「金子兜太選 海程秀句」鑑賞
2011年目次 |
鑑賞した句を順に並べてあります。 各号ごとに観賞した順番は〈あいうえお〉順となっています |
底 | ||
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句
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作者名
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地域 |
延暦僧録白蛾の静止水平に |
飯土井志乃 | 滋賀 | |
469号 2 | 秋刀魚焼く母は私の影の中 | 石田順久 | 神奈川 |
469号 3 | 白さるすべり祖は大きな波しぶき | 稲葉千尋 | 三重 |
469号 4 | 嘘多少持ち合ひて来し十三夜 | 宇川啓子 | 福島 |
469号 5 | 鮃一枚きれいに食べて神無月 | 榎本佑子 | 兵庫 |
469号 6 | 父の肩叩けば木の実降る如し | 岡崎正宏 | 埼玉 |
469号 7 | 秋水こんこん老いて情の高ぶるも | 岡崎万寿 | 東京 |
469号 8 | 朝顔の軽さで妻の座りけり | 小野裕三 | 神奈川 |
469号 9 | 鷹旋回地に能弁の君居りて | 加古和子 | 東京 |
469号 10 | 秋の蚊の骨あるごとき力かな | 川崎益太郎 | 広島 |
469号 11 | 三人はひとりとふたり曼珠沙華 | 河西志帆 | 長野 |
469号 12 | 教授とかやくざも級友鰯雲 | 木下ようこ | 神奈川 |
469号 13 | 別々に蟋蟀聞くを流離という | 小池弘子 | 富山 |
469号 14 | わが影の森歩く音夏がゆく | 坂本春子 | 神奈川 |
469号 15 | 肉厚き海鞘にぐい呑み祭り笛 | 坂本みどり | 埼玉 |
469号 16 | 秋の雷卒塔婆倒れ凭れあう | 佐々木昇一 | 秋田 |
469号 17 | 鳥渡る網膜剥離の眼裏を | 佐藤鎮人 | 岩手 |
469号 18 | 柿紅葉金の目玉の魚煮る | 重松敬子 | 兵庫 |
469号 19 | 人去りて夜は川鳴る秋山家 | 篠田悦子 | 埼玉 |
469号 20 | 一遍の一本の道鳥渡る | 白石司子 | 愛媛 |
469号 21 | 露原に屈めば私という孤島 | 菅原和子 | 東京 |
469号 22 | 鹿踊りこおろぎの声踏みしめて | 鈴木修一 | 秋田 |
469号 23 | 熱帯夜街に変電所が浮かぶ | 高桑婦美子 | 千葉 |
469号 24 | おなじ眸をして華人韓人川とんぼ | 高橋たねを | 香川 |
469号 25 | 死に蝉として四五日を吹かれをり | 武田美代 | 栃木 |
469号 26 | 散骨の亡夫岩になれ夏の山 | 中島まゆみ | 埼玉 |
469号 27 | 百日紅真昼おもたき瞼よ | 新田幸子 | 滋賀 |
469号 28 | 美作の駅の白桃旅にあり | 野原瑤子 | 神奈川 |
469号 29 | 鮭遡上敵前上陸のようなり | 蓮田双川 | 茨城 |
469号 30 | 薪割る音す修道院は霧の中 | 浜口眞砂子 | 長崎 |
469号 31 | まんじゅしゃげ睫毛を競う声ありき | 平塚幸子 | 神奈川 |
469号 32 | この坂を下れば過去ぞ鬼やんま | 本田ひとみ | 福島 |
469号 33 | 息をして忘れていたる残暑かな | 三井絹枝 | 東京 |
469号 34 | つくつくしつくづくつくしつかれけり | 森 鈴 | 埼玉 |
469号 35 | 人老いて夕顔ひらくとき夕餉 | 茂里美絵 | 埼玉 |
469号 36 | もう誰のことも思わず穴惑い | 森内定子 | 福井 |
469号 37 | 坐るたび空を見る癖野紺菊 | 森央ミモザ | 長野 |
469号 38 | をみなえしときけば川崎展宏さん | 矢野美与子 | 東京 |
469号 39 | 郁子明り長生きは娑婆塞ぎとも | 山本キミ子 | 富山 |
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470号 1 | 千本の塔婆や影や穴惑い | 荒井まり子 | 京都 |
470号 2 | 回送電車に遮断機降りる敗戦忌 | 有村王志 | 大分 |
470号 3 | 紅葉狩り黄砂がすでに来ておりぬ | 上野昭子 | 山口 |
470号 4 | 東京は集積回路穴惑 | 岡崎正宏 | 埼玉 |
470号 5 | 想ほえば狐火は薔薇をみていた | 加納百合子 | 奈良 |
