「金子兜太選 海程秀句」鑑賞
2017年目次 |
鑑賞した句を順に並べてあります。 各号ごとに観賞した順番は〈あいうえお〉順となっています |
底 | ||
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句
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作者名
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地域 |
529号 1 | 激辛のカレー孤食や秋の蠅 | 荒井まり子 | 京都 |
529号 2 | 八月や何かを忘れぬための黙 | 安藤和子 | 愛媛 |
529号 3 | 怠慢を月に揶揄され賢治読む | 石川和子 | 栃木 |
529号 4 | 鳥渡る夜の落葉樹林の上 | 石川義倫 | 静岡 |
529号 5 | 月を愛ず付録のように妻を愛で | 伊藤 幸 | 熊本 |
529号 6 | さわさわとこおろぎの寄る枕かな | 榎本祐子 | 兵庫 |
529号 7 | 過疎ですが柿の照葉の狂うほど | 加藤昭子 | 秋田 |
529号 8 | 素足に風うつ伏せ叱る母の亡く | 黍野 恵 | 和歌山 |
529号 9 | さすらうや言葉の痒き秋津軽 | 京武久美 | 宮城 |
529号 10 | 昼月や蟷螂噛み合う哀しい音 | 小池弘子 | 富山 |
529号 11 | 稲架日和村人己が影を干し | 児玉悦子 | 神奈川 |
529号 12 | 草に寝て鹿の声よりかなしきもの | 小西瞬夏 | 岡山 |
529号 13 | 木の実踏む音を善しとし人に会う | 小林寿美子 | 滋賀 |
529号 14 | 都市からの電車映して田水張る | 坂本久刀 | 兵庫 |
529号 15 | わが墓や月光降ればそれでよし | 佐々木香代子 | 秋田 |
529号 16 | 蜘蛛の巣のはびこる階段老母一人 | 佐藤美紀江 | 千葉 |
529号 17 | 龍淵に大地に人語あふれおり | 白石司子 | 愛知 |
529号 18 | 荒神輿太平洋の風を受く | 菅原春み | 静岡 |
529号 19 | 喜寿過ぎたり指頭に蝉のやわらかく | 関田誓炎 | 埼玉 |
529号 20 | 手を切ったぞうろうろするな穴まどい | 瀬古多水 | 三重 |
529号 21 | てこぼこの顔でこぼこの日焼け止め | 高階時子 | 秋田 |
529号 22 | 青鹿に青嶺国なき人ら充ち | 高木一惠 | 千葉 |
529号 23 | 稲光り分厚き聖書に突き刺さり | 辻 升人 | 東京 |
529号 24 | 萩の声累々と魄ながれゆく | 長尾向季 | 滋賀 |
529号 25 | 後の月漱石の妻好きになる | 梨本洋子 | 長野 |
529号 26 | アフリカの乳房に流れ夏の雨 | 夏谷胡桃 | 岩手 |
529号 27 | 甘くならない葡萄のように中年過ぐ | 新野祐子 | 山形 |
529号 28 | 蛇穴に入る肺活量をふやしたか | 丹生千賀 | 秋田 |
529号 29 | 青鬼灯板碑の文字のかすかなる | 野原瑤子 | 神奈川 |
529号 30 | 曼珠沙華夜は身の内流るるも | 疋田恵美子 | 宮崎 |
529号 31 | 花ぐもり腿掻くスタート前ランナー | 北條貢司 | 北海道 |
529号 32 | 沖縄の海塗ればクレヨン折れにけり | 堀真知子 | 愛知 |
529号 33 | 終活を語りて桃を食みゐたり | 前田典子 | 三重 |
529号 34 | 鳥のようと文字を誉められ冬鳥に | 三井絹枝 | 東京 |
529号 35 | 鬼火の付箋つけてく空家調査員 | 三好つや子 | 大阪 |
529号 36 | 新潟日報に包まれ届く新生姜 | 森 鈴 | 埼玉 |
529号 37 | 花に水母を苛めた夏終る | 柳 ヒ文 | 神奈川 |
529号 38 | 墓まいり誘えば老母顔光る | 吉村伊紅美 | 岐阜 |
529号 39 | 良夜なり壊れてしまった姉を抱く | 若森京子 | 兵庫 |
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530号 1 | 目つむればわが海鳴りぬ冬あたたか | 阿保恭子 | 東京 |
530号 2 | 惜しみたく無き年遅々と苛めつ子 | 伊佐利子 | 福岡 |
530号 3 | ふるさとは長き不在の晩稲かな | 市原正直 | 東京 |
530号 4 | 餓死とう戦死遥か雨林に蛍の樹 | 伊藤 巌 | 東京 |
530号 5 | 熊出たと老いの野性の鼻光る | 狩野康子 | 宮城 |
530号 6 | 脚注の文字ほろほろと銀木犀 | 北村美都子 | 新潟 |
530号 7 | 大家族の母の寸胴大南瓜 | 楠井 収 | 千葉 |
530号 8 | 目纏いがことにぱちぱちする週末 | 久保智恵 | 兵庫 |
530号 9 | 着替えてもまだどんぐりの音のする | こしのゆみこ | 東京 |
530号 10 | 口細く開けいちはつの白さ言ふ | 小西瞬夏 | 岡山 |
530号 11 | コスモスや親娘で語る店仕舞い | 小林まさる | 群馬 |
530号 12 | 紅葉且つ散る薄目の人の花眼かな | 小原恵子 | 埼玉 |
530号 13 | 小鳥来る見ることのないそのむくろ | 小宮豊和 | 群馬 |
530号 14 | 鍬ひたす灌漑ダム湖ひた澄みて | 坂本久刀 | 兵庫 |
530号 15 | 雪虫のちょっと低めのふるさとや | 笹岡素子 | 北海道 |
530号 16 | 右耳にふくろうのいる真昼かな | 白石司子 | 愛媛 |
530号 17 | 梨むくや冷えてしんみり夜の二人 | 鈴木修一 | 秋田 |
530号 18 | 鶸や鶲や朝のなごりの椅子たたむ | 田口満代子 | 千葉 |