金子兜太選 海程秀句」鑑賞 
2011年目次

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作者名
地域 

延暦僧録白蛾の静止水平に

飯土井志乃 滋賀
469号 2 秋刀魚焼く母は私の影の中 石田順久 神奈川
469号 3 白さるすべり祖は大きな波しぶき 稲葉千尋 三重
469号 4 嘘多少持ち合ひて来し十三夜 宇川啓子 福島
469号 5 鮃一枚きれいに食べて神無月 榎本佑子 兵庫
469号 6 父の肩叩けば木の実降る如し 岡崎正宏 埼玉
469号 7 秋水こんこん老いて情の高ぶるも 岡崎万寿 東京
469号 8 朝顔の軽さで妻の座りけり 小野裕三 神奈川
469号 9 鷹旋回地に能弁の君居りて 加古和子 東京
469号 10 秋の蚊の骨あるごとき力かな 川崎益太郎 広島
469号 11 三人はひとりとふたり曼珠沙華 河西志帆 長野
469号 12 教授とかやくざも級友鰯雲 木下ようこ 神奈川
469号 13 別々に蟋蟀聞くを流離という 小池弘子 富山
469号 14 わが影の森歩く音夏がゆく 坂本春子 神奈川
469号 15 肉厚き海鞘にぐい呑み祭り笛 坂本みどり 埼玉
469号 16 秋の雷卒塔婆倒れ凭れあう 佐々木昇一 秋田
469号 17 鳥渡る網膜剥離の眼裏を 佐藤鎮人 岩手
469号 18 柿紅葉金の目玉の魚煮る 重松敬子 兵庫
469号 19 人去りて夜は川鳴る秋山家 篠田悦子 埼玉
469号 20 一遍の一本の道鳥渡る 白石司子 愛媛
469号 21 露原に屈めば私という孤島 菅原和子 東京
469号 22 鹿踊りこおろぎの声踏みしめて 鈴木修一 秋田
469号 23 熱帯夜街に変電所が浮かぶ 高桑婦美子 千葉
469号 24 おなじ眸をして華人韓人川とんぼ 高橋たねを 香川
469号 25 死に蝉として四五日を吹かれをり 武田美代 栃木
469号 26 散骨の亡夫岩になれ夏の山 中島まゆみ 埼玉
469号 27 百日紅真昼おもたき瞼よ 新田幸子 滋賀
469号 28 美作の駅の白桃旅にあり 野原瑤子 神奈川
469号 29 鮭遡上敵前上陸のようなり 蓮田双川 茨城
469号 30 薪割る音す修道院は霧の中 浜口眞砂子 長崎
469号 31 まんじゅしゃげ睫毛を競う声ありき 平塚幸子 神奈川
469号 32 この坂を下れば過去ぞ鬼やんま 本田ひとみ 福島
469号 33 息をして忘れていたる残暑かな 三井絹枝 東京
469号 34 つくつくしつくづくつくしつかれけり 森  鈴 埼玉
469号 35 人老いて夕顔ひらくとき夕餉 茂里美絵 埼玉
469号 36 もう誰のことも思わず穴惑い 森内定子 福井
469号 37 坐るたび空を見る癖野紺菊 森央ミモザ 長野
469号 38 をみなえしときけば川崎展宏さん 矢野美与子 東京
469号 39 郁子明り長生きは娑婆塞ぎとも 山本キミ子 富山

470号 1 千本の塔婆や影や穴惑い 荒井まり子 京都
470号 2 回送電車に遮断機降りる敗戦忌 有村王志 大分
470号 3 紅葉狩り黄砂がすでに来ておりぬ 上野昭子 山口
470号 4 東京は集積回路穴惑 岡崎正宏 埼玉
470号 5 想ほえば狐火は薔薇をみていた 加納百合子 奈良
470号 6 金木犀唯一の吾を包み込む 北村歌子 埼玉
470号 7 老いの形空に紛れてそぞろ寒 京武久美 宮城
470号 8 菊盛り鹿のおしりが集まって 河野志保 奈良
470号 9 金木犀に銀木犀に人は居らず 小林一枝 東京
