井微寒氏 “生き下手で寒い”と言ひし夕月や |
小林一枝 | 東京 |
484号 15 | 春の風邪被曝電線垂れている | 清水茉紀 | 福島 |
484号 16 | 雪明り軍服の父喪服の母 | 白井重之 | 富山 |
484号 17 | 父の忌や梅の枝に褌むすぶ | 鈴木八駛郎 | 北海道 |
484号 18 | 余震なお倒木が抱く蝌蚪の水 | 高木一惠 | 千葉 |
484号 19 | 風花や口を出でたるもの儚し | 武田美代 | 栃木 |
484号 20 | 木の葉無き木々展翅無きガラスケース | 田中亜美 | 神奈川 |
484号 21 | あるがまま朝の生まれるくらしかな | 田中昌子 | 京都 |
484号 22 | 風が吹きずーっとむかしも狩をして | 遠山郁好 | 東京 |
484号 23 | 遥かなる夫征きし日や苗代寒 | 徳永義子 | 宮崎 |
484号 24 | 偉夫急逝春雨は音立てぬもの | 中尾和夫 | 宮崎 |
484号 25 | 母子草ふくしま去らぬ父祖たちに | 中村 晋 | 福島 |
484号 26 | 春愁やポストに海抜の文字 | 中山蒼楓 | 富山 |
484号 27 | 田を植える機械の音の機械的 | 服部修一 | 宮崎 |
484号 28 | みなづきの魚啼くようにおしゃべり | 日高 玲 | 東京 |
484号 29 | 雪柳闇に葬ること甘美 | 廣島美恵子 | 兵庫 |
484号 30 | 鶴帰るプルトニウムの火のかなた | 堀之内長一 | 埼玉 |
484号 31 | 友癒えよ陸奥癒えよ梅真白 | 本田ひとみ | 埼玉 |
484号 32 | 谷底の空なき水の春の色 | 水野真由美 | 群馬 |
484号 33 | 春の鳶想像力の円を出ず | 三田地白畝 | 岩手 |
484号 34 | 初鶯手にのせて湯に入ります | 三井絹枝 | 東京 |
484号 35 | だまし絵のなかのふくしま夕桜 | 武藤鉦二 | 秋田 |
484号 36 | しゃぼん玉草間弥生が真ん中に | 村上友子 | 東京 |
484号 37 | 着ぶくれの妻よ無敵の要塞よ | 室田洋子 | 群馬 |
484号 38 | 薄味の蜆汁かな心霊写真 | 渡部陽子 | 宮城 |
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485号 1 | 蜃気楼見た見た見たと反芻す | 阿川木偶人 | 東京 |
485号 2 | 吾を生みし体内薔薇色聖五月 | 安藤和子 | 愛媛 |
485号 3 | 岩牡蠣ほうばる月をほうばる | 泉 尚子 | 熊本 |
485号 4 | 花片栗半分は秘密の日常 | 伊藤 和 | 東京 |
485号 5 | 忘れものあるごと蛇をやり過ごす | 伊藤淳子 | 東京 |
485号 6 | 花菜の黄愚行もありし祖を囲む | 井上湖子 | 群馬 |
485号 7 | 羽抜鶏の王なり正しき喉仏 | 榎本祐子 | 兵庫 |
485号 8 | 春愁は河馬のあくびのごときもの | 大谷昌弘 | 千葉 |
485号 9 | 匂玉の闇にふくろう青みゆく | 大西健司 | 三重 |
485号 10 | にんげんや花火のように核を持つ | 岡崎正宏 | 埼玉 |
485号 11 | 美人画の団扇かざして亡父が来る | 加古和子 | 東京 |
485号 12 | 黄菖蒲や観測隊のように岸 | 柏原喜久恵 | 熊本 |
485号 13 | 父消えて我に緑夜をうつすかな | 川田由美子 | 東京 |
485号 14 | 深海に散り入るさくら麻酔いま | 北村美都子 | 新潟 |
485号 15 | 魂抜けるとは陽炎に魅かれること | 京武久美 | 宮城 |
485号 16 | 一輌貨車に散るだけ散った桜かな | 小林一枝 | 東京 |
485号 17 | 一山の一樹あまさず新樹光 | 清水喜美子 | 茨城 |
485号 18 | 身の内の隠沼いくつ青き踏む | 下山田禮子 | 埼玉 |
485号 19 | 田螺のあくび農学博士に伝染かな | 白井重之 | 富山 |
485号 20 | 国生みの矛にもぐらの春の土 | 高木一惠 | 千葉 |