470号 6 | 金木犀唯一の吾を包み込む | 北村歌子 | 埼玉 |
470号 7 | 老いの形空に紛れてそぞろ寒 | 京武久美 | 宮城 |
470号 8 | 菊盛り鹿のおしりが集まって | 河野志保 | 奈良 |
470号 9 | 金木犀に銀木犀に人は居らず | 小林一枝 | 東京 |
470号 10 | 白鳥来て一病息災の母あり | 小堀 葵 | 群馬 |
470号 11 | はぐれてから記憶はじまる雁が飛ぶ | 斉木ギニ | 千葉 |
470号 12 | 限界集落娘が来て十一月の御強 | 坂本蒼郷 | 北海道 |
470号 13 | 冬じたく父も羆もなんか事務的 | 佐々木宏 | 北海道 |
470号 14 | 厚かまし紅葉が富士の上に散る | 清水 瀚 | 東京 |
470号 15 | 八月や船渠に潜水艦の全裸 | 杉崎ちから | 愛知 |
470号 16 | 木の実落つふたりそろって鼻めがね | 芹沢愛子 | 東京 |
470号 17 | 秋風よむかし投石という兵器 | 高桑婦美子 | 千葉 |
470号 18 | 恋の猫月光浄土横切りぬ | 高田ヨネ子 | 愛媛 |
470号 19 | 携帯電話に撮られたりして穴惑 | 田口満代子 | 千葉 |
470号 20 | 覚めてまた眠し九月の柱かな | 武田美代 | 栃木 |
470号 21 | 砂嵐混じる抒情や雁渡る | 田中亜美 | 神奈川 |
470号 22 | 忘れっぽいとか夜が明けたとか曼珠沙華 | 谷 佳紀 | 神奈川 |
470号 23 | 雁や野をかき切つて夕日川 | 野崎憲子 | 香川 |
470号 24 | 曼珠沙華すまんじゅう店すぐそこです | 長谷川順子 | 埼玉 |
470号 25 | 瓜ン坊というかラグビーボールというか | 幅田信一 | 福井 |
470号 26 | 満月やシルクロードを急がない | 平塚波星 | 秋田 |
470号 27 | 秋耕や朽ちし畳を鋤き込める | 平山圭子 | 岐阜 |
470号 28 | 紅葉かつ散るふっと酸鼻という言葉 | 堀之内長一 | 埼玉 |
470号 29 | 黄落のほろにがい闇眠れない | 本田ひとみ | 福島 |
470号 30 | 東北地方太平洋沖地震 | ||
470号 31 | ギンヤンマいい質問がつぎつぎ来る | 宮崎斗士 | 東京 |
470号 32 | 烏瓜の花なり星の抜け道なり | 武藤暁美 | 秋田 |
470号 33 | 小難しい息子いらない唐辛子 | 村井 秋 | 神奈川 |
470号 34 | 煮凝うっすら崩れリアス式海岸 | 村上友子 | 東京 |
470号 35 | 夫に添う離島や冬菜繁らせて | 諸 寿子 | 東京 |
470号 36 | 案山子より人痩せ峡の危な唄 | 柳生正名 | 東京 |
470号 37 | 黄菊白菊どのバンザイも嫌ひなり | 前田典子 | 三重 |
470号 38 | 十一月素足のごとく風かな | 輿儀つとむ | 沖縄 |
470号 39 | 七十六歳になった野菊をおがむ | 横山 隆 | 長崎 |
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471号 1 | 美女美食お金も好きと十夜僧 | 伊佐利子 | 福岡 |
471号 2 | 定年同士失業同士冬の旅 | 石川青狼 | 北海道 |
471号 3 | 梟よ君の水洟愛しかり | 市野記余子 | 埼玉 |
471号 4 | ひとりとは巨岩見ている懐手 | 伊藤淳子 | 東京 |
471号 5 | 補聴器が捉へし冬の尿の音 | 伊藤友子 | 埼玉 |
471号 6 | 鶴四羽村の鍛冶屋を悲します | 上野昭子 | 山口 |
471号 7 | マラソンのしぐるる一団君ありき | 榎本愛子 | 山梨 |
471号 8 | 冬の家皆正座して鯉食べる | 榎本裕子 | 兵庫 |
471号 9 | コンビニでおでん買うごと平和論 | 大谷昌弘 | 千葉 |
471号 10 | あまのじやく狐火につい寄りすぎて | 加納百合子 | 奈良 |
471号 11 | 老兵肩を組み越前蟹を食う | 北川邦陽 | 愛知 |
471号 12 | 晩菊に雨降る言葉つつしんで | 北村美都子 | 新潟 |
471号 13 | 生涯の冬の都は怠惰かな | 京武久美 | 宮城 |
471号 14 | 割れるほど息があふれて寒の月 | 河野志保 | 奈良 |
471号 15 | 水を行く破れ紅葉や我が放蕩 | 小林まさる | 群馬 |
471号 16 | 白寿の人に会いにゆく日の小春かな | 近藤好子 | 愛知 |