470号 10 白鳥来て一病息災の母あり 小堀 葵 群馬
470号 11 はぐれてから記憶はじまる雁が飛ぶ 斉木ギニ 千葉
470号 12 限界集落娘が来て十一月の御強 坂本蒼郷 北海道
470号 13 冬じたく父も羆もなんか事務的 佐々木宏 北海道
470号 14 厚かまし紅葉が富士の上に散る 清水 瀚 東京
470号 15 八月や船渠に潜水艦の全裸 杉崎ちから 愛知
470号 16 木の実落つふたりそろって鼻めがね 芹沢愛子 東京
470号 17 秋風よむかし投石という兵器 高桑婦美子 千葉
470号 18 恋の猫月光浄土横切りぬ 高田ヨネ子 愛媛
470号 19 携帯電話に撮られたりして穴惑 田口満代子 千葉
470号 20 覚めてまた眠し九月の柱かな 武田美代 栃木
470号 21 砂嵐混じる抒情や雁渡る 田中亜美 神奈川
470号 22 忘れっぽいとか夜が明けたとか曼珠沙華 谷 佳紀 神奈川
470号 23 雁や野をかき切つて夕日川 野崎憲子 香川
470号 24 曼珠沙華すまんじゅう店すぐそこです 長谷川順子 埼玉
470号 25 瓜ン坊というかラグビーボールというか 幅田信一 福井
470号 26 満月やシルクロードを急がない 平塚波星 秋田
470号 27 秋耕や朽ちし畳を鋤き込める 平山圭子 岐阜
470号 28 紅葉かつ散るふっと酸鼻という言葉 堀之内長一 埼玉
470号 29 黄落のほろにがい闇眠れない 本田ひとみ 福島
470号 30 東北地方太平洋沖地震
470号 31 ギンヤンマいい質問がつぎつぎ来る 宮崎斗士 東京
470号 32 烏瓜の花なり星の抜け道なり 武藤暁美 秋田
470号 33 小難しい息子いらない唐辛子 村井 秋 神奈川
470号 34 煮凝うっすら崩れリアス式海岸 村上友子 東京
470号 35 夫に添う離島や冬菜繁らせて 諸 寿子 東京
470号 36 案山子より人痩せ峡の危な唄 柳生正名 東京
470号 37 黄菊白菊どのバンザイも嫌ひなり 前田典子 三重
470号 38 十一月素足のごとく風かな 輿儀つとむ 沖縄
470号 39 七十六歳になった野菊をおがむ 横山 隆 長崎

471号 1 美女美食お金も好きと十夜僧 伊佐利子 福岡
471号 2 定年同士失業同士冬の旅 石川青狼 北海道
471号 3 梟よ君の水洟愛しかり 市野記余子 埼玉
471号 4 ひとりとは巨岩見ている懐手 伊藤淳子 東京
471号 5 補聴器が捉へし冬の尿の音 伊藤友子 埼玉
471号 6 鶴四羽村の鍛冶屋を悲します 上野昭子 山口
471号 7 マラソンのしぐるる一団君ありき 榎本愛子 山梨
471号 8 冬の家皆正座して鯉食べる 榎本裕子 兵庫
471号 9 コンビニでおでん買うごと平和論 大谷昌弘 千葉
471号 10 あまのじやく狐火につい寄りすぎて 加納百合子 奈良
471号 11 老兵肩を組み越前蟹を食う 北川邦陽 愛知
471号 12 晩菊に雨降る言葉つつしんで 北村美都子 新潟
471号 13 生涯の冬の都は怠惰かな 京武久美 宮城
471号 14 割れるほど息があふれて寒の月 河野志保 奈良
471号 15 水を行く破れ紅葉や我が放蕩 小林まさる 群馬
471号 16 白寿の人に会いにゆく日の小春かな 近藤好子 愛知
471号 17 霧へ刃をふる林のなかの洋食店 斉木ギニ 千葉
471号 18 越は冬消し炭のごと生家あり 清水 瀚 東京
471号 19 引越しは濁流のごと十二月 下山田禮子 埼玉