485号 21 | 嚔して畜生と言ふ黄砂降る | 田中 洋 | 兵庫 |
485号 22 | 離別時来て百日紅の真赤 | 董 振華 | 中国 |
485号 23 | 雨蛙こいつは無職吾は無学 | 豊原清明 | 兵庫 |
485号 24 | 被曝の土に被曝の翅を蝶が曳く | 中村 晋 | 福島 |
485号 25 | カッコーの声入りごはん炊けている | 中村祐子 | 秋田 |
485号 26 | 駅弁の中までずっと春の田です | 丹生千賀 | 秋田 |
485号 27 | ふっと誕生仏のくらさ森林浴 | 野田信章 | 熊本 |
485号 28 | 地にカメラ大仏の掌に四十雀 | 野原瑤子 | 神奈川 |
485号 29 | ブロッコリー敵意ひとつが抜きん出る | 橋本和子 | 長崎 |
485号 30 | よみがえるものに黙読著峩の花 | 平塚幸子 | 神奈川 |
485号 31 | 種蒔いて素手の感情よみがえる | 堀之内長一 | 埼玉 |
485号 32 | 放射状に爆発つづくさくらかな | マブソン青眼 | 長野 |
485号 33 | 中途半端に慣れるは怖し蜥蜴の尾 | 丸木美津子 | 愛媛 |
485号 34 | しゃぼん玉名誉教授の髭に爆ぜ | 三松玲子 | 神奈川 |
485号 35 | しんぞうがとととぽぽぽと子猫かな | 茂里美絵 | 埼玉 |
485号 36 | 白菜を抱えて乳房つぶれけり | 森 美樹 | 千葉 |
485号 37 | ハンカチの木よ雨空は生まれたて | 守谷茂泰 | 東京 |
485号 38 | ポタージュに緑のパセリまるで恋 | 吉村伊紅美 | 岐阜 |
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486号 1 | 五月晴れ鏡に暗き鼻の穴 | 阿川木偶人 | 東京 |
486号 2 | ほしゃほしゃの象の毛梅雨の晴れ間かな | 阿保恭子 | 東京 |
486号 3 | 山畑の岳父は鏃か黒黄金虫 | 有村王志 | 大分 |
486号 4 | お尻から並べてみせる田植唄 | 市原正直 | 東京 |
486号 5 | 腸壁にポリープ崖に燕の巣 | 井手郁子 | 北海道 |
486号 6 | 水羊羹森のしずけさのつづき | 伊藤淳子 | 東京 |
486号 7 | 入道雲そもそも大志なかりけり | 内田利之 | 兵庫 |
486号 8 | 止めときな腹いせの酒梅雨の川 | 宇野律子 | 神奈川 |
486号 9 | 舐めて貼る鳥の切手や遍路宿 | 榎本愛子 | 山梨 |
486号 10 | 忌日なり頬に草あかり水あかり | 榎本祐子 | 兵庫 |
486号 11 | 本流も支流も放射能ホタル | 大高宏充 | 東京 |
486号 12 | 赤紐を林間学校へと通す | 小野裕三 | 神奈川 |
486号 13 | 瑠璃蜥蜴この縦横なもの忘れ | 門屋和子 | 愛媛 |
486号 14 | 満開のさくら切字のつかいかた | 金子ひさし | 愛知 |
486号 15 | 汝が形見かな月光の花辛夷 | 北村美都子 | 新潟 |
486号 16 | 日を溜めてどくだみが咲く再起期す | 京武久美 | 宮城 |
486号 17 | 桃咲けば闇絢爛と石切場 | 小長井和子 | 神奈川 |
486号 18 | 人間ぽいねゴーヤあちこちからまった | 小林寿美子 | 滋賀 |
486号 19 | 母在れば麦は飴色火吹き竹 | 小林まさる | 群馬 |
486号 20 | 喪に服す一村ありて山開き | 佐藤鎮人 | 岩手 |
486号 21 | 草木瓜の花胸熱く八十路なり | 篠田悦子 | 埼玉 |
486号 22 | 吾の歳や一茶は死んで蛙鳴く | 霜田千代麿 | 北海道 |
486号 23 | もう田植え終えたかチェンバロ奏者 | 新宅美佐子 | 愛媛 |
486号 24 | 人の背は瀬音に黙し黄せきれい | 鈴木修一 | 秋田 |
486号 25 | 金星過るいのちのかたち人や蜘蛛 | 鈴木康之 | 宮崎 |
486号 26 | 手で隠すものに感情竜の玉 | 芹沢愛子 | 東京 |