471号 17 | 霧へ刃をふる林のなかの洋食店 | 斉木ギニ | 千葉 |
471号 18 | 越は冬消し炭のごと生家あり | 清水 瀚 | 東京 |
471号 19 | 引越しは濁流のごと十二月 | 下山田禮子 | 埼玉 |
471号 20 | 母というやわらかな着地鶴来る | 白石司子 | 愛媛 |
471号 21 | 綿虫の旅愁とも違う流れよう | 白川温子 | 東京 |
471号 22 | 行くところあるから渡る雁の棹 | 高桑弘夫 | 千葉 |
471号 23 | 鷹の爪熟れたり朝寝していたり | 瀧 春樹 | 大分 |
471号 24 | 柚子は黄に老人あわく口述す | 田口満代子 | 千葉 |
471号 25 | 流星や水際のやうな人とゐて | 武田美代 | 栃木 |
471号 26 | 吊し柿晩節乾ぶまいとせり | 田浪富布 | 栃木 |
471号 27 | 風を乗り継ぎ光る木光る木の林 | 月野ぽぽな | アメリカ |
471号 28 | わがままな蝶来て困る冬の川 | 津野丘陽 | 東京 |
471号 29 | 彼岸花薄明りして谷が鳴る | 林 壮俊 | 東京 |
471号 30 | 菩提子抛る躁鬱都市に住みなれて | 藤江 瑞 | 神奈川 |
471号 31 | 柚子の黄眩し戦争を語らぬ父に | 藤野 武 | 東京 |
471号 32 | アルバムを落とす地震や晩秋なり | 北條貢司 | 北海道 |
471号 33 | 数え日や無口をしあわせと言えます | 三井絹枝 | 東京 |
471号 34 | 蝉時雨砂山のよう雲のよう | 森 鈴 | 埼玉 |
471号 35 | 柿すだれけむりのように日暮来て | 森 美絵 | 埼玉 |
471号 36 | 冬草よ言葉あふれて無口なる | 森央ミモザ | 長野 |
471号 37 | 瞑目は根雪の硬さ即身仏 | 柳生正名 | 東京 |
471号 38 | 屯する君らの自由星月夜 | 安井昌子 | 東京 |
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472号 1 | 稀の青空昼火事に立ち止まる | 伊藤はる子 | 秋田 |
472号 2 | 村の僧乾布摩擦の白きこと | 稲葉千尋 | 三重 |
472号 3 | 自分らしさの自分が見えぬ夜の吹雪 | 上田久雄 | 石川 |
472号 4 | 辻褄が合わなくなるとサングラス | 大西幸子 | 愛媛 |
472号 5 | 死に給ひゆく我が母の初明り | 岡崎正宏 | 埼玉 |
472号 6 | 生きてやろ枯木の山が好きだから | 岡崎万寿 | 東京 |
472号 7 | 冬眠の蛇より細くなりし指 | 奥山和子 | 三重 |
472号 8 | 河原鶸キリキリコロコロとあり | 加藤青女 | 埼玉 |
472号 9 | 初雪や夜叉を彫るらし静かな刃 | 門脇章子 | 大阪 |
472号 10 | 陽溜りの猫どうみても写楽の鼻 | 柄沢あいこ | 神奈川 |
472号 11 | 「勝ってくるぞ」と峠に並ぶ雪の墓碑 | 城至げんご | 石川 |
472号 12 | 雪無限亡骸のごと寝乱れず | 北村美都子 | 新潟 |
472号 13 | 吊し柿猫のポーズで肩ほぐす | 木村清子 | 埼玉 |
472号 14 | 素っぴんの我に武器あり大マスク | 久保恵美子 | 福井 |
472号 15 | 凍土掘る如何にして斯く人は狂いし | 栗村 九 | 千葉 |
472号 16 | あたたかや犬に草の実わたしに句 | 河野志保 | 奈良 |
472号 17 | ひとりぼっちの夕星沖に鯨群る | 坂本春子 | 神奈川 |
472号 18 | シマフクロウまだまだあくが強い祖父 | 佐々木宏 | 北海道 |
472号 19 | クリオネと語る精神科医の日曜日 | 重松敬子 | 兵庫 |
472号 20 | 七種や飼育係のごと刻む | 柴田和江 | 愛知 |
472号 21 | 冬晴や追伸のごと港が見える | 柴田美代子 | 埼玉 |
472号 22 | 枯蓮に脈絡のありほだされり | 芹沢愛子 | 東京 |
472号 23 | 蕩揺す圧倒的に鹿が居て | 十河宣洋 | 北海道 |
472号 24 | はらからや分水嶺の蝉時雨 | 高井元一 | 埼玉 |
472号 25 | 雪国に生きてたまげるけさの雪 | 竪阿彌放心 | 秋田 |
472号 26 | ナマハゲの草鞋を作りあとは酒 | 館岡誠二 | 秋田 |
472号 27 | どんと火に夫婦の古しラブレター | 中島伊都 | 栃木 |