471号 20 母というやわらかな着地鶴来る 白石司子 愛媛
471号 21 綿虫の旅愁とも違う流れよう 白川温子 東京
471号 22 行くところあるから渡る雁の棹 高桑弘夫 千葉
471号 23 鷹の爪熟れたり朝寝していたり 瀧 春樹 大分
471号 24 柚子は黄に老人あわく口述す 田口満代子 千葉
471号 25 流星や水際のやうな人とゐて 武田美代 栃木
471号 26 吊し柿晩節乾ぶまいとせり 田浪富布 栃木
471号 27 風を乗り継ぎ光る木光る木の林 月野ぽぽな アメリカ
471号 28 わがままな蝶来て困る冬の川 津野丘陽 東京
471号 29 彼岸花薄明りして谷が鳴る 林 壮俊 東京
471号 30 菩提子抛る躁鬱都市に住みなれて 藤江 瑞 神奈川
471号 31 柚子の黄眩し戦争を語らぬ父に 藤野 武 東京
471号 32 アルバムを落とす地震や晩秋なり 北條貢司 北海道
471号 33 数え日や無口をしあわせと言えます 三井絹枝 東京
471号 34 蝉時雨砂山のよう雲のよう 森  鈴 埼玉
471号 35 柿すだれけむりのように日暮来て 森 美絵 埼玉
471号 36 冬草よ言葉あふれて無口なる 森央ミモザ 長野
471号 37 瞑目は根雪の硬さ即身仏 柳生正名 東京
471号 38 屯する君らの自由星月夜 安井昌子 東京

472号 1 稀の青空昼火事に立ち止まる 伊藤はる子 秋田
472号 2 村の僧乾布摩擦の白きこと 稲葉千尋 三重
472号 3 自分らしさの自分が見えぬ夜の吹雪 上田久雄 石川
472号 4 辻褄が合わなくなるとサングラス 大西幸子 愛媛
472号 5 死に給ひゆく我が母の初明り 岡崎正宏 埼玉
472号 6 生きてやろ枯木の山が好きだから 岡崎万寿 東京
472号 7 冬眠の蛇より細くなりし指 奥山和子 三重
472号 8 河原鶸キリキリコロコロとあり 加藤青女 埼玉
472号 9 初雪や夜叉を彫るらし静かな刃 門脇章子 大阪
472号 10 陽溜りの猫どうみても写楽の鼻 柄沢あいこ 神奈川
472号 11 「勝ってくるぞ」と峠に並ぶ雪の墓碑 城至げんご 石川
472号 12 雪無限亡骸のごと寝乱れず  北村美都子 新潟
472号 13 吊し柿猫のポーズで肩ほぐす 木村清子 埼玉
472号 14 素っぴんの我に武器あり大マスク 久保恵美子 福井
472号 15 凍土掘る如何にして斯く人は狂いし 栗村 九 千葉
472号 16 あたたかや犬に草の実わたしに句 河野志保 奈良
472号 17 ひとりぼっちの夕星沖に鯨群る 坂本春子 神奈川
472号 18 シマフクロウまだまだあくが強い祖父 佐々木宏 北海道
472号 19 クリオネと語る精神科医の日曜日 重松敬子 兵庫
472号 20 七種や飼育係のごと刻む 柴田和江 愛知
472号 21 冬晴や追伸のごと港が見える 柴田美代子 埼玉
472号 22 枯蓮に脈絡のありほだされり 芹沢愛子 東京
472号 23 蕩揺す圧倒的に鹿が居て 十河宣洋 北海道
472号 24 はらからや分水嶺の蝉時雨 高井元一 埼玉
472号 25 雪国に生きてたまげるけさの雪 竪阿彌放心 秋田
472号 26 ナマハゲの草鞋を作りあとは酒 館岡誠二 秋田
472号 27 どんと火に夫婦の古しラブレター 中島伊都 栃木
472号 28 ぽつんと母こつんと眼鏡置いて冬 中村 晋 福島
472号 29 押し花のように閑なり睦月なり 中村孝史 宮城
