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薬の処方をめぐる精神科医との面接で自分自身の力を取り戻すために
By Patricia Deegan, Ph.D.

薬の処方のため精神科医と会うと、たいてい自分が無力に感じられてしまうことになります。診察はたいてい15分から20分ほどです。診察の間患者は機械的な質問に答え、自分の生活の質を劇的に変えてしまう強力な薬の処方箋を受けとりさっさと帰ればいいとされています。精神科医は圧倒的に力があり、私たちはおとなしくて、質問もせず、ひたすらされるがままの患者であるのが当然とというのがこうした診察場面のあり方です。そしてきちんと薬を飲んでいるということだけをほめられるか、きちんと飲んでいないことをしかられたり罰せられたりするのです。精神科医との診察場面での力関係のアンバランス正していくための幾多の戦略を私は何年もかけて開発してきました。そうした戦略について皆さんにご説明したいと思います。

戦略1 薬について今までとはちがった見かたをする学習をしましょう
1.魔法の薬は存在しません
 回復は大仕事です。回復そのものを自分に代わってしてくれる薬は存在しません。ただ座り込んで薬がよくしてくれるのを待っているだけでは、決してよくなることはありません。辛抱強く薬が治してくれるのを待っていたら、私はおそらく命令されるがままに薬を飲み込むふがいない慢性患者になり、決して回復はありえないでしょう。回復とは自分の直面している問題や障害に対して自ら積極的な立場をとるということを意味します。

2.薬は一つの手段に過ぎません
向精神薬は私たちが回復するために役に立つさまざまな手段の一つに過ぎません。運動、正しい食生活、アルコールや麻薬を避けること、愛情、独立した暮らし、芸術、自然、祈り、仕事、そして無数の対応策は薬同様私の回復には重要です。

3.服薬は道徳的問題ではありません
服薬することは私の弱さであるとかすでに服薬をしていない人たちは私より立派な人たちなのだと考えていたときもあります。でも私は今はそう考えません。回復するのに、正しいも間違いもありません。可能な限り最良の人間になるためのどんなやりかたであろうと自分の面倒をどうやってみていくかだけが問題です。私は服薬している時期もありますし、そうでない時期もあります。それは私自身の個人的な選択の問題です。

4.薬の使い方を学びましょう
 今日私たちは単に服薬しているというのではないのです。服薬するということはされるがままの受動的なあり方をも意味するのです。そうではなくて私は自分の回復過程の一部として薬を使うことを学んできました。回復の過程で薬を使うことを学ぶというのは、薬を試したり、減らしたり、または薬をやめたりすることを慎重に計画し検証していくということを意味します。

5.常に薬と同時にその他の対応策を使いましょう
 症状と苦痛を楽にできる薬以外の対応策はたくさんあります。幻聴、妄想、憂鬱、強迫的考え、自傷、フラッシュバックなどなどに対処する戦術を時間を掛けて学びましょう。私は服薬量を減らしあるいは実際に薬が使わないで済ますのに役立つ薬以外のさまざまな対処方法を身をもって試しながら見つけてきました。

6.薬について勉強しましょう
 精神科の薬について使われる難しい言葉や専門用語を前にして私たちはすくんでしまうことがよくあります。しかしそうではあっても薬に関しては、信頼できて理解しやすい情報を手に入れる方法もたくさんあり。私はそれを使っています。私は精神科医が処方している薬についてはかかっている精神科医に慎重にいろいろと質問します。しかしこうした情報では不十分なことがよくあります。一番重要な情報源は服薬しているほかの人と話すことです。おそらく薬剤師に聞くのがもっとも安上がりで簡単な方法かもしれません。薬剤師はその薬がどうのような効果があるとされているのか、危険な副作用は何か、薬物同士の相互作用として予測されているものは何か、などといった情報が書かれてある紙をくれるでしょう。
(訳注 日本の場合、とりわけ精神科では医師による説明がなされていないため、薬剤師も向精神薬については説明を躊躇する場合が多いようです。以下原文の記述はアメリカにおける情報源の説明なので省略します)。