486号 27 | 書くという小さな疲労バラが咲く | 高山紀子 | 秋田 |
486号 28 | 折り鶴も解けば紙片震災忌 | 瀧 春樹 | 大分 |
486号 29 | 沢蟹や宴のような島の雨 | 田口満代子 | 千葉 |
486号 30 | 春隣黄河の音に我の音 | 董 振華 | 中国 |
486号 31 | 本能は水に映れりほうたる | 野崎憲子 | 香川 |
486号 32 | 夏の川老人やおら水切りす | 平山圭子 | 岐阜 |
486号 33 | 器量とは勁さのしなり柳に芽 | 廣島美恵子 | 兵庫 |
486号 34 | ひとりとはこの世にひとり芹の花 | 水野真由美 | 群馬 |
486号 35 | 朝掘りのたけのこ縄文土器と有り | 茂里美絵 | 埼玉 |
486号 36 | 原発なくとも蝶の寝息と暮らす | 柳生正名 | 東京 |
486号 37 | 苔の花まとひ淋しく寄せ墓に | 安井昌子 | 東京 |
486号 38 | 新樹光一管のごと水飲みくだす | 山本 勲 | 北海道 |
486号 39 | 夜の雲の愚かに白しニセアカシア | 柚木紀子 | 長野 |
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487号 1 | 素麺を啜る母似の悪い癖 | 阿木よう子 | 富山 |
487号 2 | 風をためて母の門火は花のよう | 飯島洋子 | 東京 |
487号 3 | 意地張るごと桑の実甘し村の跡 | 石川和子 | 栃木 |
487号 4 | 笑うなよ石山を切り開く歓喜 | 伊地知建一 | 茨城 |
487号 5 | ぼうふらやどこにでもすぐ腰下ろす | 伊藤 歩 | 北海道 |
487号 6 | 感情のくぐもり朝のかたつむり | 伊藤淳子 | 東京 |
487号 7 | 語部は吾が身語らず栗の花 | 宇川啓子 | 福島 |
487号 8 | 父にまた鳥の影添う茅の輪かな | 榎本祐子 | 兵庫 |
487号 9 | 麦秋や島に屈葬ゆえなくあり | 大西健司 | 三重 |
487号 10 | 永訣の水に小さき牛蛙 | 大野泰司 | 愛媛 |
487号 11 | 植田残照神々しき母の皺 | 加藤昭子 | 秋田 |
487号 12 | 熱帯魚水飲んで寝る老ふたり | 門屋和子 | 愛媛 |
487号 13 | 梅雨のマスト夢の大方は揺れる | 柄沢あいこ | 神奈川 |
487号 14 | 蟻の道長くて誰か叫喚す | 刈田光児 | 新潟 |
487号 15 | 人撮りて暗き男やアマリリス | 木下ようこ | 神奈川 |
487号 16 | ぽっぺんぺこぺこあやに哀しき人だかり | 栗村 九 | 千葉 |
487号 17 | 転々と連綿と生ききたりて夏 | 小林一枝 | 東京 |
487号 18 | 捨て畑は蛇の王国人は老い | 佐藤鎮人 | 岩手 |
487号 19 | 御見舞の風鈴なんと耳障り | 柴田和江 | 愛知 |
487号 20 | 白桃すする原発爆発の幻聴 | 清水茉紀 | 福島 |
487号 21 | 牛蛙妻に親しく夕星あり | 関田誓炎 | 埼玉 |
487号 22 | 遠い雷鳴園児五人に母五人 | 長島武治 | 埼玉 |
487号 23 | どこまでも青田や鋲など打ってない | 丹生千賀 | 秋田 |
487号 24 | 白蛇ゆく猛烈にゆく源流へ | 野崎憲子 | 香川 |
487号 25 | 山中や蛇の眼光を景色とも | 疋田恵美子 | 宮崎 |
487号 26 | かまきり生まる温く曖昧な家 | 藤江 瑞 | 神奈川 |
487号 27 | 静かな湾の遠花火地は記憶せり | 藤野 武 | 東京 |
487号 28 | 八手若葉過激な婆を目指すかな | 堀 真知子 | 愛知 |
487号 29 | 水無月の夜汽車から見た流離の木 | 堀之内長一 | 埼玉 |
487号 30 | 風蘭の傍歩いてゆく恋や | 三井絹枝 | 東京 |
487号 31 | 沙羅落花水の音激しくなる | 宮坂秀子 | 長野 |
487号 32 | 鮎かがやく運命的って具体的 | 宮崎斗士 | 東京 |