472号 30 猪の眼に寒満月の怒濤のみ  野崎憲子 香川
472号 31 あらゆる白の乾く霧島おろしかな 服部修一 宮崎
472号 32 陽の限り落葉踏みしめ生きめやも  疋田恵美子 宮崎
472号 33 日雀つっぴん鮮明なたより来る 広瀬輝子 栃木
472号 34 鳥は塒に人は煮凝へと帰る 堀之内長一 埼玉
472号 35 釣瓶落し敬語なんかで喋らない 茂里美絵 埼玉
472号 36 流星群竜頭止まるまで巻いて 矢野千代子 兵庫
472号 37 頑な無神論者に穴まどい 山本キミ子 富山
472号 38 棒鱈のガチガチ人体標本図 山本昌子 京都
472号 39 二階から八百屋の上の初日拝む 若林卓宣 三重

473号 1 黒猫の梁に撓うも夜神楽や 飯土井志乃 滋賀
473号 2 湯たんぽも母も単純明快なり 伊佐利子 福岡
473号 3 紅葉狩り鹿や猪食ふ人も 内野 修 埼玉
473号 4 牡蠣啜るひとりは遠くばかり見て 榎本祐子 兵庫
473号 5 旅籠船津屋猪に杉戸を壊されぬ 大西健司 三重
473号 6 雪掻きが終る雪雲迫り来る 刈田光児 新潟
473号 7 人間は蓮華草ほど児がまろぶ 北川邦陽 愛知
473号 8 光陰もレインコートも狐臭して 九堂夜想 神奈川
473号 9 霜の夜鳥獣戯画のゆるき吃音 小池弘子 富山
473号 10 墓洗う母の温もる堅さです 後藤岑生 青森
473号 11 博多も雪ホームにうすい人間たち 鮫島康子 福岡
473号 12 猪狩りのむくいぞ回復せぬ膝は 品川 暾 山口
473号 13 初寝覚怒らず転ばず地獄耳 篠田悦子 埼玉
473号 14 乱れ麻のような毎日神渡し 下山田禮子 埼玉
473号 15 なごり雪ならで降灰無粋です 釈迦郡ひろみ 宮崎
473号 16 一番長い影連れ娘の家へゆく 杉崎ちから 愛知
473号 17 病む妻に管のいろいろ冬深し 須藤火珠男 栃木
473号 18 にわとりより静かに座り春を待つ 瀬川泰之 長崎
473号 19 のめり込む雪庇あり家族あり 瀧村道子 岐阜
473号 20 机の上きれいに雪を待つ子かな 武田美代 栃木
473号 21 鉄の軌道鉄の心臓末黒野に 田中亜美 神奈川
473号 22 雪丈余掘って婆待つ春よ来い 田村勝美 新潟
473号 23 春愁へ息子のオナラ乱入す 峠谷清広 東京
473号 24 秋黴雨人の気配を淵という 遠山郁好 東京
473号 25 大勢とはこんな音かや蜆汁 中島伊都 栃木
473号 26 真っ当な花の生命を差し上げる 根岸暁子 群馬
473号 27 初音あり線刻の陰凝灰岩に 野田信章 熊本
473号 28 如月や兄の土鈴の在りどころ 平塚幸子 神奈川
473号 29 雪の陰影清しや肩甲骨のあたり 藤野 武 東京
473号 30 ブリザード昂ぶりは黒人霊歌 ホーン喜美子 カナダ
473号 31 山あいに住み馴れ風呂吹きをふうふう 本田ひとみ 福島
473号 32 川底の真冬の空のちからかな 前田典子 三重
473号 33 女子駅伝三千院の大根煮 松本ヒサ子 愛媛
473号 34 冬紅葉一本の雨のような髪 三井絹枝 東京
473号 35 水平線も君も潔癖花菜畑 森 美樹 千葉
473号 36 ここにいることが遠景梅咲けり 守谷茂泰 東京
473号 37 恋猫の大きな方を銃撃す 山内崇弘 愛媛
473号 38 寒紅の明るき妻に日差し差す 山岡敬典 岡山
473号 39 一面雪脛に傷もつ眩しさよ 山本キミ子 富山

474号 1 我がふるさと活断層に種を蒔く 石上邦子 愛知