472号 28 | ぽつんと母こつんと眼鏡置いて冬 | 中村 晋 | 福島 |
472号 29 | 押し花のように閑なり睦月なり | 中村孝史 | 宮城 |
472号 30 | 猪の眼に寒満月の怒濤のみ | 野崎憲子 | 香川 |
472号 31 | あらゆる白の乾く霧島おろしかな | 服部修一 | 宮崎 |
472号 32 | 陽の限り落葉踏みしめ生きめやも | 疋田恵美子 | 宮崎 |
472号 33 | 日雀つっぴん鮮明なたより来る | 広瀬輝子 | 栃木 |
472号 34 | 鳥は塒に人は煮凝へと帰る | 堀之内長一 | 埼玉 |
472号 35 | 釣瓶落し敬語なんかで喋らない | 茂里美絵 | 埼玉 |
472号 36 | 流星群竜頭止まるまで巻いて | 矢野千代子 | 兵庫 |
472号 37 | 頑な無神論者に穴まどい | 山本キミ子 | 富山 |
472号 38 | 棒鱈のガチガチ人体標本図 | 山本昌子 | 京都 |
472号 39 | 二階から八百屋の上の初日拝む | 若林卓宣 | 三重 |
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473号 1 | 黒猫の梁に撓うも夜神楽や | 飯土井志乃 | 滋賀 |
473号 2 | 湯たんぽも母も単純明快なり | 伊佐利子 | 福岡 |
473号 3 | 紅葉狩り鹿や猪食ふ人も | 内野 修 | 埼玉 |
473号 4 | 牡蠣啜るひとりは遠くばかり見て | 榎本祐子 | 兵庫 |
473号 5 | 旅籠船津屋猪に杉戸を壊されぬ | 大西健司 | 三重 |
473号 6 | 雪掻きが終る雪雲迫り来る | 刈田光児 | 新潟 |
473号 7 | 人間は蓮華草ほど児がまろぶ | 北川邦陽 | 愛知 |
473号 8 | 光陰もレインコートも狐臭して | 九堂夜想 | 神奈川 |
473号 9 | 霜の夜鳥獣戯画のゆるき吃音 | 小池弘子 | 富山 |
473号 10 | 墓洗う母の温もる堅さです | 後藤岑生 | 青森 |
473号 11 | 博多も雪ホームにうすい人間たち | 鮫島康子 | 福岡 |
473号 12 | 猪狩りのむくいぞ回復せぬ膝は | 品川 暾 | 山口 |
473号 13 | 初寝覚怒らず転ばず地獄耳 | 篠田悦子 | 埼玉 |
473号 14 | 乱れ麻のような毎日神渡し | 下山田禮子 | 埼玉 |
473号 15 | なごり雪ならで降灰無粋です | 釈迦郡ひろみ | 宮崎 |
473号 16 | 一番長い影連れ娘の家へゆく | 杉崎ちから | 愛知 |
473号 17 | 病む妻に管のいろいろ冬深し | 須藤火珠男 | 栃木 |
473号 18 | にわとりより静かに座り春を待つ | 瀬川泰之 | 長崎 |
473号 19 | のめり込む雪庇あり家族あり | 瀧村道子 | 岐阜 |
473号 20 | 机の上きれいに雪を待つ子かな | 武田美代 | 栃木 |
473号 21 | 鉄の軌道鉄の心臓末黒野に | 田中亜美 | 神奈川 |
473号 22 | 雪丈余掘って婆待つ春よ来い | 田村勝美 | 新潟 |
473号 23 | 春愁へ息子のオナラ乱入す | 峠谷清広 | 東京 |
473号 24 | 秋黴雨人の気配を淵という | 遠山郁好 | 東京 |
473号 25 | 大勢とはこんな音かや蜆汁 | 中島伊都 | 栃木 |
473号 26 | 真っ当な花の生命を差し上げる | 根岸暁子 | 群馬 |
473号 27 | 初音あり線刻の陰凝灰岩に | 野田信章 | 熊本 |
473号 28 | 如月や兄の土鈴の在りどころ | 平塚幸子 | 神奈川 |
473号 29 | 雪の陰影清しや肩甲骨のあたり | 藤野 武 | 東京 |
473号 30 | ブリザード昂ぶりは黒人霊歌 | ホーン喜美子 | カナダ |
473号 31 | 山あいに住み馴れ風呂吹きをふうふう | 本田ひとみ | 福島 |
473号 32 | 川底の真冬の空のちからかな | 前田典子 | 三重 |
473号 33 | 女子駅伝三千院の大根煮 | 松本ヒサ子 | 愛媛 |
473号 34 | 冬紅葉一本の雨のような髪 | 三井絹枝 | 東京 |
473号 35 | 水平線も君も潔癖花菜畑 | 森 美樹 | 千葉 |
473号 36 | ここにいることが遠景梅咲けり | 守谷茂泰 | 東京 |
473号 37 | 恋猫の大きな方を銃撃す | 山内崇弘 | 愛媛 |
473号 38 | 寒紅の明るき妻に日差し差す | 山岡敬典 | 岡山 |