487号 33 | 天仰ぐ死者に青田の真直ぐなり | 武藤暁美 | 秋田 |
487号 34 | 萍のああじれったい男かな | 武藤鉦二 | 秋田 |
487号 35 | 青蚊帳にふわっと消えるからだかな | 茂里美絵 | 埼玉 |
487号 36 | 祖を思うわれは薄暑に寝返りを打つ | 森央ミモザ | 長野 |
487号 37 | 六匹の蟻が軍手に篤くたかる | 矢野千代子 | 兵庫 |
487号 38 | 緑風の谷に生きをり最晩年 | 山岡千枝子 | 岡山 |
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488号 1 | 敗戦忌高さの違う窓に人 | 有村王志 | 大分 |
488号 2 | 被曝樹へこの坂下る葉月かな | 石川まゆみ | 広島 |
488号 3 | そうめん流しわが確信の薄濁る | 石田順久 | 神奈川 |
488号 4 | 落蝉と落蝉の距離近すぎる | 泉 尚子 | 熊本 |
488号 5 | 浮くという在り方黒苺つぶしながら | 上原祥子 | 山口 |
488号 6 | 涙もろい母よ微震よ明易し | 榎本愛子 | 山梨 |
488号 7 | 星祭おつりのやうな日々と言ふ | 小川久美子 | 群馬 |
488号 8 | 向日葵の闇の底まで被曝せり | 小沢説子 | 神奈川 |
488号 9 | 額より幼にもどる白雨かな | 狩野康子 | 宮城 |
488号 10 | 空蝉のぎゅっと抱いてる抱き枕 | 川崎千鶴子 | 広島 |
488号 11 | 鞠突きに儚い性のかおりする | 菊川貞夫 | 静岡 |
488号 12 | 浦上のどこ曲っても八月九日 | 木村宣子 | 長崎 |
488号 13 | ほがらかに覚めれば夏は無精髭 | 京武久美 | 宮城 |
488号 14 | 向日葵が我だけを見るスリルかな | 河野志保 | 奈良 |
488号 15 | 茄子の花きのうと同じ人と逢う | 児玉悦子 | 神奈川 |
488号 16 | 刃こぼれのよう魚眼レンズに稲びかり | 小長井和子 | 神奈川 |
488号 17 | 蚊がふたつ石垣りんさんの顔あり | 小林一枝 | 東京 |
488号 18 | 見舞いの妻十ほど欠伸して帰る | 今野修三 | 東京 |
488号 19 | 流氷にうつむき髪を洗うなり | 斉木ギニ | 千葉 |
488号 20 | 稲の花父のさむそうなネクタイ | 佐々木 宏 | 北海道 |
488号 21 | 被曝して蝉声林立果てもなし | 清水茉紀 | 福島 |
488号 22 | 抜け殻は見えず噂のやまかがし | 高木一惠 | 千葉 |
488号 23 | パソコンの指示の恐ろし冷房裡 | 田浪富布 | 栃木 |
488号 24 | ポリープがたちはだかるよ行々子 | 田村勝美 | 新潟 |
488号 25 | 壁に火蛾奥に武器売る男たち | 月野ぽぽな | アメリカ |
488号 26 | 八月や骸となりしものあまた | 中尾和夫 | 宮崎 |
488号 27 | 米寿まだ水切り遊び負けたくない | 長島武治 | 埼玉 |
488号 28 | 水着着て十指多しと思わんか | 中村孝史 | 宮城 |
488号 29 | 看板に畑と案山子貸します | 中村真知子 | 三重 |
488号 30 | 蛇が行き人間行き大賀蓮開花 | 野田信章 | 熊本 |
488号 31 | 死者生者どちらがかなし茄子の花 | 前田典子 | 三重 |
488号 32 | 図書館できらきらする子青葡萄 | 宮崎斗士 | 東京 |
488号 33 | 艶話のようには死ねぬ夕かなかな | 武藤鉦二 | 秋田 |
488号 34 | 言葉にも運動神経あめんぼう | 室田洋子 | 群馬 |
488号 35 | 銀やんま近づく我を寂しがる | 森央ミモザ | 長野 |
488号 36 | 羽音澄む蜻蛉も十字懸垂も | 柳生正名 | 東京 |
488号 37 | 鬱蒼と東京暮らしや南瓜煮る | 安井昌子 | 東京 |
488号 38 | 授乳の汀しずかに被曝の波寄せる | 若森京子 | 兵庫 |