戦略2 自分自身について違ったとらえ方をすることを学びましょう
1.自分自身を信じましょう
 自分自身については主治医よりも自分がはるかによく知っているのです。自分自身と自分の認識を信じることからはじめましょう。自分の感覚、考えあるいは認識が狂っているのだと告げられて以来、私にも自分の認識を信頼しがたいときもありました。自分自身を再び信じることを学んでいくことは回復の一過程です。私がもっとも狂っているさなかですら、私の体験のすべてについては信じるべき核がありました。不愉快な薬の副作用を体験しているならば、たとえば、無気力感、便秘、性欲の減退、二重視などなど、自分の認識を信じなさい。そんな副作用は全部あなたの頭の中にあるだけなどと他人に言わせておいてはいけません。薬剤師あるいはその薬を使っていた友人に聞いてみましょう。あるいは本やインターネットで調べてみましょう。そうした不快な薬の作用を体験しているのがあなただけでないことはよくあります。

2.回復というのはあなた自身の力による回復です
 「薬のおかげでよくなった」ということをよくききます。でも化学薬品だけがすべての回復をもたらしたと信じてはいけません。薬が役立つと考えていたとしても、回復しそしてその状態を維持していくために自分がしてきたことをすべて見つめてごらんなさい。薬は回復へのドアをあけてくれることもあります。しかしそのドアを通り抜け新しい人生を築き上げられるのは勇敢な人間だけです。

3.あなたの疑問こそが重要です
 一定期間向精神薬を服薬している人は誰でも以下の重要な疑問をもっているのではないでしょうか。
* こうした薬をやめたらいったいどうなるのか?
* 「本当の私」というのはいったいどんなものだろうか?
* 服薬は意味があるんだろうか?
* 服薬の代わりに症状を楽にするために学べる薬以外の方法というのはいったいあるのだろうか?
* ずっと服薬しなければならないのだろうか?
* 遅発性ジスキネジアがあるのに、それが服薬している向精神薬のために隠れてしまっていることはあるだろうか?
* 服薬している薬に関して長期服用の影響についての研究はない。危険だろうか? 長期服用の影響についてどうなのか分からないのに危険を冒していいだろうか、私はそれでいいとして服薬しているのか?
* 服薬する薬に依存していないだろうか?
* 長期の服薬は記憶障害や認識能力の減退という結果はもたらさないだろうか?
こうした疑問をもつことは全く「狂っている」ことではありません。しかし残念なことにこれらの疑問が出るのは当然だと考えている精神保健専門家はほとんどいません。回復に向けたシステムであるなら薬物解毒のセンターがあるべきですし、これらの重要な疑問を探求するために合理的に薬をやめる計画を立てるためのさまざまな支援が準備されるべきです。

戦略3 精神科医について違った考え方をしてみましょう
1.私たち患者自身の利益をかえりみる暇がない精神科医が多い
 私たちは精神科医というのは自分の患者の治療歴について完璧な知識をもっているものだと誤解しています。マネイジドケア(訳注:医療費を支払う保険会社がさまざまな形で医療内容を決めたり制限したりする米国のシステム)のご時世では精神科医はどんどん患者を増やして一人一人の患者に使える時間はどんどん少なくなってきています。患者に薬を処方するにあたってカルテを全部読むことなどしない精神科医がほとんどです。仮にカルテを全部読む医者であっても、あなたが何年間にもわたり試してきたさまざまな薬と薬の組み合わせをすべて確認し、そしてそうした薬の結果がどうであるかを知ろうとする医者はほとんどいません。こうしたことを考えると、どの症状のためにどれだけの量そしてどれだけの期間、どんな薬を試してきたか自分でカルテを持っていることはとても重要だと私は考えるようになりました。私は前に試したことがあるかどうか確認するためだけに常に自分の記録をチェックしています。私は効果がないばかりではなく有害ですらある薬を試してみる気はしません。

2.精神科医は対立した利害関係におかれていることがよくあります
 精神科医は私たち個人の利益に奉仕していると考えていれば、安心できます。でもこうした仮説を信じるのはあまりに素朴すぎます。対立する利害関係の中で臨床の倫理が引き裂かれているとこぼす精神科医はたくさんいます。とりわけマネイジドケア体制の下での精神科医にかかっているなら、その医者がどの資本の経営下のサービスで働いているのか確認しておくことは大切だと私は考えます。言い換えれば、高い薬ではなくて一定の種類の薬を処方するようマネイジドケアの会社から支払いをチェックされている精神科医もいるということです。もしそうなら私たちはそのチェックの内容を知らなければなりません。