474号 2 春日影不在のように座す少年 宇川啓子 福島
474号 3 万愚節中古洗濯機を買へり 江井芳郎 福島
474号 4 鳥雲に地に残るもの蹲る 榎本祐子 兵庫
474号 5 雲雀野の傾きかげんを君に送る 大野泰司 愛媛
474号 6 青虫がだんだん夫に似てこまる 奥山和子 三重
474号 7 生きている春雨は体温のよう 狩野康子 宮城
474号 8 啓蟄や向こう三軒猫屋敷 河原珠美 神奈川
474号 9 連翹や馬のおじぎの柔らかい 北村歌子 埼玉
474号 10 水餅みたいに娘より夜更かし 木下ようこ 神奈川
474号 11 百千鳥病人握手を離さない 木村清子 埼玉
474号 12 素知らぬ態に春の雲ゆきたねをさん 小林一枝 東京
474号 13 海市否訃の使者として丘に漁船 小林まさる 群馬
474号 14 くさめを殺す手のひら大の鰈を買い 坂本蒼郷 北海道
474号 15 掃除せし耳がからつぽくるみの実 坂本みどり 埼玉
474号 16 囀りやこの只管を忘れかけて 篠田悦子 埼玉
474号 17 養花天句読点なき暮しぶり 下山田禮子 埼玉
474号 18 枯れの中ふと水音のして父よ 白石司子 愛媛
474号 19 人に死も家路もなくて凍て返る 末岡 睦 北海道
474号 20 痩せた蛇蛙見ている被災の地 鈴木八駛郎 北海道
474号 21 存分に水照りの埴輪諸葛菜 関田誓炎 埼玉
474号 22 夜はすぐ明け大きなマスクで顔おおう 芹沢愛子 東京
474号 23 山茱萸眩し老い込むなんて不似合な 高橋一枝 埼玉
474号 24 てのひらの浅瀬ここより雛流す 田口満代子 千葉
474号 25 炉を塞ぐ妻の大きな尻であり 竪阿彌放心 秋田
474号 26 春来れば雨・晴・雪・晴・芽のうるむ 谷 佳紀 神奈川
474号 27 乳牛の乳凹み垂れ春分かな 董 振華 中国
474号 28 東京やクーデターみたいに冴え返る 峠谷清広 東京
474号 29 春山のくっきり濃く見ゆ地震以後 中村孝史 宮城
474号 30 笑うたなと風船売りの振り返る  野崎憲子 香川
474号 31 鶯あまりに近しよ老僧赤面す 野田信章 熊本
474号 32 鳥帰る水あれば水はげまして 平田 薫 神奈川
474号 33 ピクニックに行くよう畑の秘密基地 平野八重子 愛媛
474号 34 人も馬も船も白梅も消えた 本田ひとみ 埼玉
474号 35 陽のように嘘のほしい日の菜の花 三井絹枝 東京
474号 36 たんぽぽと小声で言うてひとりなり 森内定子 福井
474号 37 見えぬとは恐ろし白梅に微香 山田哲夫 愛知
474号 38 春愁や路地黝くすニートたち 山本キミ子 富山
474号 39 荒磯にオルガン三月十一日 柚木紀子 長野

475号 1 漂泊や山藤にただ染まりたし 安藤和子 愛媛
475号 2 萍の向こうも萍寝そびれて 市野記余子 埼玉
475号 3 父を照らす山茱萸大樹吾に距離 伊藤 和 東京
475号 4 春の波踏んで哀しい尿意かな 榎本祐子 兵庫
475号 5 懐かしい日の丸飯や避難われ 江井芳郎 福島
475号 6 若葉光常のいとなみさがしてよ 大内冨美子 福島
475号 7 雪解川赤子を背に濯ぐ母 尾崎暢子 東京
475号 8 ジャスミン闌けてわが息の荒らぶるなり 加地英子 愛媛
475号 9 四股踏んで田に下りる母五月晴 加藤昭子 秋田
475号 10 星朧声重なるよう波がしら 狩野康子 宮城
475号 11 はんざきを誰も裂こうとはしない 河西志帆 長野