473号 39 | 一面雪脛に傷もつ眩しさよ | 山本キミ子 | 富山 |
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474号 1 | 我がふるさと活断層に種を蒔く | 石上邦子 | 愛知 |
474号 2 | 春日影不在のように座す少年 | 宇川啓子 | 福島 |
474号 3 | 万愚節中古洗濯機を買へり | 江井芳郎 | 福島 |
474号 4 | 鳥雲に地に残るもの蹲る | 榎本祐子 | 兵庫 |
474号 5 | 雲雀野の傾きかげんを君に送る | 大野泰司 | 愛媛 |
474号 6 | 青虫がだんだん夫に似てこまる | 奥山和子 | 三重 |
474号 7 | 生きている春雨は体温のよう | 狩野康子 | 宮城 |
474号 8 | 啓蟄や向こう三軒猫屋敷 | 河原珠美 | 神奈川 |
474号 9 | 連翹や馬のおじぎの柔らかい | 北村歌子 | 埼玉 |
474号 10 | 水餅みたいに娘より夜更かし | 木下ようこ | 神奈川 |
474号 11 | 百千鳥病人握手を離さない | 木村清子 | 埼玉 |
474号 12 | 素知らぬ態に春の雲ゆきたねをさん | 小林一枝 | 東京 |
474号 13 | 海市否訃の使者として丘に漁船 | 小林まさる | 群馬 |
474号 14 | くさめを殺す手のひら大の鰈を買い | 坂本蒼郷 | 北海道 |
474号 15 | 掃除せし耳がからつぽくるみの実 | 坂本みどり | 埼玉 |
474号 16 | 囀りやこの只管を忘れかけて | 篠田悦子 | 埼玉 |
474号 17 | 養花天句読点なき暮しぶり | 下山田禮子 | 埼玉 |
474号 18 | 枯れの中ふと水音のして父よ | 白石司子 | 愛媛 |
474号 19 | 人に死も家路もなくて凍て返る | 末岡 睦 | 北海道 |
474号 20 | 痩せた蛇蛙見ている被災の地 | 鈴木八駛郎 | 北海道 |
474号 21 | 存分に水照りの埴輪諸葛菜 | 関田誓炎 | 埼玉 |
474号 22 | 夜はすぐ明け大きなマスクで顔おおう | 芹沢愛子 | 東京 |
474号 23 | 山茱萸眩し老い込むなんて不似合な | 高橋一枝 | 埼玉 |
474号 24 | てのひらの浅瀬ここより雛流す | 田口満代子 | 千葉 |
474号 25 | 炉を塞ぐ妻の大きな尻であり | 竪阿彌放心 | 秋田 |
474号 26 | 春来れば雨・晴・雪・晴・芽のうるむ | 谷 佳紀 | 神奈川 |
474号 27 | 乳牛の乳凹み垂れ春分かな | 董 振華 | 中国 |
474号 28 | 東京やクーデターみたいに冴え返る | 峠谷清広 | 東京 |
474号 29 | 春山のくっきり濃く見ゆ地震以後 | 中村孝史 | 宮城 |
474号 30 | 笑うたなと風船売りの振り返る | 野崎憲子 | 香川 |
474号 31 | 鶯あまりに近しよ老僧赤面す | 野田信章 | 熊本 |
474号 32 | 鳥帰る水あれば水はげまして | 平田 薫 | 神奈川 |
474号 33 | ピクニックに行くよう畑の秘密基地 | 平野八重子 | 愛媛 |
474号 34 | 人も馬も船も白梅も消えた | 本田ひとみ | 埼玉 |
474号 35 | 陽のように嘘のほしい日の菜の花 | 三井絹枝 | 東京 |
474号 36 | たんぽぽと小声で言うてひとりなり | 森内定子 | 福井 |
474号 37 | 見えぬとは恐ろし白梅に微香 | 山田哲夫 | 愛知 |
474号 38 | 春愁や路地黝くすニートたち | 山本キミ子 | 富山 |
474号 39 | 荒磯にオルガン三月十一日 | 柚木紀子 | 長野 |
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475号 1 | 漂泊や山藤にただ染まりたし | 安藤和子 | 愛媛 |
475号 2 | 萍の向こうも萍寝そびれて | 市野記余子 | 埼玉 |
475号 3 | 父を照らす山茱萸大樹吾に距離 | 伊藤 和 | 東京 |
475号 4 | 春の波踏んで哀しい尿意かな | 榎本祐子 | 兵庫 |
475号 5 | 懐かしい日の丸飯や避難われ | 江井芳郎 | 福島 |
475号 6 | 若葉光常のいとなみさがしてよ | 大内冨美子 | 福島 |
475号 7 | 雪解川赤子を背に濯ぐ母 | 尾崎暢子 | 東京 |
475号 8 | ジャスミン闌けてわが息の荒らぶるなり | 加地英子 | 愛媛 |