3.精神科医も間違えることはあります
 診断、投薬、あるいは電気ショックなど他の身体的な治療に関してセカンドオピニオンを求めることをすすめない精神科医はたくさんいます。しかしある時期から私はセカンドオピニオンを求めることは大切だと考えるようになりました。マネイジドケアの下でもあるいはメディケイドやメディケア(高齢者や貧困者に対する福祉的医療)を受けていても、重要だと思うことに関してはセカンドオピニオンを取ることは可能です。電話をかけまくらねばならないし、権利行使のために友人の助けを求めなければならないほどわずらわしい手続きが必要ですが、できることですしそしてやるだけの価値のあることです。

4.精神科医はすべてのことに関する専門家ではありません
 精神科医のほとんどは生物学の優位を信じています。ほとんどは機械的物質的世界観の持ち主です。したがって、あなたが精神病と診断されていて、霊的な法悦体験、神秘体験、超能力あるいは同様の体験について精神科医に話せば、精神科医はそうした体験は狂気あるいは病状と受け止めるでしょう。
 自分自身の力を取り戻すひとつのやりかたは、精神科医に何を話して共有し、何は話さずに秘密にしておくかを慎重に選別して、自覚的にコントロールしておくことです。
 精神科医との面接は告白である必要はないのです! 神秘的体験についてはそうしたことの分かる神秘主義者と話しなさい。テレパシーその他については超能力者と話しなさい。

戦略4 精神科医と面接する準備をしましょう
1.面接のたびに自分の話す議題を決めましょう
 精神科医がすることやしていないことに対して単に反応するのではなくて、精神科医と面接するために自分自身の議題を準備しておくことはとても大切だということが分かってきました。議題を準備するためには自分自身の今現在の目的が何かを決めることが重要です。薬を飲み始めること、薬を変えること、薬を減らす計画、薬をやめる計画、遅発性ジスキネジアのチェック、薬の副作用の解決法、あるいは試している薬の効果の報告、などが議題としては考えられます。可能であれば、それぞれの面接のたびにひとつの獲得目標を立てましょう。

2.自分の考えと心配事を整理してみましょう
 精神科医と面接する前に準備しておくことはとても大切だということもまた分かってきました。私は自分の考えを整理し書き留めておくための書式を開発しました。この面接の準備のためのガイドはナショナル・エンパワーメント・センターで入手できます。

3.問題を具体的に把握しましょう
 自分の心配していることに関して具体的に把握できれば、精神科医との面接を自分たちのものとして活用できます。たとえば、精神科医が、「新しい薬の効き目はいかがですか」という質問で面接をはじめたとしましょう。これに対してあなたが不明確に「ええ、少しはよくなったと思います」と答えた場合と、そうではなくて以下のように答えることができた場合を比べて見ましょう。「ええ、この薬を試す前は、うつ状態がひどくて、7日間仕事を休み、14日間寝たきりで3パウンドやせました。でもこの薬をはじめて新しい対処の仕方をするようになったこの2ヶ月間は仕事を休んだのは2日間だけで、体重ももとに戻りましたし、部屋に閉じこもっていたのは4日間だけです」。どちらが自分の力を取り戻していると感じますか。このように問題を具体的に把握すれば、自分の人生を支配する権威者としてではなくて共に問題を探求する者として精神科医を位置付け、私たち自身が自分の人生の運転席に堂々と座ることができます。このように問題を具体化して把握することは難しいと思うかもしれませんが、そうではありません。自分の服薬についてあるいはそれと同時に日常生活でのセルフヘルプの試みについてどうやって記録していくかを学び、精神科医と会う前にその情報を整理要約すればいいだけです。服薬あるいはセルフヘルプの試みの記録ガイドはナショナル・エンパワーメント・センターで入手できます。

4.自分の疑問を書いて見ましょう
 精神科医と会う前に自分の疑問を書いておきましょう。するべき質問を持って面接しましょう。私の経験からいって面接というのはとても緊張するものですが、自分の質問を書いて持っていくと少しはリラックスできます。新しい薬を試そうとしているなら、以下の質問を必ずしましょう。
*この薬が効いているかどうかどうしたら正確に知ることができますか?
*この薬の効果がわかるにはどれくらいの期間服用すればいいのでしょうか?
*この薬がもたらす悪い影響や副作用は何ですか?
*もし副作用に気づいたら何をすべきですか?
*この薬を試している期間にドクターとチェックしたい心配や疑問がでた場合どうやってドクターと連絡が取れますか?