475号 12 陽炎える梯子が空の芽となるまで 京武久美 宮城
475号 13 被災児の挿頭であろう豆の花 久保智恵 兵庫
475号 14 引鶴や津波のあとの水照りのみ 黒岡洋子 東京
475号 15 ちちははの過ぎたるこの世夏落葉 清水喜美子 茨城
475号 16 きびきびと花蜂諸君朝日好き 須藤火珠男 栃木
475号 17 秩父札所蝌蚪を狸が嗅ぎゆきし 関田誓炎 埼玉
475号 18 米作れぬ被災者見てる吾れ田打つ 高橋 喬 新潟
475号 19 大阪とか大阪的とか雪の日も 竹内義聿 大阪
475号 20 鉱物の名を呟きて闘魚見る  田中亜美 神奈川
475号 21  原発被災の地
牛に塩盛りて別れの立夏かな 
田村蒲公英 埼玉
475号 22 牡丹まで歩いてきたり夕仕度 土田武人 神奈川
475号 23 酔った俺に執事みたいな冷蔵庫 峠谷清広 東京
475号 24 砂時計逆さに置けば明け易し 永井 幸 福井
475号 25 陽炎や被爆者失語者たる我ら 中村 晋 福島
475号 26 春の雷たまたま隣り合つただけ 野崎憲子 香川
475号 27 椅子に背があり運河に朱夏の流れ 浜 芳女 群馬
475号 28 桜しべ降る錆びしもの並べてやすけし 藤野 武 東京
475号 29 五月来る大粒の雨牛飼いに 堀之内長一 埼玉
475号 30 あわてざる風格に蛇すすみゆく 前田典子 三重
475号 31 豆ご飯あなたとの昼深くする 丸木美津子 愛媛
475号 32  癌手術
食道消えああにんげんという春愁
宮川としを 東京
475号 33 葉音からはじまる手紙如月は 宮崎斗士 東京
475号 34 葱刻む刃先を海へ手術待つ 武藤暁美 秋田
475号 35 田水張る馬のかたちに雲が行き  森央ミモザ 長野
475号 36 夏痩の我に窶れし母ありき  諸 寿子 東京
475号 37 巣箱ありシェフの気まぐれサラダあり 柳生正名 東京
475号 38 水底の蝌蚪の闇ですひとり旅 横地かをる 愛知
475号 39 草を刈る音聞いてゐる無人駅 若林卓宣 三重

476号 1 樹に凭れ寂しげ父の日の男 石上邦子 愛知
476号 2 水羊羮いつか貧しき臀部かな 石川まゆみ 広島
476号 3 嘘泣きの子役ならべて驟雨かも 市原正直 東京
476号 4 更紗木蓮少ししわある顔曇る 井手都子 北海道
476号 5 夜更かしの空気集まる山法師 伊藤淳子 東京
476号 6 虎杖は鍵師の堅さぽんと鳴る 稲葉千尋 三重
476号 7 老僧のさがりし肩に極楽鳥 扇谷千恵子 富山
476号 8 赤蛙人間も絶滅危惧種かな 岡崎万寿 東京
476号 9 膝に水かたつむり固唾のみおり 加古和子 東京
476号 10 人間怖き日は白玉に銀の匙 門脇章子 大阪
476号 11 緑夜かな忘却という大きな巣 河原珠美 神奈川
476号 12 風花や地には柩のなき葬り 小長井和子 神奈川
476号 13 震禍の友に春霞など言はず問はず 小林一枝 東京
476号 14 向日葵をたっぷり植えて覚悟かな 駒崎美津子 埼玉
476号 15  東日本大震災
一生涯を埋めし瓦礫に春の海
篠田悦子 埼玉
476号 16  東日本大震災
朴匂う仮設の厠山裾に
末岡 睦 北海道
476号 17 都会てふ水風呂に一人紛れる 鈴木孝信 埼玉
476号 18 子の恋を父のみ知らず桜桃忌 鈴木修一 秋田
476号 19 花茣蓙に神と神々昏れゆけり 田中亜美 神奈川
476号 20 愛鳥週間線量計を渡される 田中雅秀 福島