475号 9 | 四股踏んで田に下りる母五月晴 | 加藤昭子 | 秋田 |
475号 10 | 星朧声重なるよう波がしら | 狩野康子 | 宮城 |
475号 11 | はんざきを誰も裂こうとはしない | 河西志帆 | 長野 |
475号 12 | 陽炎える梯子が空の芽となるまで | 京武久美 | 宮城 |
475号 13 | 被災児の挿頭であろう豆の花 | 久保智恵 | 兵庫 |
475号 14 | 引鶴や津波のあとの水照りのみ | 黒岡洋子 | 東京 |
475号 15 | ちちははの過ぎたるこの世夏落葉 | 清水喜美子 | 茨城 |
475号 16 | きびきびと花蜂諸君朝日好き | 須藤火珠男 | 栃木 |
475号 17 | 秩父札所蝌蚪を狸が嗅ぎゆきし | 関田誓炎 | 埼玉 |
475号 18 | 米作れぬ被災者見てる吾れ田打つ | 高橋 喬 | 新潟 |
475号 19 | 大阪とか大阪的とか雪の日も | 竹内義聿 | 大阪 |
475号 20 | 鉱物の名を呟きて闘魚見る | 田中亜美 | 神奈川 |
475号 21 | 原発被災の地 牛に塩盛りて別れの立夏かな |
田村蒲公英 | 埼玉 |
475号 22 | 牡丹まで歩いてきたり夕仕度 | 土田武人 | 神奈川 |
475号 23 | 酔った俺に執事みたいな冷蔵庫 | 峠谷清広 | 東京 |
475号 24 | 砂時計逆さに置けば明け易し | 永井 幸 | 福井 |
475号 25 | 陽炎や被爆者失語者たる我ら | 中村 晋 | 福島 |
475号 26 | 春の雷たまたま隣り合つただけ | 野崎憲子 | 香川 |
475号 27 | 椅子に背があり運河に朱夏の流れ | 浜 芳女 | 群馬 |
475号 28 | 桜しべ降る錆びしもの並べてやすけし | 藤野 武 | 東京 |
475号 29 | 五月来る大粒の雨牛飼いに | 堀之内長一 | 埼玉 |
475号 30 | あわてざる風格に蛇すすみゆく | 前田典子 | 三重 |
475号 31 | 豆ご飯あなたとの昼深くする | 丸木美津子 | 愛媛 |
475号 32 | 癌手術 食道消えああにんげんという春愁 |
宮川としを | 東京 |
475号 33 | 葉音からはじまる手紙如月は | 宮崎斗士 | 東京 |
475号 34 | 葱刻む刃先を海へ手術待つ | 武藤暁美 | 秋田 |
475号 35 | 田水張る馬のかたちに雲が行き | 森央ミモザ | 長野 |
475号 36 | 夏痩の我に窶れし母ありき | 諸 寿子 | 東京 |
475号 37 | 巣箱ありシェフの気まぐれサラダあり | 柳生正名 | 東京 |
475号 38 | 水底の蝌蚪の闇ですひとり旅 | 横地かをる | 愛知 |
475号 39 | 草を刈る音聞いてゐる無人駅 | 若林卓宣 | 三重 |
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476号 1 | 樹に凭れ寂しげ父の日の男 | 石上邦子 | 愛知 |
476号 2 | 水羊羮いつか貧しき臀部かな | 石川まゆみ | 広島 |
476号 3 | 嘘泣きの子役ならべて驟雨かも | 市原正直 | 東京 |
476号 4 | 更紗木蓮少ししわある顔曇る | 井手都子 | 北海道 |
476号 5 | 夜更かしの空気集まる山法師 | 伊藤淳子 | 東京 |
476号 6 | 虎杖は鍵師の堅さぽんと鳴る | 稲葉千尋 | 三重 |
476号 7 | 老僧のさがりし肩に極楽鳥 | 扇谷千恵子 | 富山 |
476号 8 | 赤蛙人間も絶滅危惧種かな | 岡崎万寿 | 東京 |
476号 9 | 膝に水かたつむり固唾のみおり | 加古和子 | 東京 |
476号 10 | 人間怖き日は白玉に銀の匙 | 門脇章子 | 大阪 |
476号 11 | 緑夜かな忘却という大きな巣 | 河原珠美 | 神奈川 |
476号 12 | 風花や地には柩のなき葬り | 小長井和子 | 神奈川 |
476号 13 | 震禍の友に春霞など言はず問はず | 小林一枝 | 東京 |
476号 14 | 向日葵をたっぷり植えて覚悟かな | 駒崎美津子 | 埼玉 |
476号 15 | 東日本大震災 一生涯を埋めし瓦礫に春の海 |
篠田悦子 | 埼玉 |
476号 16 |
東日本大震災 朴匂う仮設の厠山裾に |
末岡 睦 | 北海道 |
476号 17 | 都会てふ水風呂に一人紛れる | 鈴木孝信 | 埼玉 |
476号 18 | 子の恋を父のみ知らず桜桃忌 | 鈴木修一 | 秋田 |