5.ロール・プレイ(訳注:この場合は精神科医役を決めて面接の予行演習をすること)
 精神科医と会う前に信頼できる友人や誰かとロール・プレイをするのは役に立つ場合があります。自分自身の力を信じ活用するという立場で精神科医と話すやりかたを学ぶというのは、身に付けるために学習しそして練習しなければならない技術です。辛抱強く時間を掛けて身に付けましょう。

戦略5 面接の主催者となりましょう
1.ノートとペンを持って面接しましょう
 精神科医と話しているとき精神科医は私たちに見せないでせわしげに記録を走り書きするので、気力を失ってしまう経験している仲間がたくさんいます。自分自身のノートとペンを持っていって自分でも記録をとるのは受動的な患者役割という習慣を打ち破るのにはとてもいい方法です。面接のときに記録をとっていれば、私たちの側にも具体的で能動的な行動が可能となります。ノートをとることは重要事項を記憶する手助けにもなります。

2.面接をテープ録音しましょう
 私は精神科医と会っているときにとても不安になることがあり、そのために重要な情報を聞き逃してしまうことがあります。面接をテープ録音しておけば、後で聞きなおすことができ私が聞き逃したかもしれない重要な情報を拾うことができます。テープ録音する前にはいつも許可を求めてきました。訴訟を恐れて非常に嫌がる精神科医もいましたが、私がなぜ録音したいのか説明するとみな同意してくれました。

3.面接のはじめに今日話したい議題を明らかにしましょう
 面接の準備作業ができていれば、今日、精神科医との面接で何を獲得したいのか目的が明確になっているはずです。私の話したい議題、心配なこと、そして自分の観察結果を書いた紙を2部持って幾度も精神科医の面接に行きました。私は1部を精神科医に渡し、面接のはじめに声を出して読み上げます。私の体験では面接開始の私のやり方は当初多くの精神科医の反対にあいました。精神科医は自分の話したい議題を持って面接をはじめるのになれています。その議題とはたいてい不明確で、議題の内容というよりはむしろ、私が質問に答えるときに臨床的な兆候や症状を観察しようという意向に彼らは意識を集中させています。しかし私の発言で面接をはじめ、精神科医にはその後で話させるというやりかたに固執し続けていたら、精神科医たちも私が準備してくることは役に立つとすぐに感じはじめたことが分かりました。実際私がかかっている精神科医の中には私の議題のコピーを保存してカルテに閉じこむ人たちもいます。面接をはじめる発言についての文章例についてはナショナル・エンパワー・センターにご連絡ください。

4.友人や権利擁護官と一緒に行きましょう
 歯医者や身体的な検査に友人や支援してくれる人を連れて行く人はたくさんいます。精神科医と会うのに友人と一緒にいくのはとても意味があります。とりわけあなたが受動的な患者役割を生まれてはじめて打ち破り、自分自身の力を取り戻すことを学ぼうとするときには大きな意味があります。

 以上の戦略は私には役に立ちました。同時にこうした戦略は私がかかっている精神科医と私の間の力関係を変えるのにも役立ちました。おそらく上記の戦略の幾つかは皆さんにも意味があるでしょう。自分なりの戦略について議論なさる方もおられるでしょう。重要なのは自分の力を取り戻し自分自身の回復と治療の指揮官になることができると皆さん自身が認識できることです。面接準備ガイドの無料資料を入手したい方は以下の無料電話をお使いください、喜んでお送りします。
(原題 Reclaiming your power during medication appointments with your psychiatrist 仮訳 長野英子)
原文は以下のサイトより
http://www.power2u.org/selfhep/reclaim.html

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