476号 21 地震後は歩きが早くなり菫 谷 佳紀 神奈川
476号 22 自画像に厚い化粧す麦の秋 田沼美智子 千葉
476号 23 花おうち雲が広島なでてゆく 月野ぽぽな アメリカ
476号 24 鶏にまぶたまなじり南風吹く 津波古 江津 神奈川
476号 25 野を渡りゆく律儀者天の川 董 振華 中国
476号 26 いくたりか陰も映して田を植える 中島偉夫 宮崎
476号 27 蕨一本赤子に持たす春だよ 中島まゆみ 埼玉
476号 28 花枸橘ははに戦意のありしこと 野田信章 熊本
476号 29 遠耳はまくなぎのせいさ列車ゆく 長谷川育子 新潟
476号 30 余震の村なまあたたかき袋角 日高 玲 東京
476号 31 あまたなる言葉下界の六月ぞ 平塚幸子 神奈川
476号 32 木いちごの花の斜面や被曝せり 本田ひとみ 福島
476号 33 薔薇の門ひとりが好きといふ虚実 丸山マサ江 群馬
476号 34 朧月皆細目して横になる 三井絹枝 東京
476号 35 あめんぼや「光」と書いて黙っている 宮崎斗士 東京
476号 36 雨乞いや父の眉毛を切りそろえ 武藤暁美 秋田
476号 37 生きている皮膚は湿りて行行子 茂里美絵 埼玉
476号 38 夜爪切る母に母なき螢籠 柳生正名 東京
476号 39 十薬や二人は緩い坂が好き  吉川真実 東京

477号 1 星宿や頬打つしゃぼん流れ玉 阿保恭子 東京
477号 2 蛇泳ぐかな人声のくぐもって 伊藤淳子 東京
477号 3 瓦礫ばかりの干潟見据える夏鴉 井上湖子 群馬
477号 4 東北は無口重ねて花は葉に 宇川啓子 福島
477号 5 額の花耳遠くして白し白し 内田利之 兵庫
477号 6 無惨やな放射能の椎茸捨つ 江井芳郎 福島
477号 7 蚕豆の物語する小部屋あり 榎本祐子 兵庫
477号 8 心ひとつが屈葬のごと浸る新緑  大沢輝一 石川
477号 9 少年僧清く木耳採りにけり 大谷昌弘 千葉
477号 10 朝顔や光の中を母逝きぬ 岡崎正宏 埼玉
477号 11 水底の見えない川へ蛇流す 奥山和子 三重
477号 12 少女たちよく頷いて白い滝 小野裕三 神奈川
477号 13 真向かえばあふるる母郷夏怒濤 河原珠美 神奈川
477号 14 さるすべり世代交代静かなり 北村歌子 埼玉
477号 15 扇風機八方美人を通すなり 熊坂 淑 神奈川
477号 16 踏青や詩人になれる樹に凭れ 黒岡洋子 東京
477号 17 時の日のトイレにありし青い空 こしのゆみこ 東京
477号 18 快い言葉遊びや麦星や 小原恵子 埼玉
477号 19 花は紅柳は緑被曝せり 小柳慶三郎 群馬
477号 20 夏雲のかたまり父ののどぼとけ 佐孝石画 福井
477号 21 婆さんが春の熊見てにっこりす 佐々木昇一 秋田
477号 22 霾や地球に人が居なくても 篠田悦子 埼玉
477号 23 森林浴孫の一人にゲルマンの血 菅原和子 東京
477号 24 海を持つ惑星我は青き踏む 鱸 久子 埼玉
477号 25 死の床でさんきゅうと母白鳥座 竹田昭江 東京
477号 26 病めるときも富めるときも萍 田中亜美 神奈川
477号 27 風船玉膨らむほどに青地球 田中正能 神奈川
477号 28 花うつぎ愛情という非対称  月野ぽぽな アメリカ
477号 29 フクシマよ夭夭と桃棄てられる 中村 晋 福島
477号 30 影というもの濃くなってから歩く 中村加津彦 長野
477号 31 老いること知らず大暑の日本海 中村祐子 秋田