476号 19 | 花茣蓙に神と神々昏れゆけり | 田中亜美 | 神奈川 |
476号 20 | 愛鳥週間線量計を渡される | 田中雅秀 | 福島 |
476号 21 | 地震後は歩きが早くなり菫 | 谷 佳紀 | 神奈川 |
476号 22 | 自画像に厚い化粧す麦の秋 | 田沼美智子 | 千葉 |
476号 23 | 花おうち雲が広島なでてゆく | 月野ぽぽな | アメリカ |
476号 24 | 鶏にまぶたまなじり南風吹く | 津波古 江津 | 神奈川 |
476号 25 | 野を渡りゆく律儀者天の川 | 董 振華 | 中国 |
476号 26 | いくたりか陰も映して田を植える | 中島偉夫 | 宮崎 |
476号 27 | 蕨一本赤子に持たす春だよ | 中島まゆみ | 埼玉 |
476号 28 | 花枸橘ははに戦意のありしこと | 野田信章 | 熊本 |
476号 29 | 遠耳はまくなぎのせいさ列車ゆく | 長谷川育子 | 新潟 |
476号 30 | 余震の村なまあたたかき袋角 | 日高 玲 | 東京 |
476号 31 | あまたなる言葉下界の六月ぞ | 平塚幸子 | 神奈川 |
476号 32 | 木いちごの花の斜面や被曝せり | 本田ひとみ | 福島 |
476号 33 | 薔薇の門ひとりが好きといふ虚実 | 丸山マサ江 | 群馬 |
476号 34 | 朧月皆細目して横になる | 三井絹枝 | 東京 |
476号 35 | あめんぼや「光」と書いて黙っている | 宮崎斗士 | 東京 |
476号 36 | 雨乞いや父の眉毛を切りそろえ | 武藤暁美 | 秋田 |
476号 37 | 生きている皮膚は湿りて行行子 | 茂里美絵 | 埼玉 |
476号 38 | 夜爪切る母に母なき螢籠 | 柳生正名 | 東京 |
476号 39 | 十薬や二人は緩い坂が好き | 吉川真実 | 東京 |
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477号 1 | 星宿や頬打つしゃぼん流れ玉 | 阿保恭子 | 東京 |
477号 2 | 蛇泳ぐかな人声のくぐもって | 伊藤淳子 | 東京 |
477号 3 | 瓦礫ばかりの干潟見据える夏鴉 | 井上湖子 | 群馬 |
477号 4 | 東北は無口重ねて花は葉に | 宇川啓子 | 福島 |
477号 5 | 額の花耳遠くして白し白し | 内田利之 | 兵庫 |
477号 6 | 無惨やな放射能の椎茸捨つ | 江井芳郎 | 福島 |
477号 7 | 蚕豆の物語する小部屋あり | 榎本祐子 | 兵庫 |
477号 8 | 心ひとつが屈葬のごと浸る新緑 | 大沢輝一 | 石川 |
477号 9 | 少年僧清く木耳採りにけり | 大谷昌弘 | 千葉 |
477号 10 | 朝顔や光の中を母逝きぬ | 岡崎正宏 | 埼玉 |
477号 11 | 水底の見えない川へ蛇流す | 奥山和子 | 三重 |
477号 12 | 少女たちよく頷いて白い滝 | 小野裕三 | 神奈川 |
477号 13 | 真向かえばあふるる母郷夏怒濤 | 河原珠美 | 神奈川 |
477号 14 | さるすべり世代交代静かなり | 北村歌子 | 埼玉 |
477号 15 | 扇風機八方美人を通すなり | 熊坂 淑 | 神奈川 |
477号 16 | 踏青や詩人になれる樹に凭れ | 黒岡洋子 | 東京 |
477号 17 | 時の日のトイレにありし青い空 | こしのゆみこ | 東京 |
477号 18 | 快い言葉遊びや麦星や | 小原恵子 | 埼玉 |
477号 19 | 花は紅柳は緑被曝せり | 小柳慶三郎 | 群馬 |
477号 20 | 夏雲のかたまり父ののどぼとけ | 佐孝石画 | 福井 |
477号 21 | 婆さんが春の熊見てにっこりす | 佐々木昇一 | 秋田 |
477号 22 | 霾や地球に人が居なくても | 篠田悦子 | 埼玉 |
477号 23 | 森林浴孫の一人にゲルマンの血 | 菅原和子 | 東京 |
477号 24 | 海を持つ惑星我は青き踏む | 鱸 久子 | 埼玉 |
477号 25 | 死の床でさんきゅうと母白鳥座 | 竹田昭江 | 東京 |
477号 26 | 病めるときも富めるときも萍 | 田中亜美 | 神奈川 |
477号 27 | 風船玉膨らむほどに青地球 | 田中正能 | 神奈川 |
477号 28 | 花うつぎ愛情という非対称 | 月野ぽぽな | アメリカ |
477号 29 | フクシマよ夭夭と桃棄てられる | 中村 晋 | 福島 |