477号 32 滴りのたまゆら鳥の形せり 野崎憲子 香川
477号 33 なんじゃもんじゃ守武千句の地なりけり 野田信章 熊本
477号 34 水で描く石蹴りの円星祭 平塚幸子 神奈川
477号 35 青水無月枕にたまる夜の体温 藤盛和子 秋田
477号 36 黒牛に下弦の月のにほひかな 前田典子 三重
477号 37 緑陰や八方美人のまま痩せて 森井栄子 東京
477号 38 野水仙夜がひびいて眠れない 安井昌子 東京
477号 39 おいらん草ぽうっと火照るご老体 山本キミ子 富山

478号 1 蛇の衣手にシロアリの駆除終わる 今福和子 鹿児島
478号 2 熱帯夜仮設隣家より木魚 江井芳郎 福島
478号 3 萍を片寄せ流離はじまりぬ 榎本祐子 兵庫
478号 4 夢や海嘯の盗汗や眼前に青芒 大島昌継 福島
478号 5 蓮開く完全無欠というかたち 加藤昭子 秋田
478号 6 みほとけに厨子のふしあな天の川 門脇章子 大阪
478号 7 筆談は純なる音色青葡萄 狩野康子 宮城
478号 8 驟雨きて乳房あるかぎりゆれる 岸本マチ子 沖縄
478号 9 死にし人より死ぬ人大事夏落葉 北川邦陽 愛知
478号 10 山道の下りは苦手二人静 木村清子 埼玉
478号 11 野遊びのうしろの文芸そっけなし 京武久美 宮城
478号 12 飯は饐えるし鶏は朗らに逃げ出すし 小池弘子 富山
478号 13 髪洗う闇より生れる地震かな 五島高資 栃木
478号 14 丘から海睨む破船や葉鶏頭 小林まさる 群馬
478号 15 時に嘘時々めまい梅雨のバラ 近藤好子 愛知
478号 16 滝があるよと少女ふりむく行きなさい 斉木ギニ 千葉
478号 17 ヒロシマ夏真水にしんと生きものたち 篠田悦子 埼玉
478号 18 知性とは曲がりやすくて雲の峰 下山田禮子 埼玉
478号 19 樹の陰に座す青年に敗戦日 鈴木 誠 愛知
478号 20 きのこ雲は造語なりけり夾竹桃 竹田昭江 東京
478号 21 私淑とは流れに溶ける青葉騒  武田美代 栃木
478号 22 紙鶴の紙の筋目や夏至の星 田中亜美 神奈川
478号 23 すいれん鉢に唐の女人のひらひらと 田中昌子 京都
478号 24 人の上に原発つくる合歓の花 谷 佳紀 神奈川
478号 25 青柿のかくまで高き瓦礫かな 津波古 江津 神奈川
478号 26 驟雨待つごとみどり児の眸を覗く 遠山郁好 東京
478号 27 見納めと決めし開聞岳日雷  長野祐子 東京
478号 28 身辺に鈍器などなし夏の家 中村裕子 秋田
478号 29 蠍座の尾が入りけり燧灘 野崎憲子 香川
478号 30 大根蒔く尺貫法で畝立てて 長谷川育子 新潟
478号 31 雲の峰赤松の気をいただきぬ  疋田恵美子 宮崎
478号 32 夜振火よほんとうに皆いなくなる 藤野 武 東京
478号 33 波郷に焦土われらに青き荒野かな 堀之内長一 埼玉
478号 34 人の子も仔猫も空気被爆かな マブソン青眼 長野
478号 35 老いしまま螢に解けるいのちかな 三井絹枝 東京
478号 36 日盛りの牛撫でて藁測定員 武藤鉦二 秋田
478号 37 夫在りき夫の死ありき遠花火 村田厚子 広島
478号 38 老樵声かけ帰る浮巣かな 諸 寿子 東京
478号 39 寝てばかりの帰省子に窓開け放つ 山本昌子 京都

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