477号 30 | 影というもの濃くなってから歩く | 中村加津彦 | 長野 |
477号 31 | 老いること知らず大暑の日本海 | 中村祐子 | 秋田 |
477号 32 | 滴りのたまゆら鳥の形せり | 野崎憲子 | 香川 |
477号 33 | なんじゃもんじゃ守武千句の地なりけり | 野田信章 | 熊本 |
477号 34 | 水で描く石蹴りの円星祭 | 平塚幸子 | 神奈川 |
477号 35 | 青水無月枕にたまる夜の体温 | 藤盛和子 | 秋田 |
477号 36 | 黒牛に下弦の月のにほひかな | 前田典子 | 三重 |
477号 37 | 緑陰や八方美人のまま痩せて | 森井栄子 | 東京 |
477号 38 | 野水仙夜がひびいて眠れない | 安井昌子 | 東京 |
477号 39 | おいらん草ぽうっと火照るご老体 | 山本キミ子 | 富山 |
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478号 1 | 蛇の衣手にシロアリの駆除終わる | 今福和子 | 鹿児島 |
478号 2 | 熱帯夜仮設隣家より木魚 | 江井芳郎 | 福島 |
478号 3 | 萍を片寄せ流離はじまりぬ | 榎本祐子 | 兵庫 |
478号 4 | 夢や海嘯の盗汗や眼前に青芒 | 大島昌継 | 福島 |
478号 5 | 蓮開く完全無欠というかたち | 加藤昭子 | 秋田 |
478号 6 | みほとけに厨子のふしあな天の川 | 門脇章子 | 大阪 |
478号 7 | 筆談は純なる音色青葡萄 | 狩野康子 | 宮城 |
478号 8 | 驟雨きて乳房あるかぎりゆれる | 岸本マチ子 | 沖縄 |
478号 9 | 死にし人より死ぬ人大事夏落葉 | 北川邦陽 | 愛知 |
478号 10 | 山道の下りは苦手二人静 | 木村清子 | 埼玉 |
478号 11 | 野遊びのうしろの文芸そっけなし | 京武久美 | 宮城 |
478号 12 | 飯は饐えるし鶏は朗らに逃げ出すし | 小池弘子 | 富山 |
478号 13 | 髪洗う闇より生れる地震かな | 五島高資 | 栃木 |
478号 14 | 丘から海睨む破船や葉鶏頭 | 小林まさる | 群馬 |
478号 15 | 時に嘘時々めまい梅雨のバラ | 近藤好子 | 愛知 |
478号 16 | 滝があるよと少女ふりむく行きなさい | 斉木ギニ | 千葉 |
478号 17 | ヒロシマ夏真水にしんと生きものたち | 篠田悦子 | 埼玉 |
478号 18 | 知性とは曲がりやすくて雲の峰 | 下山田禮子 | 埼玉 |
478号 19 | 樹の陰に座す青年に敗戦日 | 鈴木 誠 | 愛知 |
478号 20 | きのこ雲は造語なりけり夾竹桃 | 竹田昭江 | 東京 |
478号 21 | 私淑とは流れに溶ける青葉騒 | 武田美代 | 栃木 |
478号 22 | 紙鶴の紙の筋目や夏至の星 | 田中亜美 | 神奈川 |
478号 23 | すいれん鉢に唐の女人のひらひらと | 田中昌子 | 京都 |
478号 24 | 人の上に原発つくる合歓の花 | 谷 佳紀 | 神奈川 |
478号 25 | 青柿のかくまで高き瓦礫かな | 津波古 江津 | 神奈川 |
478号 26 | 驟雨待つごとみどり児の眸を覗く | 遠山郁好 | 東京 |
478号 27 | 見納めと決めし開聞岳日雷 | 長野祐子 | 東京 |
478号 28 | 身辺に鈍器などなし夏の家 | 中村裕子 | 秋田 |
478号 29 | 蠍座の尾が入りけり燧灘 | 野崎憲子 | 香川 |
478号 30 | 大根蒔く尺貫法で畝立てて | 長谷川育子 | 新潟 |
478号 31 | 雲の峰赤松の気をいただきぬ | 疋田恵美子 | 宮崎 |
478号 32 | 夜振火よほんとうに皆いなくなる | 藤野 武 | 東京 |
478号 33 | 波郷に焦土われらに青き荒野かな | 堀之内長一 | 埼玉 |
478号 34 | 人の子も仔猫も空気被爆かな | マブソン青眼 | 長野 |
478号 35 | 老いしまま螢に解けるいのちかな | 三井絹枝 | 東京 |
478号 36 | 日盛りの牛撫でて藁測定員 | 武藤鉦二 | 秋田 |
478号 37 | 夫在りき夫の死ありき遠花火 | 村田厚子 | 広島 |
478号 38 | 老樵声かけ帰る浮巣かな | 諸 寿子 | 東京 |
478号 39 | 寝てばかりの帰省子に窓開け放つ | 山本昌子 | 京都 |